30時間かけて4試合。中2のドイツ遠征を、移動時間のほうで割ってみる

30時間。

羽田を出て、ハノイで乗り継いで、フランクフルトに降りるまでにかかった時間です。ブラウブリッツ秋田のU-15B、つまり中学2年生のチームが7月21日から28日までドイツへ行ったときの記録にそう書いてありました。着いてすぐトレーニングをしている。

向こうでやった試合は4本。5-4で勝ち、3-5で負け、0-1で負け、最後が1-7。1勝3敗。最終戦は攻守の1対1で強度と速さに圧倒され、押し込まれる展開だったと報告されています。2戦目は前半に相手の技術と体で何もできず、ハーフタイムに選手たちが自分らで話し合って、後半に3点返している。

移動30時間、試合4本。片道だけで割っても、一本あたり7時間半の移動がぶら下がっている計算になる。往復で見れば15時間。

ガーナのU-17代表が、ブルキナファソのワガドゥグで行われているWAFU Zone B U17選手権のグループA最終戦を0-0で終え、2勝1分の勝ち点7でグループ首位を確定させた。トーゴに1-0、ベナンに3-1、3試合で4得点1失点。準決勝の相手はグループB2位で、ナイジェリアとコートジボワールの最終戦の結果を待っている状態。勝ち上がった先には2027年のU-17アフリカネイションズカップ出場がかかっている。

ガーナの子たちが3試合でやっていることと、秋田の中2が4試合でやっていることは、見た目の本数がほとんど同じ。違うのは、ワガドゥグに集まった国がどれも地続きの近さで、しかもその3試合が勝ち点になり、順位表になり、次の大会の出場権につながっていること。秋田の4試合はテストマッチなので、どこの順位表にも載らない。一本あたり7時間半を払って、順位表のない試合を4本。

日本の中学生年代で、国際試合はどこに置かれているか

海外へ出ること自体は、もう特別な話ではなくなっている。JFAとアディダスのDREAM ROADのように協会と企業が組んで毎年回している派遣があり、Glico チャレンジツアー国際親善マッチのようにスポンサー名を冠してU-14が欧州のクラブと公式に対戦する企画もある。秋田のようにクラブ単位でチームごと動く例もある。助成金と協賛とコーディネートする会社が揃えば、J2やJ3のクラブでも組める値段になった。

ただ、国際経験の配られ方は同じではありません。以前女子の海外派遣が4名という人数で配られている話を数えたときは、行き先が増えても渡されているのは個人の席だった。秋田のドイツ遠征はそこが違う。U-15Bという、トップチームではないほうの学年集団が、まとまって30時間を移動している。選ばれた数人ではなく、ふだん一緒に練習している全員で同じ飛行機に乗っている。

そのかわり、使っている時間が重い。夏休みの8日間のうち、往復で丸一日以上が空の上と乗り継ぎのロビーに消える。同じ夏、国内ではクラブユース選手権U-15が動いている。全国に出たチームは、移動が数時間の会場で、負ければ終わる試合を続けている。中学2年生の夏をどちらに置くかは、クラブが先に決めている。

1-7まで書いてあることのほう

読んでいていちばん引っかかったのは、1-7が消されずに載っていることでした。勝った5-4だけを抜き出して書くこともできるのに、4試合ぶんのスコアが順番に並んでいる。最終戦で何に押されたかまで書いてある。

遠征の報告は、たいてい「貴重な経験になりました」で終わる。そうなると、30時間かけて何本やって、何点取られたのかが外から数えられない。数えられないものは次と比べられないので、翌年また同じ行き先に同じ日数で行くことになる。秋田の記録は、点差まで出ているから比べられる。来年もしドイツに行って0-1と1-3で終わったなら、それは1-7からの移動分として読める。

現地ではバイエルン・ミュンヘンとヴィースバーデンの試合も見ている。3部との一戦に10代が何人も出ていて、同年代が公式戦に立っている光景に刺激を受けたと書かれていました。試合を見たことも、30時間の中に入っている。

中2の8日間は、親の夏休みでもあり、兄弟の予定でもあり、クラブの年間の予算でもある。そこから15時間ぶんを移動に出して、順位表に載らない4試合を買っている。高いとも安いとも言えない。ただ、どれだけ払って何本やったのかは、報告のページに全部書いてあった。

次に遠征の知らせが出てきたら、勝ったか負けたかの前に、往復の時間と試合の本数を並べて、一本あたり何時間の遠征だったのかを出してみるつもりです。

出典: www.ghanafa.org(2026-10-16)

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