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サッカー教育、まずはお父さんお母さんのあれに注目


お父さんお母さんの子どもに対するサッカー教育熱が高い。
公園でも家でもどこでも同じ態度をとるのかは分からないが、先日あるお父さんが公園で一緒にサッカーをしていた推定12歳ほどの息子に対して、激しく怒鳴っていた。

「いいからお前は帰れ!言うたことも出来ないようじゃやってらんねぇわ!」

当然ながら公園に響き渡る怒号は、周りで遊んでいた子どもとその親を振り向かせた。

お母さんと8歳ぐらいと思われるその子の弟も一緒にボールを蹴っていて、お母さんは亭主関白系の怒り狂ったお父さんを止めに入ることはなかった。

彼の何がそんなにダメだったのか

怒鳴られた息子は泣きながら怒り迫り来るお父さんから微妙な距離を保とうと一歩一歩後ずさりをしていた。

なぜ自分は怒られているのか、なぜそんなお父さんに反抗できないのか、そしてなぜ自分は簡単なプレーすらできないのか。おそらく彼は泣きながらにも自分を責めていたに違いない。

一方、お父さんも怒鳴りながら少し周りを気にしつつもヒートアップしていた。怒鳴れば怒鳴るほど後に引けない状況の中、本気で息子に対して出来るようにさせたかったのか、それとも威嚇している自分に自惚れていたのか、もしくはあの本気の形相からして息子への愛を完全に忘れたのか。

「お前のそんな顔を見てたら本気で腹がたつんだよ、だから早く帰れって言ってんだよ」

その言葉は周りで同じように遊んでいたお父さんお母さんたちの、我が子に対して愛する気持ちをより増幅させてくれた。

サッカーを上達させたいのか否か

サッカーは人間力が向上するスポーツだ。おそらくサッカー以外のスポーツでも同じことが言えるのだろう。

チームスポーツであるサッカーを上達させるために、自宅で特訓(自主練習)させる親がいる。あの公園で見たお父さんもおそらくその1人だろう。

ただ、親からの指導には色んな指導者側の意見があるのは確かだ。特にサッカー経験者でない親の指導は子どものサッカーを上達させることが目的なのか、それとも人間力を鍛えているのかは分からない。未経験の親がサッカーを教えることに賛成か否かである。

あるお父さんは言う。

親は口出しするべきではない。サッカーのことはサッカーの指導者が教えてくれる。だから親がサッカーに対する伸びしろを間違った方向へ向けてはならない。

それも一理あるだろう。そして、未経験の親にあーだこーだ言われる子どもはたまったもんではない。親としてのベストな選択は、子どもが必死で何かに夢中になっている時、その方向を間違わないように導き、手を貸してあげるだけでいいのではないだろうか。

サッカーを上達させたいのか否か

かと言って、やはり子どもにとって親の言葉は絶大である。時には言葉を語らず背中を見て育つものでもあろう。特に子どもの年齢が若ければ若いほど親から吸収し得るものは多い。

そして、親は子どもへのサッカー教育に関して、子どもやサッカー指導者が持っていない視点・着眼点がある。サッカー経験者であればあるほどサッカーに対する価値観や視点、考え方などが固着されて行く。親は子どもの親として我が子の成長を純粋に見届け、何ができたか何ができていないか、より具体的に我が子を分析する力があるのだ。

子どもがサッカーで上を目指す道中で、もし親がサッカー経験者であればより良い方向へ導いてあげられるのだろうか。もし親がサッカー未経験であれば間違った指導を行ってしまうのだろうか。

親が我が子にどれだけサッカーを教育するのか。親として口出しする場面、静かに見守る場面、時と場合によって出方は異なるだろうが、そもそも親がサッカーを知っているのか知らないかで子どもの反応も変わるのは間違いないだろう。

冒頭のお父さんのように、明らかにサッカーを知らなさそうな親が、自分のモノサシだけを基準に度を超えたサッカー教育を我が子に押し付ける。残念ながらそこには何も生まれないだろう。

例えばあなたが親でサッカー未経験者でも指導者としてサッカー教育で経験者よりも秀でることがある。要するに指導の仕方や教育の仕方が上手ければ、サッカーに限らずどんな世界でも可能性の塊である子どもを導くことができる。

要するに、サッカーの指導はサッカーを知っていることは少なからずアドバンテージにはなるが、それが全てではない。教育や指導の技術を磨く必要がある。

監督には監督に求められる能力や技量、指導者には指導者に求められる能力や技量、それと同じように親には親に求められる能力や技量があるのではないか。親の役割と責任も決して忘れてはいけない。

我が子のサッカーを上達させたいのか否か。そんな我が子の成長を感じる前に、まずは親自身のやるべきことを見直してみてはいかがだろうか。おそらくサッカーをしている我が子を持つ親の能力や技量が上がれば、日本サッカー界にも20歳で世界選抜にも選出されたロナウドのように、怪物と呼ばれる選手が10年に1度は育つのではないだろうか。

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