小学生に推奨される睡眠時間は9〜12時間。一方で実際の平均は学年が上がるほど短くなり、高学年では8時間台に入る。スポーツに取り組む子どもほど、練習量と睡眠のバランスが翌日のコンディションに直結する。
ここでは公的機関・学術調査の数値を表で整理し、睡眠を含むコンディション記録の項目まで一覧化する。
年齢別の推奨睡眠時間
米国睡眠医学会(AASM)の基準を厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版が引用している。小学生は9〜12時間が目安となる。
| 年齢区分 | 推奨睡眠時間 |
|---|---|
| 1〜2歳児 | 11〜14時間(昼寝含む) |
| 3〜5歳児 | 10〜13時間 |
| 小学生 | 9〜12時間 |
| 中学・高校生 | 8〜10時間 |
| 成人 | 6〜8時間(少なくとも6時間以上) |
| 高齢者 | 床上時間が8時間以上にならないことを目安 |
出典:厚生労働省 健康日本21(第三次)推進のための説明資料、日本栄養士会 健康づくりのための睡眠ガイド2023、ナース専科ナレッジ
推奨幅の読み方
9〜12時間は幅のある数値で、同じ学年でも必要量には個人差がある。日中に強い眠気が出る、朝の起床に毎日苦労するといった状態が続くなら、その子にとっては下限側では足りていないと考えるのが実務的な判断になる。成人の目安は6〜8時間(少なくとも6時間以上)とされており、大人の感覚で子どもの就寝時刻を決めると不足しやすい。小学生の推奨下限である9時間は、成人の目安の上限を上回る水準にある。
小中学生の実際の睡眠時間(学年別)
学研教育総研「小学生白書2025」では、学年が上がるにつれて就寝時刻が後ろ倒しになり、睡眠時間が短くなる傾向が示されている。小学1〜6年生の平均は約9時間3分で、推奨下限の9時間をかろうじて満たす水準にとどまる。
| 学年・区分 | 平均睡眠時間(平日) | 平均就寝時刻 | 調査出典 |
|---|---|---|---|
| 小学1年生 | 9時間23分 | 21時17分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学2年生 | 9時間13分 | 21時28分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学3年生 | 9時間10分 | 21時31分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学4年生 | 9時間2分 | 21時42分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学5年生 | 8時間53分 | 21時47分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学6年生 | 8時間39分 | 21時59分 | 学研教育総研「小学生白書2025」 |
| 小学生全体(4〜6年生) | 8時間56分 | 21時46分 | 博報堂教育財団こども研究所「子どもの睡眠調査」 |
| 中学生全体 | 7時間57分 | 22時46分 | 博報堂教育財団こども研究所「子どもの睡眠調査」 |
出典:学研 子育て情報メディア、博報堂教育財団こども研究所、共同通信PRワイヤー
推奨下限との差分
推奨下限の9時間を基準に学年別平均との差を並べると、不足が始まる境目がはっきりする。
| 学年 | 平均睡眠時間 | 9時間との差 |
|---|---|---|
| 小学1年生 | 9時間23分 | +23分 |
| 小学2年生 | 9時間13分 | +13分 |
| 小学3年生 | 9時間10分 | +10分 |
| 小学4年生 | 9時間2分 | +2分 |
| 小学5年生 | 8時間53分 | -7分 |
| 小学6年生 | 8時間39分 | -21分 |
出典:学研 子育て情報メディア「小学生白書2025」、厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(こども版)
5年生から推奨下限を割り込む。博報堂教育財団こども研究所の調査(2025年2月公表)でも、平日の平均は小学生8時間56分、中学生7時間57分で、いずれも推奨時間をわずかに下回った。高学年になるほど習い事やスポーツの練習時間が延び、就寝時刻が後退することが、就寝時刻の列にそのまま現れている。小学1年生の21時17分に対し、小学6年生は21時59分で、42分の後退がある。
一方、スポーツ庁の調査では、小学生・中学生ともに睡眠時間が「8時間以上」の割合が男女とも増加傾向にあるとされる。全体の平均は推奨を下回るものの、8時間以上を確保する層は広がっている。
スポーツをする小学生の睡眠設計
練習日は帰宅・入浴・夕食・宿題が後ろにずれ、就寝時刻が遅くなりやすい。起床時刻は登校時刻で固定されるため、遅れた分はそのまま睡眠不足として残る。学年別の平均就寝時刻を自分の子どもの実績と比べると、練習日にどれだけ後ろ倒しになっているかが数値で確認できる。
練習日と休養日を分けて見る
平均値だけを見ると、練習日の不足が休養日の寝だめで相殺されて見えにくくなる。記録は練習日と休養日、平日と休日を分けて集計し、推奨下限の9時間を割る日がどの曜日に集中しているかを確認する。就寝時刻が遅れた理由(練習終了が遅い、宿題、入浴の順番など)を併記しておくと、改善できる要素を特定しやすい。
睡眠を含むコンディション記録の項目
日本スポーツ協会は、コンディションを把握する基本指標として心拍数・血圧・体温・体重・平衡機能テスト・自覚的コンディション(体調、疲労、睡眠状況)・トレーニング内容・POMSを挙げている。実際の記録ツールであるコンディションチェックシート(CCS)では、選手自身が次の項目を記入して体調の変化を把握する。
| 記録項目 | 把握できる指標 |
|---|---|
| 体調 | 体調全般の状態 |
| 疲労度(自覚的) | 疲労度の指標 |
| 食欲 | 内臓疲労・体重減少の指標 |
| 睡眠時間 | 疲労度(内臓疲労・精神疲労・自律神経バランス)の指標 |
| 体重 | トレーニング強度と食事バランスの指標 |
| 起床時心拍数 | 疲労度の指標 |
| 排便 | 内臓疲労・体内リズム・自律神経バランスの指標 |
| 心の状態 | ストレス・精神状態の指標 |
| 筋肉の状態 | 筋肉の疲労度・精神疲労度の指標 |
| 怪我・病気の状態 | 現状および回復度の把握 |
出典:コンディションチェックシート、公益財団法人日本スポーツ協会
記録を続けるための絞り込み
小学生が10項目すべてを毎日書き続けるのは負荷が高い。睡眠時間・起床時心拍数・体重・心の状態の4項目に絞ると、疲労の蓄積と回復の傾向はおおむね追える。睡眠時間は「疲労度(内臓疲労・精神疲労・自律神経バランス)の指標」と位置づけられており、単独でも変化を読み取りやすい項目にあたる。慣れてきた段階で食欲や筋肉の状態を足していくと、記録が途切れにくい。
記録時の運用ルール
| 運用項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録のタイミング | 起床直後(起床時心拍数とあわせて記入) |
| 記録者 | 選手本人が記入し、保護者・指導者が確認 |
| 基準線 | 小学生は9時間(推奨下限) |
| 比較対象 | 練習日と休養日、平日と休日 |
| あわせて見る項目 | 疲労度、食欲、心の状態、怪我・病気の状態 |
出典:コンディションチェックシート、厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(こども版)
数値の要点
| 項目 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 小学生の推奨睡眠時間 | 9〜12時間 | 2023年12月 |
| 中学・高校生の推奨睡眠時間 | 8〜10時間 | 2023年12月 |
| 成人の推奨睡眠時間 | 6〜8時間(少なくとも6時間以上) | 2024年2月 |
| 小学1〜6年生の平均睡眠時間 | 約9時間3分 | 2025年1月 |
| 小学生(4〜6年生)の平日平均 | 8時間56分 | 2025年2月 |
| 中学生の平日平均 | 7時間57分 | 2025年2月 |
| 小中学生で睡眠8時間以上の割合 | 男女とも増加傾向 | 2025年1月 |
出典:厚生労働省、ナース専科ナレッジ、学研教育総研「小学生白書2025」、博報堂教育財団こども研究所、スポーツ庁調査に関する報道
睡眠時間や心の状態といった自覚的コンディションは、紙のシートだと記入が途切れやすく、練習量との突き合わせにも手間がかかる。日々の記録と推移の可視化には、NEWDIHのメンタル・コンディション機能のような、入力から傾向確認までを一画面で扱える仕組みが使いやすい。