クラブの質を外から認めるなら、誰が何本の締切を越えることになるのか

もし日本に「このクラブは育成の質が一定の水準にあります」と外から判定する段取りがあったとしたら、その作業を実際にやるのは誰なのか。練習前にグラウンドの鍵を開けている人なのか、それとも別に事務を見る人がいるのか。そこから考えたい。

イタリアサッカー連盟の育成部門が置いている「育成クラブの質の制度」で、2・3・4のレベルを目指すクラブが参加の意思表明を出す期限が9月30日に設定されていた。10月2日付の公式通達で、この期限に延長はないと明記されている。続く書類一式の提出期限は10月31日から11月15日へ動いた。1のレベルを目指すクラブはこれとは別の日程で、意思表明の書面が10月31日、オンラインの登録手続きが12月31日。

引っかかったのは、レベルごとに締切が二本ずつ置かれていること。クラブが認められるために越えるのは、グラウンドで起きることではなくて、まず日付。この形を日本の育成年代に当てて、同じものを数えてみたい。

県協会とクラブが並んで名前を出す回

愛知県サッカー協会が、名古屋グランパスアカデミーと組んで「2026 AIFA・名古屋グランパスコーチングセミナーU-15」と「2026 AIFA・名古屋グランパスコーチングセミナーU-12」を開くことを公表しています。名前のとおり、U-15とU-12で二本に割れている。

この二本は、イタリアのレベル別の締切とは数え方がまるで違う。あちらはクラブ側が書類を出し、連盟がそれを受け取って水準を認める向き。こちらは県協会とJクラブが組んで場を開き、来たい指導者が来る向き。出すほうと受け取るほうが逆になっている。

そして日本側で数えられるのは、締切の本数ではなく開催の回数。U-12で一回、U-15で一回。その回に誰が座ったか、座った人がどのチームの子どもの前に戻っていくのかは、告知の文面からは出てこない。愛知県内で小学生年代の子どもを見ている大人が何百人いて、そのうち何人がこの二回に来られたのか、という分母の話はどこにも置かれていない。

年代で割ったのは誰の都合か

U-12とU-15に分けて開くこと自体には、はっきりした意味があります。小学生年代に教える中身と中学生年代に教える中身を別物として扱っている、ということだから。同じ内容を一回で済ませるなら割る必要がない。

ただ、割った結果として、一人の指導者が両方に出たければ二回ぶんの日程を空けることになる。街クラブで小学生と中学生を両方見ている人は珍しくない。平日の夜に練習があり、土日に試合がある人が、この二回に行くかどうかは、本人が勤め先に休みを出せるかどうかの話になります。

イタリアの制度は、期限を守れたクラブとそうでないクラブを切り分ける。延長はないと通達に書いてある以上、9月30日を越えられなかったクラブは今季の2・3・4レベルの列から外れる。日本のコーチングセミナーは誰かを外さない代わりに、来られた人と来られなかった人の差を記録しない。どちらが良いかという話ではなく、数えているものが違う。

名前が残るのは子どもの側だけ

Jクラブが2種登録や昇格内定を公表するとき、選手の経歴は街クラブからジュニアユース、ユースと一行ずつ残る。ところが、その街クラブで何年も教えていた人がどこで何を習ったのかは、どの文書にも出てこない。経歴が積まれるのは子どもの側だけで、大人の側は積まれない。

愛知の例で言えば、名古屋グランパスアカデミーの方法論が県協会の回を通って県内のU-12・U-15の現場にどれだけ届いたか。届いた先がどの大会の、どのチームなのか。全日本U-12にも、高円宮杯のU-15リーグにも、その痕跡を数える欄はありません。

数えるものを一つ足すなら

日本の育成年代に、クラブ単位の認定を作れという話をしたいのではない。イタリアの通達を読んでいて思ったのは、期限が二本置かれている制度には、少なくとも「誰が出したか」の名簿が残るということ。残れば次の年と比べられる。

コーチングセミナーが年代別に二本立っているなら、その二本に来た人がどの市町村のどのカテゴリーに戻っていったのかを、県協会の側が一行ずつ持っていてもいい。愛知でU-12の回に来た人数と、同じ県でその年に全日本U-12の県大会に出たチームの数を並べれば、県の育成が何割の現場に触れているのかが初めて数字になる。

次に県協会のお知らせでコーチングセミナーの文字を見たら、開催の案内ではなく、終わったあとの報告が出ているかどうかを先に探す。何人が来たのか、その一行があるかどうか。それが分かるようになるまでは、育成の質を語る言葉はグラウンドの外側に積まれないままになる。

出典: www.figc.it(2026-10-05)

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