高校から大学へ、その後のオノボフランシス日華選手
生田:遠藤さん、あの対談からしばらく経ちましたが、オノボ選手はその後どうなったんでしょう。高卒プロを目標に掲げていましたよね。
遠藤:彼は高校卒業後、プロ契約ではなく山梨学院大学へ進んだんだ。ただ、それを「目標未達」と片づけるのはもったいない選択だと僕は見ている。
櫻井:えっ、意外です。あれだけ得点を量産していたのに。何があったんですか?
遠藤:高校最後の一年は、光と影がはっきり分かれた一年だった。数字で見てもらったほうが早いかもしれないね。
直近のキャリア推移を数字で振り返る
| 時期 | 所属・大会 | 主な結果・出来事 |
|---|---|---|
| 2024年11月頃 | 山梨学院高(選手権県予選) | 3試合連続2ゴールで大会通算6得点、チームは7年ぶり8強 |
| 2025年1月 | 全国高校サッカー選手権 | 県予選準決勝での一発退場により3試合出場停止、決勝・全国大会2試合に出場できず |
| 2025年8月 | 全国高校総体(インターハイ) | 大会通算7得点でベスト8進出、優秀選手に選出 |
| 2026年春(1年生) | 山梨学院大学(関東大学リーグ3部) | 大学進学前にJ1クラブへ練習参加、リーグ開幕から3試合連続ゴール |
出典:ゲキサカ「山梨学院FWオノボフランシス日華(3年)_3戦連続2発で次は代表CB擁する神村学園」/ゲキサカ「出場停止でピッチに立てず…スタンドで高校サッカーの終わりを迎えた山梨学院FWオノボフランシス日華『本当に情けない』」/サッカーダイジェスト「『情けない』ベスト8敗退の悔しさを胸に。圧巻7発の山梨学院FWオノボフランシス日華が示した“別格の存在感”【総体】」/ゲキサカ「[関東3部]入部前はJ1クラブに練習参加…山梨学院大・規格外ルーキーFWオノボフランシス日華が開幕3戦連発」/ゲキサカ 選手名鑑「オノボフランシス日華」
退場という「想定外のコスト」
生田:これは経営の現場で言う、プロダクトは強いのに社内体制でつまずいた状態ですね。県予選準決勝での一発退場で3試合の出場停止。決勝と全国大会2試合をスタンドで迎えたというのは、本人にとってはかなり重いはずです。
櫻井:いちばん見てもらえる舞台に立てなかったんですね。想像するだけで苦しいです。本人も「本当に情けない」と言葉を残していて、その悔しさが伝わってきます。
遠藤:高校年代のストライカーにとって、選手権の全国大会はスカウトの目が最も集まる場だ。そこでプレーできなかった影響はゼロではない。ただ、指導者として言えるのは、退場は技術ではなく判断とコントロールの問題で、そこは伸ばせるということなんだ。
生田:失敗の原因が「能力そのもの」ではなく「運用」にあるなら、改善はしやすい。むしろ早い段階で痛い目を見た分、学習コストとしては安かったとも言えますね。
総体7得点が示した地力
櫻井:でも、その後の全国高校総体では通算7得点でベスト8、優秀選手にも選ばれているんですよね。しっかり立て直しているのがすごいです。
遠藤:そう、ここが彼の評価が落ちなかった理由だ。全国の舞台で7点を取るというのは、相手が対策を立ててくる中での数字だからね。ラインブレイクという武器が、全国レベルの守備ラインにも通用すると証明した。
生田:以前の対談で僕らが「スピードと1対1の強さを生かせれば」と話していた部分が、きちんと結果として出たわけですね。仮説が検証された感じがして気持ちがいいです。
櫻井:それでも本人は「情けない」と口にしていたと。前回も「自分のプレーに納得していない」姿勢の話をしましたが、やっぱり変わっていないんですね。
遠藤:ベスト8で終わった悔しさを、得点数で埋め合わせようとしない。この基準の高さは、年代別代表を目指す選手に共通するものだよ。
大学進学という選択の読み解き方
生田:高卒プロを掲げていた選手が大学に進む。外から見ると回り道ですが、僕は資金調達のタイミングを一度見送る判断に近いと感じます。条件が整わないまま契約するより、評価を上げてから次のラウンドに臨む。
遠藤:まさにそうだ。しかも彼は大学入学前にJ1クラブの練習に参加している。つまり、プロの現場の水準を肌で知ったうえで、大学という強化の場を選んだということになる。この順番は大きい。
櫻井:行く前に見ておくのと、知らないまま進むのとでは、練習の意味が全然違ってきますよね。
遠藤:前回、僕はフィジカルとメンタルの強化が必要だと言った。大学サッカーは体ができ上がった相手と毎週戦う環境だから、その課題を潰すには適している。関東3部からのスタートというのも、出場時間を確保しながら伸びるという意味では悪くない。
生田:そして開幕から3試合連続ゴール。1年生でこれは、環境が変わっても武器が機能している証拠です。ステージが上がるたびに同じ結果を出せる選手は、再現性がある。
櫻井:高校でも3試合連続2ゴール、大学でも開幕3戦連発。数字の並び方が似ているのが面白いです。
遠回りに見える道のつくり方
遠藤:若い選手たちに伝えたいのは、プロになる入口は一つじゃないということだ。高卒で行く道もあれば、大学を経て行く道もある。大事なのは、その期間に何を積み上げるかだよ。
生田:目標の達成時期がずれたからといって、目標そのものを下げる必要はない。むしろ「懸ける思いはだいぶ強い」という本人の言葉に、それが表れていますね。
櫻井:退場で立てなかった舞台があって、総体で結果を出して、大学で点を取り続けている。物語として本当に応援したくなります。これからが楽しみです。
遠藤:僕は卒業を待たずに評価が動くと見ているよ。結果を出し続ければ、必ず見ている人はいる。
生田:失敗を織り込んで走り続ける。やっぱりスタートアップ精神そのものですね。