予測はできるのに判断が遅い。海外に出た高校生が書き残した七つの言葉

「一番足りないと感じたのは、パスの精度です」。FC岐阜のU-18とU-15の8選手がKRC Genkの海外育成プログラムから戻ったあと、高尾勇輝選手はそう話しています。同じ報告の中で田中蓮人選手は「一番足りないと感じたのは、プレーの自由さや発想力です」と言い、向こうの選手は決められた形だけにとらわれず、その場の状況に合わせて自由だった、と続けていました。

この二つを並べたまま、しばらく手が止まった。パスの精度と、発想力。片方は足の話で、もう片方は頭の話に見える。

クラブの報告は、通用したものと足りなかったものを分けて書いています。通用した側に並ぶのは、足元の技術、守備での対人や球際、相手の動きを予測する力。足りなかった側に並ぶのは、身体の強さ、パスやキックの精度、プレーする前の認知や判断の速さ、状況に応じた選択肢。三つと四つ。

引っかかったのはここ。相手の動きを予測する力は通用した側に入っていて、プレーする前の認知や判断の速さは足りない側に入っている。日本語で読むとほとんど同じことを言っているように見える二つが、別の欄に分かれて立っている。

分けているのは時間ではないかと。予測は、見る時間があるときに効く。判断の速さが問われるのは、見る時間がないときだけ。パスの精度も同じで、足元に置いて蹴る精度ではなく、肩を入れられながら一歩の間に選んで蹴る精度のこと。日本で精度が高いと言われてきた選手が、向こうでは自分の口で精度が足りないと言う。言葉は同じでも、測っている状態が違う。

セルビアのU-19代表が、32回目を数える記念トーナメントの初戦をブルガリアと1-1で終えました。43分に先制し、ハーフタイムを挟んだ47分に追いつかれている。後半は何人も入れ替えたが、主導権を握ったまま点は動かなかった。次は26日にルーマニア、その次は29日にハンガリー。

43分と47分の間にあるのはハーフタイムだけ。向こうが何かを変えて、こちらがまだ変えていない、その帯で1点が動く。しかもこの大会は、ルーマニア、ハンガリーと相手が続けて替わっていく。同じ相手と噛み合わせを作り直す時間は最初から配られていない。FC岐阜の8選手が受けた現地のトレーニングが、一つの技術を発揮して終わりではなく、周囲の状況を見て次のプレーを予測しながら動き続けることを求める設計だったというのは、こういう試合が前提にあるからです。

日本側で数えられるもの

見られる回数が足りないわけではない。ナショナルトレセンU-15は3日間の招集を年度内に何度も重ねていて、9月の回には4回目と番号が振られている。その上にJFA U-16トレセンキャンプがあり、横にJFA U-15タウンクラブ・中体連 トレーニングキャンプが置かれ、さらに特別指定制度が年上のカテゴリーへの通路として別に用意されている。選ばれる場も、招集の回数も、日数も積み上がっている。

足りないのは日数ではなく、その日数の中に「見る時間がない状態」が何分あるか。通用した三つが揃って「時間があれば出せるもの」で、足りない四つのうち三つが「時間がないときにしか問われないもの」だとすれば、差が出ているのは能力ではなく、練習の初期設定のほう。

もうひとつ、この8人がU-18とU-15にまたがっていることも書き留めておきたい。高校生と中学生が同じプログラムで同じ景色を見て、帰ってきて同じ欄に同じ語を書いている。年代が三つ離れても不足の名前が変わらないなら、それは個人の成熟の話ではない。

クラブが出す海外遠征レポートの書式がどれも似ている話と重なるが、移動にかかった時間、現地のトレーニング、テストマッチの結果、選手のコメント、最後に「刺激を受けた」。この並びの中で本当に持ち帰れるのは、選手が自分の言葉で書いた不足の語のほうです。刺激は消えるが、語は残る。

通用した三つと、足りなかった四つ。七つの言葉のうち、予測と判断という隣り合った二語が別の欄に分かれている。次にどこかのクラブが遠征の報告を出したら、勝敗より先にこの二つの欄を開いて、同じ帯を指す言葉がどちらに立っているかを数える。

出典: fss.rs(2026-09-24)

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