キーパーの練習は月謝ではなく1回2,000円。木曜の夜に、その1回を買っているのは家のほう

月謝ではなく、1回ごと。

水戸ホーリーホックが出しているゴールキーパースクールの中学生コース、後期の案内を見ていて、料金の行で手が止まりました。1回2,000円。参加するときに現金で払う。各回ごとの申し込みができる、とも書いてある。全8回、9月17日から12月17日までの木曜、18時30分から20時まで。持ち物はプレーのできる服装、ゴールキーパーグローブ、スパイク、飲料水など。

この書き方だと、家の側は毎週決めることになる。今週は行く、来週はテストの前だからやめておく、と。回数で買えるのは柔軟ですし、八回まとめて払わされないのは助かる話でもある。ただ裏を返すと、8回ぶん順番に積むつもりで組まれた内容を、何回ぶん受け取れるかが、そのつど家計と送迎の都合に預けられているということでもあります。

クロアチアのU-21代表が、2027年の欧州選手権の予選でウクライナに0対1で負けました。14試合続いていた無敗が止まった試合で、ただしH組の首位はすでに確定していて順位は動かない。試合後、イビツァ・オリッチ監督は前半について、緩んだ状態で入ってしまって自分たちではなかったと認めたうえで、運が良かったこと、そしてシリッチが自分たちを生き延びさせてくれたことを挙げている。後半56分、相手の右からの枠を狙った一本を、シリッチが指先でバーへ弾いていた。

指先。負けた試合の総括で監督が最初に出した固有名詞が、ゴールキーパーの名前で、その中身が指先一本だった。あの一本をどこで覚えるのかと考えると、日本の中学生の場合、答えのひとつは木曜の18時30分になる。チームの練習の中ではなく、別の場所で、別の会計で。

フィールドの子と同じ列に並ばない

クラブの練習にキーパーの練習が無いわけではありません。それでも専門のコースが外側に立って、しかも回数課金で、現金で、という形になっているのは、ゴールキーパーが人数の少ないポジションだからだと思う。フィールドの選手は十数人で同じメニューを回せる。キーパーは一人か二人で、そこだけ別メニューになる。チームの時間の中に収めきれない分が外へ出て、出た先の支払いは家が持つ。

18時30分という開始時刻も、そのまま家の条件になります。学校が終わって、一度帰るか、直行するか。自分で行ける距離なら自分で行く。行けなければ送る。20時に終わって、そこから夕食。これが木曜に8回。送る側に木曜の夜が8回あるかどうかが、通えるかどうかの前に来る。

持ち物の欄にゴールキーパーグローブと書いてあるのも、読み飛ばしにくい一行でした。グローブは消耗品で、使えば表面がなくなる。練習の回数を増やすほど減りが早くなるものを、練習の回数ぶん払って通う。以前8歳の入団の案内で家の側が先に越えている条件を並べたときも、費用そのものより、その周りに付いてくる条件のほうが数が多かった。

制度のほうは、どこで習うかを決めていない

日本がこの数年で増やしてきたのは、2種登録や特別指定のように、若い選手を上のカテゴリーの公式戦に立たせるための道でした。U-21 Jリーグもその並びに入る。特別指定にいたっては、受け入れ先のクラブが公式戦に出す計画を持っていることまで条件に書いてある。どれも「どこで試合に出るか」を決めている。

その一方で、「どこで何を習うか」を決めている条文はない。ゴールキーパーの子が、週に一度の専門練習を受けられるかどうかは、近くのクラブがそのコースを開いているか、木曜の夜が空いているか、1回2,000円をその日に出せるか、の三つで決まる。出場機会の話は制度が引き受けて、技術を習う機会の話は家が引き受けている。この分かれ方は、普段あまり並べて語られません。

代表のゴールキーパーが一本止めて試合が壊れずに済んだ、という話は、どこの国でも年に何度も出てきます。その一本の手前には、人数の少ないポジションだけ別の時間に別の場所で練習するという、どこの国にもある事情がある。日本ではその別の時間が、平日の夜と現金払いという形で家の側に置かれている。

中学生のキーパーの話を聞くときは、何を習っているかより先に、全8回のうち何回ぶんを買えたのか、そこまで聞いておきたい。

出典: hns.team(2026-10-02)

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