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小倉隆史から学べるか、選手マネジメント術


監督と選手の関係性については、以前に以下のタイトルにて発信している。


サッカー監督と選手の主従関係


選手をマネジメントする立場である監督。ピッチの上を一つのクラシック会場と考えた場合、指揮者である監督がオーケストラ楽団の選手たちを、タクトで思うように動かさなければならない。


Jリーグ監督の立場を初めて全うしている名古屋グランパスの小倉隆史だが、選手をうまくマネジメント出来ているのかを問う。


結果の受け止め方と結果の出し方

2016年は監督初年度で自らGMを務めている名古屋グランパスの小倉隆史だが、今のところ監督初年度の成績は思わしくはない。


現役時代、大きな怪我を経験するが、若くして日本代表にも選出され、鳴り物入りでJリーグに入団した「元祖レフティモンスター」。


自分が現役選手であった時に偉大なる監督であるベンゲルから指導を受け、ある程度監督としての振る舞い方や選手マネジメント術を自分のなかに落とし込んでいるはずだ。


選手を指揮する立場として、自分が正しいと思うタクトの振り方をすれば良い。ただ、その振り方でプロとしての結果が出なければ、振り方を変えるかタクトを変えるしかない。


今ある結果が全ての真実。そして、その結果を受け止めている小倉隆史の顔は、誰が見ても苦しい表情をしている。


思わしくない結果を真摯に受け止めて、結果を出すために違う方向に一歩踏み出せるかどうかが大事である。考えが固執してしまった状態では結果はおそらく何も変わらず、むしろ流れは悪循環を招き抜けだせなくなるだろう。


新任看板の背負いすぎは前に進めない

自分はGMで監督である。そんな状態は誰がどう見ても疑問を感じてしまうが、名古屋グランパスは小倉隆史をそのようなポジションに就かせた。


監督初年度は結果が出ないのは仕方がないと言うのは、プロの世界では通用しない。むしろ、その年の結果によっては、今後の監督人生で大きな影響を与えるかもしれない。


プロフェッショナルの監督として結果を追求し結果にこだわるのは当然だが、もしシーズン最後に結果を残せなかったとすれば、自ら辞任するか、クラブからクビを切られるか、サポーターから非難を浴びるかのどれかである。


しかし、GMである小倉隆史はある程度自分の進退について自分で考えることができるだろう。しかし、一般的には監督の出した結果を見て周囲は判断をする。


また一方で、監督を評価し決断する人の中でも、もしかしたら結果だけを見ていないかもしれない。


要するに最終評価者(決断者)が誰なのかが重要なのである。


どういうことかというと、決して結果がよくはなかったが、クラブにとって新たな可能性が生まれた、選手からの人望が厚く次が期待できそうだった、今年の結果は考慮するが来年の結果を見てみたくなった、など、決断者が何を重要視し、どんな項目で、どのような決断をするのかを知っていれば、決して結果だけで判断されるようなことはないだろう。


いわゆるその人が残した実績を買う決断者が存在するということだ。実績は決して目に見える結果だけを指しているわけではない。


新任監督の看板を背負っている小倉隆史だが、監督としての実績はそこそこ残しているようで、特に選手からの人望は厚いかもしれない。


どんな選手も特別扱いすることなく、冷静に選手をマネジメントし、育成も含め大きなビジョンを描いているようだ。


ただ、はたから見ると「私は新任監督です」と気を張っているのが見てとれる。まだまだ周りの目を気にしすぎて自分の理想のサッカーを出し切っていない様子だ。


結果だけを見るのは自分と周囲の一部ぐらいだと考えればよい。自分の進退を心配しながら結果を出そうとするのは非常にナンセンスである。


厳しさの中でもチャンスを与える

選手目線と監督目線では視点が異なるため、両者の考えや想いは時に平行線を辿ることがある。


今シーズン、ヴィッセル神戸から名古屋グランパスに移籍を果たした安田理大も、少し監督との平行線を感じている選手の一人でもある。


安田理大は、開幕からレギュラーを勝ち得てチームの中心として活躍していた。しかし、ある日の練習で遅刻をしたことをキッカケに、数ヶ月間もの間ベンチ入りすることもなかった。


前節のベルマーレ戦でようやく本来のサイドバックではない位置で復帰を果たしたが、数ヶ月間のベンチ外通告は間違いなく小倉隆史監督からの制裁である。


他の選手に対して示しがつかない、プロ意識が欠けている、俺は厳しい監督だぞと言う見せつけなどあるかもしれないが、これまで監督によって潰された能力の高い選手をたくさん見てきた。


Jリーガーの中には確かにどうしようもない選手もいるが、監督の威厳を保つために選手を間違った方向にマネジメントするのは日本サッカーの成長を遅くしている。


一方で選手からの信頼が高い小倉隆史が、ここからどのように立て直し、どういう結果を残し、どんな実績を盾に来季の監督の座を守ることができるのか。


選手をマネジメントする小倉隆史流のやり方が吉と出るか凶と出るかはすぐに分かるだろう。

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