県協会のサイトに上がってくる大会要項とか、あのへんを順に開いていくと、だいたい同じ順番で並んでいる。開催期日、会場、参加資格、競技方法、競技時間。読むほうも慣れて、競技時間の行まで来たら、あとは組み合わせ表に飛んでしまう。試合が終わったあとの時間について何か書いてある欄は、まず出てこない。終わったら整列して、握手して、荷物をまとめて次の会場か家へ帰る。それが当たり前すぎて、そこに分数を割り当てるという発想を持っていなかった。
パラグアイで9月8日から20日まで、CONMEBOL Liga Evolución Sub15の2回目が男女同時に行われます。南米の10協会が各カテゴリーに出て、13日間で男女それぞれ25試合、合わせて50試合。北と南の2組に分かれた総当たりで、各組上位2チームが最終日の決勝に進む形。試合は40分ハーフのあとに20分の「第三の時間」が置かれ、両チームが同じ部屋に入って15〜20分の対話を専門家が進めます。テーマは4つ決まっていて、ピッチの内と外でのリスペクト、自分の違いが自分の価値になること、勝ち方と負け方、そして誤りは成長の道であること。第2節からはスタッフが入らず、選手だけで行うと説明されています。入場は無料。
10日あまりに詰めた夏に、20分は入るか
日本の同じ年代の全国大会を、日程の側から見てみる。第41回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)は8月14日にグループステージが開幕し、18日にラウンド32、19日にラウンド16、21日に準々決勝、22日に準決勝、24日に決勝。勝ち上がるほど中1日になり、決勝は横浜F・マリノスジュニアユースが川崎フロンターレU-15生田を延長の末に4-3で下している。真夏の10日あまりに全国の日程が収まっているということ。
この並びに、全試合の直後20分を足せるか。会場の使用時間、審判の割り当て、次の試合のキックオフ、宿舎までの移動。20分は20分では済まない。日本の夏の全国大会は、試合と試合の隙間を極限まで削ることで成立していて、削った先にあるのが暑熱と連戦の議論。試合後に何かを置くという話は、その議論の手前で自動的に落ちている。
落ちていること自体は、誰かの怠慢ではない。トーナメントで日数を切り詰める設計を選んだ以上、そうなる。逆に言えば、20分を置けるとしたらトーナメントではない。U-13サッカーリーグ2026長野は第12節が8月29日、第13節が9月22日で、あいだが3週間以上あく。詰まっている大会と、間延びしているリーグ。日本の育成年代の日程は、この両端で組まれている。
学ぶ時間は大会の外にあって、家庭が払っている
日本にも、リスペクトや失敗の扱いを扱う時間が無いわけではない。ただし置かれている場所が違う。
水戸ホーリーホックのGKスクール中学生コース後期は、木曜18:30〜20:00の全8回で、参加費は1回2,000円。第1回が基礎技術とリカバリーアクション、第2回がポジショニング、第4回と第5回がクロス、第8回はそこまでの達成度に応じて内容を決める、という積み上げ式で組まれています。指導者の側も同じで、愛知県サッカー協会は名古屋グランパスアカデミーと組んだコーチングセミナーをU-15とU-12に分けて開いている。
どちらも中身は具体的だ。ただ、どちらも大会の日程表の外にある。選手が上乗せで学ぼうとすれば平日夜の1回2,000円と送迎が要り、指導者が学ぼうとすれば県協会の別日程に出向く。学びが公式戦とは別売りになっていて、買える家庭と買える指導者に届く。南米の大会が50試合すべての直後に、入場無料の大会の中へ入れたのとは、費用の負担者が入れ替わっている。
その時間の担当者という職が、要項に無い
もうひとつ違うのが、誰が仕切るか。第三の時間は専門家が進め、第2節からはスタッフが入らない。選手だけの部屋にする、と決めている。
日本の育成年代で、大会の中に教える人を置く形はある。メニコンカップ2026 日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)は9月13日11:00から三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で行われ、EASTの監督は横浜F・マリノスジュニアユース監督の梅津博徳、WESTの監督はサンフレッチェ広島F.Cジュニアユース監督の岡本知剛。現場のクラブ監督がそのまま選抜を率いる。ただしこれは試合を戦うための配置で、試合が終わったあとの時間を持つ人ではない。青森県サッカー協会が配っているハンドブックの目次を見ても、年間カレンダー、春季大会要項、高校総体要項、新人戦要項、選手権要項と並ぶなかに、その職の名前は出てこない。
書かれていないだけで、実際には起きている。クラブユース選手権の決勝で敗れた川崎フロンターレU-15生田の主将、上野煌士郎選手は「負けた時は泣きたくない。冬にしっかり勝って、その時に泣けるようにしたい」と話していました。試合が終わった直後に、自分で意味をつけている。要項に分数が無くても、15歳はそこで何かを決めている。20分を書き込むかどうかは、その作業を一人でやるか、さっきまで戦っていた相手の選手と一緒にやるかの差ではないかと。
置く場所の候補はもう見えている。高円宮杯 JFA U-16サッカーリーグ2026 埼玉のように、県高体連サッカー専門部が運営して県協会が窓口になっているリーグ戦。長野のU-13リーグのように節と節のあいだが空いているリーグ戦。夏の全国トーナメントに20分を差し込むのは無理でも、週末に1試合ずつ積むリーグなら、競技時間の欄の下にもう1行足せる。
これから県協会のサイトで要項を開くときは、キックオフ時刻ではなく競技時間の欄の下を先に見て、試合が終わったあとの分数がどこかに書き込まれる日が来るかを見ておきたい。
出典: www.conmebol.com(2026-09-03)
