Club J.LEAGUEと言うアプリが2017年8月1日にJリーグからリリースされました。
この記事にたどり着いた皆様は、このアプリの存在を知っていましたか?
おそらくまだ知らない人も多いのではないでしょうか?
本日は、Club J.LEAGUEリリースから約半年経った今、今一度Jリーグ観戦の新規顧客獲得術について勝手に妄想したいと思います。
Club J.LEAGUEの取り組み
Jリーグのマーケティングパートナーである株式会社電通との協業により、ファン・サポーターとの接点だけでなく、パートナー各社の課題解決も同時に行えるとのこと。
また、最終的にはJリーグ百年構想のビジョンに合わせた地域課題の解決までを見据え、新たなスポンサーシップのモデルとなることを目指しているようです。
以下の記事では、Club J.LEAGUEの戦略についても書かれています。
ファンの熱量で新たなファンをつくる!Jリーグ公式アプリの戦略
上記の記事を読んでみると、それとなくマーケティングパートナーとしてのJリーグファン拡大の戦略を謳っているのだが、新規顧客のターゲットが年間0回から2回程度のトライアルファンおよび潜在ファンであること。
また、それら新規顧客を獲得する方法なのだが、コアファンが観戦をすることでたまったポイントを使い抽選を行い、当選した場合には無料獲得したJリーグチケットを使って新規顧客を誘い出す、と言う仕組みである。
出典:https://dentsu-ho.com/
このようにJリーグおよび各クラブは、Club J.LEAGUEのサービスをフル活用して、スタジアムでのファン・サポーターとの接点を増やしながら、非日常的なスタジアム体験の向上を目指し、様々なマーケティング活動を行うのです。
この動画はClub J.LEAGUEの告知動画となっているようですが、アプリ利用者(誘う側)へのアプローチとしても、誘われる側としてもあまりJリーグを観戦しようと気持ちがそそられることはありません。
新規顧客のペルソナ設定
トライアルファン、潜在ファンをどのような人物と捉えているのかは分からないが、これまでスタジアムに足を運んだことのない人を、実際にスタジアムまで行かせることは至難の技です。
電通やJリーグの戦略通りに動いてくれる人が果たしてどの程度いるかは定かではないが、新規顧客がスタジアムへ足を運ぶ動機としては、たしかにコアファン(友達や家族、知り合い)からのお誘いが高確率で有効であるとは感じます。
ただ、あくまでもサッカー好きのトライアルファンをターゲットにした場合は、無料のチケットを魅力と感じるかもしれないが、潜在ファンやサッカーを知らない未知層のファン(ここではそう呼ぶ)に対して果たしてどこまで響くかどうかである。
トライアルファンでも、そもそもサッカーが好きでなければ今のJリーグを実際に無料で観て何を感じるかは疑問である。サッカーに興味を持ってもらえるまでのストーリー、すなわちリードナーチャリングが必要となるのではないでしょうか。
未知層のファンが例え無料でチケットをもらえるような状態であっても、もしかしたら時間や家族優先と言う理由により、スタジアムに足を運べない可能性もある。
例え無料観戦であっても断る理由を取り除く施策が必要ではないだろうか。新規顧客の中でもサッカーに興味がある潜在層、およびサッカーに興味がない未知層へのアプローチの仕方は異なるはず。
新規顧客がどのような年齢、性別、生活スタイル、価値観、家族構成、収入、インターネット活用有無など、Jリーグ観戦に最も重要かつ象徴的なユーザー像を設定する必要があるでしょう。
サッカー好きの潜在的新規顧客像
年齢 28〜34歳
性別 男性
生活スタイル 働き盛りのサラリーマン
価値観 仕事が生き甲斐
家族構成 妻とこども(男の子)
収入 400万〜700万
ネット活用 ほぼ毎日
Facebookアカウント 保有
Instagramアカウント 保有
Club J.LEAGUEは本来このようなペルソナを新規顧客ターゲットとしてアプリを展開するべきだろう。ここで重要なことは、アプリを活用する(誘う側)人間のペルソナ設定であり、仕事の息抜きにJリーグ観戦を一緒にいかがですか?と言う選択肢の動線を引いてあげる必要があるかもしれない。
そして、1番不明確なことはアプリ利用者への強制的なアプローチが出来ていたとしても、潜在層、未知層に対してどう接して行くのかである。
クラブのマーケティング活動の結果は周知の通り、数十年も観客動員数の横ばい状態といって過言ではない。そこを解決するための新規顧客獲得術を再考する必要があるのではないか。
リピーターの育成
そもそもこのClub J.LEAGUEが現行のコアファンやサポーターに対してのサービスをメインとしているのであれば話は別だが、明らかにアプリの最終的な目的と意図は新規顧客の獲得マーケティング活動の一環である。
リリースから半年経った今、アプリの利用者数はそこそこの利用者数がいるかもしれない。ただ、実際に無料特典を活用して新たにスタジアムへ足を運んだ新規顧客の数はどれぐらいいるのだろうか。
2017年10月21日には、アプリ利用者限定で2017年Jリーグアウォーズへの観戦募集を開始しており、計10,000人を招待した。このキャンペーンは明らかに誘う側、すなわち既存の顧客コアファンやサポーターへのサービスであり、新規顧客へのJリーグ観戦のキッカケとして活用されることはなかった。
10,000人も既存のコアファンやサポーターにアプローチできる余力があるのならば、10,000人の新規顧客をJリーグアウォーズへ招待すべきだったのではないだろうか。
勝手な妄想ではあるが、このキャンペーン自体がアプリ利用者数の推移が芳しくないことがうかがえる。どう言うことかと言うと、まずは既存顧客へアプリの活用を促すキャンペーンとも言えるからだ。
潜在層顧客や未知層顧客がJリーグを観戦するキッカケが、たしかに無料チケットの有効活用であることは否定しないが、キッカケを得た新規顧客がどのようなプロセスを経てどう言うゴールを描くのかがより重要ではある。
新規顧客の理想的な育成プロセス
①実際に無料チケットを使ってスタジアムへ足を運ぶこと
=キッカケの提供
※試合を観戦した感想を知ること
②観戦したサッカー、クラブ、選手、雰囲気(非日常)のいずれかに興味を持つこと
=新規顧客候補のリスト化
※人単位まで落とし込み誰が何に興味を持ったかを知ること
③実際にJリーグチケットを購入すること
=新規顧客の獲得
※新規顧客獲得導線の確保、横展開
④家族や友人、知り合い(ライト層)をJリーグに誘うこと
=新規顧客が新規顧客を呼ぶ導線
※ライト層の拡大
何を目指し何をする必要があるのか
Club J.LEAGUEが最終的にどのような方向に進むのかは不明ではあるが、ざっくばらんな目標設定は労力と経費を無駄にしている可能性もある。
自分自身の元へ是非、周りの人間からこんないいサッカーアプリ(サービス)が出たよと言われるよう育つことを期待している。
なぜなら、私こそが最強のライト層であるからだ。