サッカーには、教科書に載っている用語のほかに、現場でしか通じない「言葉」がたくさんあります。
もちろん、普段の練習から毎日使うものもあれば、初めて聞くと「なんだそれ?」というものまで。本記事では、ありきたりな用語集には載っていない、現場で本当によく使われるサッカー用語をご紹介します。
ちなみに筆者は、以前の記事「オフザボールの動き〜満員電車編〜」に書いたように、通勤電車の中でもオープンスペースを探してしまうタイプです。サッカーの言葉も同じで、一度現場の言葉に染まると、日常にまで侵食してきます。
サッカーのプレー中や観戦中はもちろん、サッカーゲームをしている時にも、専門用語はよく出てきます。サッカー経験者が居酒屋でビールを片手に話し始めると、ここぞとばかりに専門用語を駆使し、話を右へ左へ展開し始めます。
サッカーの「アフター」とは?
検索でこの記事にたどり着く方が一番知りたい言葉のようなので、まずこの言葉だけは真面目に解説します。
「アフター」とは、相手がボールを離した後(=プレーの後)に、遅れて接触してしまうプレーの俗称です。主に「アフターチャージ」の略として使われます。「後ろからのチャージ」という意味ではなく、「(プレーの)後で」という意味です。
典型例はこの2つです。
・パスを出し終わった選手の足に、遅れてタックルが入る
・シュートを打った直後の選手に、勢いそのままぶつかる
なぜ反則になりやすいのか。ボールがすでに無いところへの接触は「ボールへのチャレンジ」になりようがなく、相手の身体だけに向かう危険なプレーになるからです。
なお「アフター」という言葉自体は競技規則には出てきません(あくまで現場の俗称です)。反則かどうか、カードが出るかどうかは、サッカー競技規則(JFA)第12条の基準で段階的に判定されます。
・不用意(注意や配慮を欠いたチャレンジ)→ 直接フリーキック。カードなし
・無謀(相手にとって危険になることを無視した行動)→ 警告(イエローカード)
・過剰な力(必要以上の力で相手の安全を脅かす)→ 退場(レッドカード)
つまり「アフターだから即イエロー」ではなく、その遅れた接触がどれだけ危険だったかで重さが決まります。とはいえ、遅れたタックルは足がボールに届かないぶん「無謀」と判定されやすいのも事実。現場では「今のはアフターだろ!」という抗議の声とセットで覚える言葉です。
【サッカー用語講座】
ここからが本題の(?)現場用語集です。あくまでもサッカー素人のための用語集ということで、初級編・中級編・上級編に分けてご紹介します。
サッカー専門用語<初級編>
「オフサイ」
「オフサイ」とは
オフサイとは、オフサイドの活用形です。サッカーを経験していると活用が異なります。
①オフサイド→②オフサイ→③オフ
特にDF出身の選手がよく口にし、サイドバックの選手が最終活用形であるオフを使用します。
「股」
「股」とは
読んで字のごとく、股(また)と読みます。相手の選手やチームメイトの股にボールを通すことです。
プレー中の相手選手に対してはもちろん、少し離れたところに歩いている人をターゲットに、股が開く瞬間を狙ってボールを通すには、非常に高い技術が求められます。
綺麗に通った場合、「股!」と叫ぶことができます。若干足に当たって通った時は、「当たり股」となります。
「マイボー」
「マイボー」とは
サッカーを観戦していると、スローインになった瞬間、どちらが外に出したか分からない時、選手たちは一斉に「マイボー(My Ball)」と叫んでいることに気付きます。
しかし、よく考えると、あなたのボールではありません。チームで戦っているので、「アワボー(Our Ball)」と叫ぶべきです。それもおかしいか。
ちなみに、海外で「マイボー」と言うと笑われるので注意が必要です。
「ドフリー」
「ドフリー」とは
誰にもマークされていない、完全にフリーな状態のことです。「ド」は「ド真ん中」「ド定番」の「ド」。つまりフリーの最上級です。
「ドフリーだぞ!」とパスを要求した以上、外すことは許されません。ドフリーで外した時の気まずさは、サッカーにおける罰ゲームの最上級でもあります。
サッカー専門用語<中級編>
「キュンキュン」
「キュンキュン」とは
その選手のプレーのキレ味の度合いを表しています。ノリに乗った選手に対して、よく「あいつ、キュンキュンだな!」と言ったりします。これにも3段階活用があり、
①キュンキュン→②ギュンギュン→③ギュインギュイン
ギュインギュインになると、もはや誰も止めることはできません。
「半歩右」
「半歩右」とは
反義語である半歩左でも同じですが、FK(フリーキック)の際に、GK(ゴールキーパー)がチームメイトで壁の基準になっている選手に対し、「右、もう少し右、もうちょい、半歩右!」という風に使われています。
壁の基準となる選手はボールを見ずに、GKの方を見て指示を仰ぎ、壁全体を右へ左へ動かす重要な役を果たすのです。
「タメ」
「タメ」とは
よく見かけられる「鳥かご」や「回し」といった練習で使われる言葉です。その練習は「3対1(略してサンイチ)」や「4対2(略してヨンニー)」とも言われますが、人数によって言い方は違います。鬼(少数)が中に入り、外(多数)でボールを回しているのを取るだけです。鬼はパスを20回まわされたらタメ1です。要するに、鬼はボールを取ったとしても、鬼をもう一回やらなければならないということです。タメがどんどんたまりにたまっていくと、もはやイジメの状態です。タメ10になると、もうお金を払ってタメを清算するしかありません。あと、目が回ることが多々あります。
「デュエル」
「デュエル」とは
英語で「決闘」のことです。サッカーでは1対1の球際の争いを指します。元日本代表監督のハリルホジッチ氏が繰り返し使ったことで、日本のサッカー界に定着しました。
かつて現場で「球際」「1対1」と呼んでいたものが、カタカナになった途端に強そうに聞こえるのがポイントです。「今日はデュエルで負けるな!」と言われたら、「球際で戦え」という意味です。
サッカー専門用語<上級編>
「間3」
「間3」とは
「間3(あいださん)」と読みます。先ほどの「回し(筆者はこちら派です)」で鬼が2人以上いる場合、鬼と鬼の間にパスを1回通したら「間1」、2回なら「間2」。鬼は間を3回通されると、なんと「タメ1」になるのです。間3の直後に「股」を喰らい、すぐにタメ2になることがあるので注意が必要です。
「マリーシア」
「マリーシア」とは
ポルトガル語で「ずる賢さ」のことです。ブラジル発祥の言葉で、ルールの範囲内で勝つための駆け引き全般を指します。
時間の使い方、ファウルのもらい方、審判の見えないところでの駆け引き。日本では「ずるい」と眉をひそめられがちですが、南米では褒め言葉です。使いこなすには経験値が必要なので、上級編としました。
「アフター」
「アフター」は冒頭で真面目に解説した通りです。ネタ用語集の枠に収まらなくなった、この記事の出世頭です。
以上、現場で本当によく使うサッカー用語集でした。


