鹿島アントラーズがクラブワールドカップで、オセアニア王者、アフリカ王者、南米王者を次々と倒し、決勝まで駒を進めてヨーロッパ王者のレアル・マドリードと戦った。
結果はご存知の通り、前後半を2-2で終えて、延長戦で2-4で敗北した。
鹿島アントラーズのこの戦い、この健闘を、日本サッカー界はどう見るべきだろうか。また、日本サッカーの未来を考えている人にはどのように映っているのだろうか。
日本サッカーのあるべき姿について考えてみたい。
世界トップのクラブに対してもゴールはできる事実
鹿島アントラーズがレアル・マドリードに対して、2点を取ることは想像していなかった。
勝敗だけを予想すると、8割の人がレアル・マドリードの勝利を予想していたかもしれない。そして、その中の多くの人が圧倒的なレアル・マドリードの勝利を想像していたのではないだろうか。
試合展開はなんと鹿島アントラーズが先制されたにもかかわらず、柴崎岳の2得点で一時的にレアル・マドリードを逆転した。
おそらく誰も予想していなかった状況に、少しの奇跡を期待し願った人も多いだろう。しかし、その期待や希望は少し不可解なペナルティエリア内のファウルにより、一瞬の時間で現実の世界に引き戻された。
ただ、それでも前後半を終えて2-2の状況。延長戦も観たかったが、どちらかというとこのままPK戦に突入して、運否天賦に身を任せたかった。
そう、同点に追いつかれても世界のトップクラスから2点をとった事実から、まだもしかして何か起きるんではないか、そう心の奥で期待していたサポーターやファンはいたはずだ。
今回、レアル・マドリードに対し鹿島アントラーズは2得点を奪った。
同じく過去のクラブワールドカップをみると、2008年の大会でもガンバ大阪がマンチェスターユナイテッドに対し、同じように得点を奪った。しかも、3得点だ。
世界でも有数のビッグクラブとなると、テレビや雑誌で得る情報だけで、頭の中でとんでもない選手の集団だと勝手に思い込み描いている。当然、とんでもない選手の集まりなのだが、それでもJリーグのクラブが得点を奪っている事実を、もっと試合前に想像できるようにならなければならない。
なぜ、想像できないのか。
世界のトップクラブからゴールを奪うイメージが描けないのは、日本サッカーが世界に対して挑んで来たこれまでの戦い方やその結果、日本サッカーのあるべき姿がどちらかというと無意識にも守備的に設定されているからだろう。
日本のサッカーは既に世界のトップクラブからゴールを奪える事実をクローズアップして、サポーターやファンの描く日本サッカーのイメージを変えることができる人がどれくらいいるのだろうか。
世界トップのクラブには4失点する事実
日本のサッカーが世界からどう見られているのか、どう映っているのかは、過去にエントリーした変革期!堅守速攻日本サッカーの未来に記しました。
実は日本サッカーの評価として、組織の守備力を評価されることが多く、誰も得点力を評価することはあまり多くはありません。
攻撃的なことを百歩譲って評価するならば、きっと早いパス回しや、機敏性、俊敏性などが取り上げられるのではないだろうか。
育成年代のトレーニングでも組織的な守備をどうこうしてきた記憶が非常に強く、攻撃に関しては個人のセンスやスキルに任せることもあり、ちょっとした動き方やプライオリティなど基本的なことを学ぶ程度のような気がします。
そう言う意味では日本サッカー全体で組織的な守備力を高めてきた結果として、見事に世界へ「守備力の日本」が浸透しているのではないでしょうか。
ただ、それも組織も個人も同じことが言えますが、規律性、執着性が非常に高く、相手にとっては規則正しく粘り強い守備をする日本人にそのような「守備力の日本」をイメージさせるのではないでしょうか。
しかししかししかし、そんな守備力を評価されている日本も、世界のトップを相手にすると4失点はしてしまうのです。世界の中堅クラスであれば均衡したゲーム展開になるでしょう。今回のレアル・マドリードと戦った鹿島アントラーズのように同点で前後半を終えることもあるでしょう。
ただ、試合終了のホイッスルが鳴る時には4失点するくらい「守備力の日本」が崩壊しているのです。
その事実をどのように受け止めるのか、惜しかったね、最後の最後で力尽きたね、そんな簡単に試合を振り返って、反省したように見せかけて実は満足しながら今後に繋げてもいいのでしょうか。
世界のトップとはまだ点差以上の差があることを真摯に受け止めなければなりません。4失点は「守備力の日本」とは言えないのではないでしょうか。
守備なのか、攻撃なのか、日本サッカーがあるべき姿
世界のクラブ相手に2点は取れる。ただ、相手はもっととってきて4得点も取られる。サッカー本来の目的がゴールである以上、シーソーゲームを制するチームにならなければならず、日本サッカーの未来を本気で考えるならそうすべきだと思います。
こんだけ守備に力を入れていたのに、世界を相手にすると4点も5点も簡単に決められてしまう。日本の守備はいい、それは世界でも証明されているし認められているなんて、部分的なプレーや場面であって、試合全体を通せば確実に崩壊している部分があるのです。
日本サッカーの守備に関しては、個人の能力よりも組織力で守ることに長けている。それは間違いないでしょう。むしろ、今の日本サッカーでは組織で守らなければ守れないようなトレーニングや指導をしているから仕方ありません。
本当に日本サッカーを考えると、どうするべきなのでしょうか。
最終ラインに6人が並ぶような圧倒的な実力差がおる試合展開で、「守備力の日本」と呼ばれてもいいのでしょうか。
世界のトップから2点取れるのであれば、もっともっと攻撃に力を入れてトレーニングをすれば、4点は奪えるのではないでしょうか。
ただ、その時はもしかしたら6点失っているかもしれませんが、それでもサッカー本来の目的を考え日本サッカーの未来を考え、攻撃に全総力を注ぎ、東洋一の攻撃力、得点力と呼ばれることがあるべき姿ではないでしょうか。
あなたはそんな日本サッカーをみてみたいとは思いませんか?