「プリンスリーグという大切なリーグがある」。清水エスパルスでU-21のチームを率いる北本久仁衛監督が、夏の会見でそう話していました。若い選手たち、ユースの選手たちがメンバーに絡んでくると思う、と前置きしたうえでの一言で、だからそこのコミュニケーションがすごく大事になる、臨機応変さが必要になる、と続けている。
臨機応変。その言葉が誰の手元の仕事になるのかを、しばらく考えていた。選手が応変にふるまう話ではない。今週この子をどちらに出すのか、という判断を、大人のうちの誰かが毎週やるという話。
ポーランドサッカー協会が10月3日に出した知らせに、Wojciech MońkaがそれまでいたA代表の合宿を離れ、月曜のイタリア戦の前にU-21代表へ合流すると書かれている。U-21は9節を終えて全勝の首位で、イタリアが勝点3差で追っている。この一戦がそのまま、欧州選手権へ行けるかどうかの直接対決になる。
上の代表から下の代表へ移す、と一行で書けるのは、代表チームが集合と解散を繰り返す単位で動いているから。月曜の試合に出す、と決めたら合宿を抜けて合流すれば済む。日本の高校生年代で同じことをやろうとすると、移す先が代表ではなくリーグ戦になる。リーグ戦は解散しない。来週も再来週もある。
同じ週に、名前はいくつの日程表に載るか
2026/27シーズンからU-21 Jリーグが始まり、東西のリーグラウンドで回っています。清水は8月下旬に東西リーグラウンド第1節のレポートを出し、同じ週に岡山もWESTの第1節について監督と選手のコメントを公表している。川崎、名古屋、浦和、東京ヴェルディも同じシーズンの開催やチケットの案内を出していて、U-18とトップの間に公式戦の場所がひとつ増えた。
ここで増えたのは試合数だけではない。ユースにいる高校生ひとりの名前が、同じ週に複数の日程表へ同時に載るようになった。クラブのユースとして戦う高円宮杯の段のリーグ。U-21 Jリーグ。そこに2種登録が重なれば、トップの公式戦の名簿にも載る。三枚。しかもU-21にはオーバーエージの選手も参加するので、高校生はその三枚目で、年上の選手とポジションを争うことになります。
プリンスリーグの一節と、U-21 Jリーグの一節が同じ週末に並んだとき、その子は片方にしか立てない。当たり前のことなのだけれど、当たり前すぎて誰の判断なのかが外からは見えない。ユースの監督が譲ったのか、U-21の監督が呼んだのか、トップの強化担当が決めたのか。公表されるのは出場記録のほうだけ。
決めているのは、三つの部屋の電話
北本監督がコミュニケーションと言ったのは、たぶんこの電話のこと。トップとU-21とユース、三つの現場が同じ選手を見ていて、誰も単独では決められない。ユース側にはプリンスリーグの順位がかかっている。U-21側には新しいリーグの初年度の結果がある。トップ側には将来の計画がある。三つとも本気なので、調整は毎週発生する。
そしてこの配分には、もうひとつ数える対象がついてくる。身体の負荷。高校生の一週間に90分の公式戦が二つ入れば、練習の中身も移動も変わる。どちらを休ませるかという判断は、順位表のどこにも書かれない。
登録の面では、高校年代のリーグがシーズン途中で名簿に名前を足せる日を持っていることを以前に並べたけれど、足せる日があることと、同じ週に二か所から呼ばれることは別の問題。名簿に載るところまでは制度が決めてくれる。載ったあとにどちらへ行くかは、制度ではなく人が決めている。
数えたいのは出場より先に、重なり
新しいリーグができたとき、最初に出てくる話はたいてい「若手に出場機会が増えた」という言い方になる。増えたのは機会だけではないと思っています。増えたのは、同じ一人をめぐって同時に立つ日程の本数のほう。
ポーランドの件が一行で片づくのは、A代表の合宿という期間限定の集まりから抜けるだけだから。日本の高校生は抜けない。ユースに籍を置いたまま、プリンスリーグの残りの節を抱えたまま、U-21の試合日に呼ばれる。抜けるのではなく、重なる。
だから見たいのは、誰が何分出たかの前に、その週にその名前が何枚の日程表へ同時に載っていたか。順位表を上から読むのをやめて、同じ週末に開いている二つの日程表を並べ、同じ名前が二度出てくる回数を節ごとに突き合わせてみたい。
出典: www.pzpn.pl(2026-10-03)