女子の選手が、はじめてボールを蹴った日は何歳だったのか。この問いに答えられる資料が、日本にはほとんど残っていない。代表に選ばれた日のことは記事になるけれど、その十年前の一日を書いた紙はどこにもない。
ポーランドで行われたFIFA U-20女子ワールドカップの決勝は、スペインが北朝鮮をPK戦の末に4対3で下して終わりました。GKのライア・ロペスがPK戦で2本止めている。北朝鮮は前回の優勝チームで、連覇はここで止まった。
PK戦の一本を止めるところまで来た選手にも、はじめてボールに触った日が一日ずつある。世界の決勝に立った人の経歴は細かく流通するのに、その最初の一日だけは、どこの国でも同じように消えている。日本でその日が数字として残っている例が、この秋にひとつ出てきた。
12、6、2、4
群馬県サッカー協会のページに、9月23日に図南サッカーパークで開かれた「第1回 GUNMA GIRLS KIDS SOCCER PARK」の報告が載っています。参加は24名。内訳はU-6が12名、U-8が6名、U-10が2名、U-12が4名。サッカー未経験・初心者の子どもが多数を占めたと書かれている。内容はJFAキッズプログラムを中心に、動きづくり、鬼ごっこ、ボールフィーリング、ミニゲーム。
24という合計だけを見ると、ただ小さい会に見える。ただ、この四つの数を上から縦に並べると、別のものが読めてくる。12、6、2、4。就学前が半分を占めていて、小学校の中学年でいちばん細る。
これは、その日に集まった子の顔ぶれの話であると同時に、日本の女子サッカーで「今から始めます」と言える年齢がどこで閉じているかの話でもあるのではないかと。小学1年生でボールを蹴りはじめた子の隣に、すでに三年やっている子がいる。9歳でまったくの未経験から入る側は、その差を自分で引き受けることになる。だから9歳や10歳の欄が薄くなる。誰かが締め出しているわけではなく、未経験のまま入れる時期が、事実として就学前に寄っている。
同じ県協会の中に、二本の入口が並んだ
群馬県サッカー協会は2026年度から女子サッカー普及・育成プロジェクトを始めていて、9月にはフットステージ新前橋でU-12女子スキルアップ練習会も開いています。こちらは「もっと上手くなりたい」「チャレンジしてみたい」と呼びかけている。つまり、すでに始めている子に向けた回。
同じ団体が、同じ小学生年代に、上手くなりたい子への練習会と、まだ一度も蹴っていない子への体験会を別々に立てた。この二本立ては、言われてみれば当たり前のようでいて、女子の告知を県ごとに読んでいるとそう多くない。たいていは前者から始まる。選ぶ会のほうが先に立ち上がり、触れる会は後から付く。
上から積まれてきたものの、いちばん下
女子の育成年代を県協会のサイトから順に見ていくと、U-13以上には女子トレセンのU13・U14・U15・U17という年間計画があり、その上にJFA U-15女子サッカーリーグ2026 関東のような地域リーグがあり、さらに全日本U-15女子サッカー選手権や全日本U-18女子サッカー選手権という全国大会が乗っている。大学や高校年代からWEリーグの公式戦に出るためのJFA・WEリーグ特別指定選手の認定もある。上へ行くほど名前がはっきりしている。以前女子の育成に何段あるかを数えたときにも、名前が付いているのは上の段ばかりだった。
大会名の頭に振られた回数を並べたときに見えたのも同じ向きで、地域の大会が先に立ち、県の受け皿が後から整えられている。制度は上から積まれてきた。その順番からすると、いちばん最後に来るのが、まだ一度もボールを蹴っていない6歳の子の一日ということになる。第1回という文字が2026年に付いているのは、そういうことだと思います。
数えるものを一つ変える
女子の育成を語るとき、選ばれた人数や派遣される枠の数を数えることが多い。年に4名、6日間で試合2日、といった数字。それはそれで実態だけれど、その手前で誰も数えていないものがある。その県で、その年に、はじめてボールを蹴った子が何人いて、何歳だったのか。
体験会の参加者名簿は選抜の結果ではないから、ニュースとしては流れにくい。24名という数も、一つの県の一日だけを見れば小さい。それでも、U-6が12名でU-10が2名という配り方は、その県の十年後の登録者数の形をそのまま先取りしている。
次に別の県で「第1回」と付いた案内が出たとき、見るのは合計の24ではなく、いちばん上の行に置かれたU-6の数字のほう。
出典: www.the-afc.com(2026-09-28)