教育論に発展するのでしょうか。サッカー選手は親への感謝の気持ちを忘れてはいけません。親の支援なくしてサッカーをすることはできないと言うことを。
あなたがどれほど上手か下手か分かりませんが、親の支援がなければサッカーすら出来ない環境であったかもしれませんので、決して親は支援して当たり前などと考えてはいけません。
当たり前ですが、サッカー選手でなくとも、それぞれの家庭で育つ環境は違い、親から受ける教育や躾の仕方も違います。中には親がいないサッカー選手もいるかもしれません。
選手はそんな親の支援とは別に、サッカーを始めるキッカケとしては、以下のような要因の他、様々な要素があると思います。
・親や兄弟や友達の影響
・キャプテン翼の影響
・Jリーグの影響
・そこにボールがあったから
何度も言いますが、選手はどんなキッカケでサッカーを始めようと、親の支援がなければサッカーはできないのです。
本日は、そんな親の支援があってこそできているサッカーですが、親が介入することができる範囲はどこまでかを考えたいと思います。
親の役割と役目とは
育成年代のサッカーの試合を観に行くと、親が観戦に来てわが子を応援している姿をよく見かけます。全員ではありませんが、熱心な親の力の入れ具合は、時に指導者を惑わせるほどです。
最近の指導者の話を聞いていると、一昔前と時代が変わったのか、親がクラブの方針や指導者の指導、起用方法などに介入して、親として本来やるべき役割や役目を超えた立場で発言していることを耳にします。
指導者はもはや親を納得させるための説得力や、プレゼン力が問われている時代に突入しているのでしょうか。
サッカーにおける親の役割と役目はどういうことか、役割と役目の違いをここで確認しましょう。
役割
役を果たすことを期待されている(Expect)
参考: http://www.italki.com/
言い方を変えると、他の人から求められたあるべき姿を指しているのでしょうか。
役目
役を果たさなければならない(Must)
参考: http://www.italki.com/
こちらも言い方を変えると、社会的に求められているあるべき姿を指しているのでしょうか。
上記の定義が正しいか分かりませんが、こう考えるとサッカー界で親に求めている役割としては、クラブや指導者が求める選手への「支援」かもしれません。そして、役目としては、サッカー選手の親として、選手への「支援」と言うことができるかもしれません。
選手に対して支援することは同じですが、なんとなくサッカー界での親の立ち位置や役割・役目が見えてきそうな気がします。では、具体的にどういう事か考えてみましょう。
親の役割として選手にできる支援(クラブや指導者の要求)
・クラブや指導者の応援
・クラブ外での選手の管理
親の役目として選手にすべき支援(親がするべきこと)
・選手の応援
・金銭面でのサポート
・食事面でのサポート
・精神的健康の管理(メンタルヘルスケア)
他にも色々ありそうな気がしますが、親はクラブや指導者に対してどこまで介入するか、自分の立場をわきまえることも必要かもしれません。
親が選手の成長の足かせになっている可能性もある
モウリーニョ、若手育成の持論展開「代理人と両親が台無しにする」
色んな親がいますが、確かに育成年代のサッカーを観戦している親の言動には、少し度が過ぎている場面に遭遇することもあります。
10代選手の成長を安全に見守るときに最も難儀なものは何か?それは代理人と両親の存在だ。選手がトップチームに定着するかどうかの時期に、代理人と両親は結果を急かす傾向がある。彼らは選手が未熟な状態にもかかわらず一流だと思い込ませる。キャリアが始まる前にお金のことを考えているんだ。その思惑が選手の才能を台無しにする
出典:http://www.footballchannel.jp/
結果を求めすぎる、結果を急ぐ、結果次第では見切りをつけるなど、まだまだ成長著しい選手に対して、常に結果を求めて支援している感が否めません。
すべての親がそうではありませんが、特にサッカーを経験していた親が選手を見る目は違います。
どちらかと言うと、私も18歳時点で代表に入れるような超ド級の選手が日本に育ってほしいと考えていますが、それは結果を急かしているのとは少し違います。世界のトップレベルで活躍する視点で考えたとき、18歳でJリーグレベル、20歳で世界の中堅クラブ、そして22歳でビッグクラブを経験することが今後の日本に必要な人材となるであろうと考えているからです。
宇佐美貴史は19歳でバイエルンミュンヘンというドイツの名門ビッグクラブを経験し、練習でオランダ代表のロッペンや、フランス代表のリベリのプレーを間近で経験することができました。
その後、本来の実力を発揮できずに中堅クラブを経て、ガンバ大阪へ戻ってきました。しかし、今の宇佐美貴史を見ると、もはや群を抜いて世界レベルに到達しているような気がします。それは若い時に世界レベルを経験したからこそ、Jリーグでは突出した存在にまで成長したのでしょう。また世界のビッグクラブへ移籍する日は近いかもしれません。
親の役割・役目として、京都サンガF.C.育成・普及部長の池上正氏は、フットブレインの番組内で「親は技術的なことに対し口を出さない方がいい。指導者に任せたらいい。」と述べていました。
それぞれの立場が違えばその言葉の受け取り方が異なることが言えますが、基本的にその考え方に間違いはないと思われます。親は選手の成長を止めるような言動は控えるべきです。
親は指導者ではないが、指導者の力量によっては親が指導者になることも
一方で、親が指導者の実力不足を感じ、親がサッカー経験者(しかもそこそこのレベル)であれば、選手に技術的な指導をクラブ外ですることも多々見受けられます。
最近私のFacebook上でも選手の成長やトレーニング(主に自主練)の成果をタイムラインで報告している親がいます。
その親のコメントとしては、指導者の実力不足や日本サッカーの飛び級できない環境に少し意見していることが多いのです。
指導者は指導者のプロとして、親よりもサッカーに詳しく、サッカーの指導に長けている必要がありますが、目の肥えた親に対して指導内容や育成方針を意見された時、少なくとも言いなりになってはいけません。
むしろ、そんな指導の領域にまで介入してきた親に対して、明確な指導方針や指導を選手に提示しなければなりません。間違ってはいけないのは親に対して指導するのではなく、選手に指導をして親を納得させることが必要となります。なぜなら親は指導者の一つ一つの指導を細かく見ているからです。
親と直接話をする機会があってもいいと思いますが、本来親の役割には指導内容に介入してくるようなことは度が過ぎていると考えられます。
しかし、それもまた指導者にとって肝心の「指導」がままならない親が感じた時、親に意見されて論破されても仕方ありません。それは周りや環境のせいではなく、紛れもなく指導者の指導不足(経験不足や勉強不足、もしくは実力不足)に過ぎません。
熱心な親は選手が打ち込んでいるサッカーを指導者より勉強しているかもしれません。そして、指導者は親に役割を果たしてもらう以上、最低でも親よりもサッカーに関しては上回らなければなりません。
現場で毎日サッカーに携わっている指導者と、現場で毎日顔を出さない親を比べると言うまでもありませんが、指導者がサッカーの指導に関してプロフェッショナルでなければなりません。
親の指導者化は、今後、より進んでいくと考えられますが、親も本来の役割・役目を再考すること、そして指導者はその親を納得させ信頼させる(選手を任せられると思わせる)ことができる指導を、選手にすることが必要となります。
日本サッカー界の未来を考え、指導者のプロフェッショナル化は早急に取り組むべき重要事項だと言えるでしょう。