クラブのページに新しく載る、昇格とか登録とか、ああいうのを順に開いていくと、選手の名前のすぐ下に高校の名前が並んでいる。モンテディオ山形が2種登録を公表したとき、二人とも所属高校として東北文教大学山形城北高等学校が書かれていました。ユースの選手であり、同時にその高校の生徒。所属は一行では終わらない。
呼べなかった理由が、選考ではなく所属だった
2026年9月6日、ベトナムサッカー連盟のサイトに、U20アジアカップ2027予選グループC最終節のあとのコメントが載りました。U20ベトナム代表を率いる Yutaka Ikeuchi 監督は、早い時間に先制して立ち上がりは想定どおりだったが、後半はU20イランの圧力と強さを抑えられなかったと話しています。突破は逃したうえで、この世代には将来性があり、いま最も足りないのは実戦の経験だと述べました。そして、U19 SLNAの何人かが予選に参加できなかったことについて、コーチングスタッフが選ばなかったのではなく、彼らが所属クラブでV.Leagueの準備と試合をする任務があったためだと説明しています。([出典](https://vff.org.vn/hlv-yutaka-ikeuchi-tin-vao-tiem-nang-phat-trien-cua-cac-cau-thu-tre-u20-viet-nam/))
呼べなかった理由が、能力の判断ではなく所属の側にあった。一人の10代の選手を、クラブと代表が同じ日程の上で持っている。
三行、四行と積み上がっていく
日本の高校生年代は、この重なりがもっと細かい。
2種登録は、クラブの説明では「日本サッカー協会第2種チーム(高校生年代のチーム)に所属しながら、Jリーグの公式戦に出場することが認められます」という形。山形の二人の経歴は、北部FCやQuinto鶴岡FCという街クラブから、ジュニアユース村山・庄内を経てユースへ、と書かれています。つまり高校に通いながら、クラブのユースに所属し、トップの公式戦の登録にも名前が載る。一人の下に三行。
2026/27シーズンにU-21 Jリーグが始まって、そこにもう一行が加わりました。清水エスパルスの北本久仁衛U-21監督は会見で、ユースの選手がメンバーに絡んでくると思う、ユースにはプリンスリーグという大切なリーグがあるのでそことのコミュニケーションが大事になる、臨機応変さが必要になる、と話しています。高円宮杯の各カテゴリーとU-21の日程を、同じ身体が同時に持つ。誰をどちらに出すかは、トップとU-21とユースの三者で決まる。
特別指定はさらに外側とつながる。所属チーム(大学又は高校等)に登録したまま、受入先のJクラブの選手として公式戦に出る制度で、2026年8月には帝京高校の渡辺莉太選手や修徳高校の舘美駿選手、豊川高の大下蒼生選手が認定・承認されています。認定の条件に「同選手をJリーグの公式試合に積極的に出場させる具体的計画」が入っていて、申請は毎週火曜日正午まで、認定は毎週木曜日。週ごとに回るので、シーズンの途中で所属の行が増える。
日本は、どちらが偉いかを決めずに三点で割った
面白いのは、日本のこの重なりが「クラブが離さない」という揉め方をあまり表に出さないところ。
特別指定の運用は、一人の未成年が学校とJクラブの両方に属する状態を三つに分けて書いてあります。ひとつは同意で、受入先のJクラブは所属チームと選手本人の双方と合意したうえで申請し、未成年なら保護者の同意も要る。所属チームが大学サッカー部に準じるチームや一般ユースチームなら、通学する学校の合意も併せて要る。ふたつめは懲罰の適用範囲で、所属チームの試合で科されたものは原則として所属チームの試合にのみ適用される。みっつめは費用で、活動にかかる交通費等は受入先のJクラブが負担する。認定の解除にも合意が要り、争いが生じた場合はJFAが決定する。
育成型期限付き移籍も同じ書き方をしている。福島ユナイテッドFCに加入した湘南ベルマーレの本多康太郎選手の場合、期間は2027年6月30日まで、湘南と対戦する全ての公式戦に出場できない、と条件が先に置かれている。優先順位を争わせずに、同意と罰と金の負担者を先に書いて通す。日本の育成年代の制度は、だいたいこの癖で書かれているのではないかと。
増えた行の分を、誰が背負っているのか
ただ、割ったのは権利と費用であって、手間ではない。
トップ昇格の発令は2027年1月からになりました。FC東京U-18の田中遥大選手も、モンテディオ山形の佐藤陸斗選手も、高校3年の3学期にプロになる。学校の卒業と入団の日付が一致しない。ここに2種登録、プリンスリーグとU-21の日程調整、特別指定の週次の申請、そして県の高体連サッカー専門部が組む春季・総体・新人戦・選手権の年間カレンダーが重なる。同意の当事者を数えると、本人、保護者、通学する高校、所属チーム、受入先のJクラブ、認定するJFA。六者。
書類の宛先は増えたのに、その連絡を実際にやる人を数える欄はどこにもない。ユースの監督が電話をかけ、家庭が送迎と署名を引き受け、選手が身体で吸収する。ベトナムの一件が「クラブの任務があるので招集できなかった」と一文で説明されたのに対して、日本は同じことを六者の合意に分解して見えなくしている、という差でしかない。
昇格や登録の知らせを開いたときに、これからは名前の数ではなく一人の下に何行の所属が並んでいるかを先に数え、増えたその一行を誰が背負っているところまで見にいく。
出典: vff.org.vn(2026-09-06)
