夜にドイツのクラブのページを開いて、U19の所属選手の一覧を上から下へ送っていくと、読み方の見当がつかない名前がずっと続いたあとに、三浦春人という一行が入っている。18歳。鹿島学園高から、ダルムシュタットのU19/U21へ。Jのクラブとプロ契約を結ぶ段を踏まないまま、高校から直接ドイツの育成カテゴリに入った形。
ただ、この一行を最初に外へ出したのはクラブではありませんでした。マネージメント業務などを行うWorld Football Connectionが2026年9月17日に加入を発表しています。クラブの所属選手一覧のほうは、その発表を受けてから名前を照合しに行く先として開いた。知らせる人と、裏を取る場所が、別々に立っている。
AFC U17女子アジアカップ中国2027の予選グループEが10月5日に開幕し、インドがイラクに14-0、マレーシアがシリアに1-0で初戦を終えた。この結果はAFCのサイトに出ていて、記事の頭にはクアラルンプールと入っています。バーレーンの選手の話も、ウズベキスタンの話も、頭の地名は同じ。
点を取ったのはインドの選手で、1点を守ったのはマレーシアで、それぞれ自分の国の協会を持っている。それでも結果を出す名義は一つに揃っていて、クアラルンプールという同じ一語が全部の記事の頭にのっている。十年後にこの年代の予選を遡りたくなった人は、そこを開けば順に並んでいる。誰が出すかが決まっているというのは、結局そういうこと。
出す人がいない道
日本の育成年代で、この「誰の名義で出るか」がいちばんばらけるのが、高校生がそのまま国外のクラブへ行くときだと思っています。
Jクラブのユースからトップに上がるなら、クラブのニュース欄に出る。特別指定を受けるなら、JFAの選手育成のページと受け入れるクラブの両方に出る。高校3年生の加入内定も、採った側のクラブが夏のうちに出す。どれも、出すのが誰かが先に決まっている話。
ところが、高体連の高校から直接ドイツのU19へ、という道には、出す立場の人が見当たらない。学校は大会の結果を載せることはあっても、生徒の移籍を告知する役ではない。全国高等学校体育連盟は大会を運営する団体で、個人の移籍は扱わない。JFAも、特別指定のように認定の手続きが挟まっていなければ出番がない。受け入れ先はドイツのクラブで、日本語で知らせる理由は薄い。残るのが、間に立った会社。
第一報がマネージメント会社から出るのは、抜け道でも例外でもなく、他に出す人がいないからということになります。
数えられないまま並ぶ
名義がばらけると、積み上がらない。
Jクラブのトップ昇格なら、各クラブのニュース欄を一年ぶん遡れば人数は出る。特別指定ならJFAのページに名前が並ぶ。では、高体連の高校から国外のクラブの育成カテゴリへ直接入った選手は、これまでに何人いるのか。どこを何ページ開けば数え終わるのかが分からない。会社ごと、年ごとに散っていて、一覧になっている場所がない。
これは、次に同じ道を通ろうとする高校生と、その家の人にそのまま効いてきます。進路として比べるには、まず何人が通ったかを知りたい。何人が行って、何人がU19からU21へ上がって、何年そこにいて、どこへ移ったのか。Jクラブのアカデミーから上がった選手なら、昇格した年と国外へ出た年が経歴に必ず書かれているので、何シーズン国内にいたかを一人ずつ足していける。高校から直行した選手の経歴は、そもそも足し算ができるほど一か所に集まっていない。
三浦の経歴を見ると、鹿島アントラーズユースから高校2年のときに鹿島学園高へ転籍し、3年の全国高校サッカー選手権ではドリブルで大きなインパクトを残して2得点を記録しています。Jクラブのアカデミーと高体連の両方を通った三年間。そしてその三年間の情報は、クラブのアカデミーのページ、高体連の大会の記録、マネージメント会社の発表と、三つの別々の場所に置かれている。本人は一人なのに、追う側は三か所を行き来しないと一本につながらない。
日本の育成年代は、高体連と日本クラブユース連盟と全日本大学連盟に分かれていて、特別指定の目的文には種別や連盟の垣根を越えると書かれている。垣根を越える制度は書かれたけれど、越えた先で誰がそれを記録として残すかは、まだ誰の仕事にもなっていない。
次に高校生の海外行きの一報が流れてきたら、見出しより先に発表者の行を控え、この道を何人目が通ったのかを自分の手で言えるようにしておきたい。
出典: www.the-afc.com(2026-10-05)