選ばれた選手は1人、同じ便に乗った大人は2人。遠征の発表の下の行を数える

もし、海外遠征のメンバー発表から選手の名前を全部消して、大人の欄だけを残したら、そこに何行残るだろうか。クラブや協会が出しているああいう知らせを順に開いていくと、残るのはたいてい一行か、ゼロ行です。

コロンビアのサッカー連盟のページに、U-17の代表がスイスのニヨンにあるColovray Sports Centreでエジプトに2-1で勝った話が出ていました。U18 UEFA Friendship Cup 2026のグループAの最終戦で、得点はJhan MorenoとEdwin Echeverría。3試合で2勝1敗、6得点5失点。初戦はイングランドに2-3、次が韓国に2-1。カタールで行われるFIFAの世界大会に向けた準備の一部だと書かれています。先発はゴールキーパーのLuigi Ortizから11人、主将の印まで付けて並べてある。大人で名前が出ているのは、監督のFredy Hurtado一人。

11人の名前の下に、大人が一行。Fredy Hurtadoの横に誰が立ってあの3試合を回していたのかは、あの発表だけでは追えない。別にコロンビアを責めたい話ではなく、代表の遠征の知らせはどこもだいたいこう書かれる。主題は選手を選ぶことなので、連れていく大人は監督の名前一つで代表される。

日本も長く同じ書き方だった。ところが、FC東京が出していたものには、そうでない行が入っていました。U-18の米川祐輝、出身地は東京都世田谷区、出身チームはFCパーシモン。その選手がU-16 Jリーグ選抜のドイツ遠征に選ばれたという知らせの中に、藤宏明ヘッドオブアナリシスと江頭司峻育成アナリストの二人が、テクニカルスタッフとして同じ遠征に参加すると並べて書いてありました。

選手一人に対して、クラブから出る大人が二人。しかも職名が二つに割れている。

ヘッドオブアナリシスと育成アナリスト。片方が兼ねているのではなく、トップを見る側と育成を見る側で名前が分かれている。監督とコーチとGKコーチの三つで足りていたところに、四つ目と五つ目の肩書きが立った、ということ。選手の選出を伝える同じ文の中にその二つが入っているのは、クラブが遠征を選手のためだけの日程として組んでいないからではないかと。

一週間で持ち帰るものが多いのはどっちか

数えたいのは、何人が選ばれたかではなく、その飛行機に大人が何人、どういう肩書きで乗ったか。米川祐輝にとってドイツの一週間は一回きりで、帰ってくればFC東京U-18の日々に戻る。見てきたものは本人の中に残る。一方で同じ便に乗った育成アナリストは、帰国後も何年かそのクラブのアカデミーにいる。向こうで見た映像の撮り方や分け方は、その人が担当する年代の練習に毎週降りていく。

遠征を「選手に何を見せたか」だけで評価すると、効果は連れていった人数分でしか測れない。16人なら16人分。けれど分析の担当者が一人乗れば、翌シーズンその人が見る選手の全員にかかってくる。どちらが得かという話ではなく、職名まで書いて出しているクラブは、たぶんそこまで込みで日程を組んでいる。

名前が書かれない行は、後から追えない

海外遠征のレポートは、どのクラブのものも並びがよく似ている。移動にかかった時間、現地でのトレーニング、テストマッチの結果、選手のコメント。以前クラブの遠征レポートの書式を並べて読んだときも、そこに大人の欄はほとんど無かった。

選手の選出は記録に残る。年代別の選抜に入った一行は、そのあと何年も経歴に付いて回る。帯同したスタッフの一週間は、クラブが書かなければどこにも残らない。日本で育成の指導者の経歴が年表として読めるのは、クラブが公表した分だけ。誰がいつ何を見てきた人なのかを、外から積み上げる手がかりがない。

それは指導者を選ぶ側にも効いてくる。アカデミーのコーチを探すとき、持っているライセンスと、どこのカテゴリで何年やったかは分かる。けれど「U-16 Jリーグ選抜のドイツ遠征に分析で付いた」という一週間は、書かれていなければ存在しないのと同じになる。選手には公式の記録が付き、大人には付かない。同じピッチに立っていたのに。

次に年代別選抜の海外遠征の知らせが出たら、選ばれた選手の人数より先に、その下の行に職名がいくつ並んでいるかを数えて、そこに名前のあった人が一年後どの年代のグラウンドに立っているかまで見届けたい。

出典: fcf.com.co(2026-09-30)

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