学校のチームを何日休んだか、ではなく、学校のチームを離れて何日過ごしたか。高校生の夏をこの二つで数えると、出てくる数がまるで違う。
静岡学園高3年のFW坂本健悟選手は、この夏にポルトガルへ渡って、2部のAVSで10日間の練習参加をしています。入ったのはアンダーカテゴリーではなくトップチームのほう。帰国してからの公式戦は2試合で6得点。インターハイの得点王で、2025年の高円宮杯プレミアリーグWESTでも起用されている選手。
10日。数字だけ見れば短い。ただ、高体連の選手が一年のうちに学校のチーム以外の大人の前に立てる日を全部足したら、この10日がそのうちのどれくらいを占めるのか、と考え始めると急に重たくなる。県の大会も全国大会も、出るのは学校のチームとして。相手のベンチにいるのも同じ高校の先生たち。見る人が入れ替わる日は、実はそう多くない。
学校の名前が、国の選考の側に並ぶとき
ガーナのU-17年代の大会で、10の地域協会チームに加えて、協会のエリートアカデミーの2チームが参加することになりました。北部と中部のアカデミーを代表するのは、ボルガタンガの Bolgatanga Senior High School と、クマシの Prempeh College。10月3日から10日まで、プランプラムの Ghanaman Soccer Centre of Excellence に12チームが集まり、7日間で争われます。
参加チームの欄に高校の名前が入っていること自体は、日本の感覚だと当たり前に見える。ただ、あちらでその2校は地域の選抜と同じ列に置かれて、スカウトや育成の指導者が見に来る7日間に入っていきます。学校に通ったまま、学校の名前のまま、国が用意した選考の場に立てる。日本の高校生が全国大会で学校の名前を背負うのとは、同じ「学校名」でも意味が逆向き。日本の場合、学校の名前は自分のチームの旗であって、外に出ていく通行証ではない。
だから日本では、外の目に触れる日を自分で取りに行くことになる。坂本選手の10日も、JFAが組んだ留学の回でもなければ、クラブが企画した遠征でもありません。個人が、海外のクラブのトップチームに直接混ざった形。段取りの主語が、学校でも協会でもない。
10日は、誰が空けた10日か
見るべきは日数そのものより、その10日がカレンダーのどこから出てきたか。高校年代の最上位リーグは前期と後期に割れていて、その谷が夏に来る。海外での短期の活動が8月に集まるのは、そこしか空いていないから。以前、クラブや協会の案内に出ていた海外での活動の出発日を並べたときも、7月の後半から8月の終わりに固まっていました。
つまり日本の高校生にとって、外に出る日は年間のどこにでも置けるものではない。リーグが止まっている数週間の中に、10日なら10日を差し込む。その前後には県の大会も学校の行事も詰まっているので、実質的に一度きりの機会になる。年に何回行けるかという話ではなく、年に一か所しか空いていない、という話。
そして帰ってきたら、すぐ公式戦。休んだぶんを取り返す時間は用意されていない。坂本選手の場合、帰国後の2試合で6得点という数字がそのまま続きの記録として並びます。10日の中身がどうだったかは外からは見えないけれど、帰ってからの2試合は誰にでも見える。結果として、その10日は帰国後のスコアで語られることになる。
数えるなら、行き先ではなく日付のほう
この型の話が出てくるたびに、どこの国のどのクラブか、というところで受け取られがちで、そこはいちばん再現性のないところ。もっと使えるのは三つの日付です。いつ出たか、何日いたか、帰ってから何日で公式戦に戻ったか。この三つを並べると、その選手が特別だったのか、それとも高校生なら誰でも使える夏の谷を使っただけなのかが見分けられる。
受け入れ側のカテゴリーも同じくらい効く。育成のカテゴリーに混ざるのと、2部とはいえトップチームの練習に入るのとでは、10日の密度が違う。アンダーカテゴリーではなくトップ、と記事に書かれている一行は、行き先の国名よりもずっと具体的な情報。
日本の育成年代を高体連の側から見ていると、大会の数も試合の数も足りていないわけではない。足りないのは、同じ顔ぶれ以外に見られる日のほう。ガーナの12チームが7日間で集まる場所が、日本の高校生には年に一か所しかない夏の谷として存在している。
次にこの手の話が出てきたときは、行き先の国名よりも先に、出発した日と、帰ってきて最初の公式戦までの間隔を見て、その10日を誰が空けたのかまで確かめる。
出典: www.ghanafa.org(2026-09-26)