児玉新選手からのメッセージ|清水エスパルス – 公式WEBサイト
以下、清水エスパルスより
清水エスパルスサポーターの皆さん、そして、静岡で大変お世話になった全ての皆さん、お久しぶりです!児玉新です!
この度現役を引退することになりました。まさか自分がこのような形で報告させてもらえるとは思っていなかったので、本当に感謝しています。
エスパルスには2007年に加入し、2011年まで5年間プレーさせてもらいました。選手として合わせて5チームでプレーしましたが、その中で最もたくさんの試合に出場することができました。
ガンバ大阪のユースで育ち、トップチームでプレーした自分にとって清水エスパルスは中学、高校時代の選抜や代表で仲良くなった友達のいるチームというのが最初の印象でした。その時は、そのチームが自分にとってかけがえのないチームになるとは思ってもいませんでした。
2001年にガンバのトップチームに上がり優勝も経験しましたが、ほとんど試合に出ることはなく、2006年に京都サンガに移籍しました。サンガでは試合を経験することができましたが1年で降格してしまいました。そして、そのタイミングでエスパルスから移籍の話を頂きました。とても悩みましたが、試合に出る喜び、試合に勝つ喜びをもっと味わいたいという気持ちが強く、決断したのを覚えています。
その後エスパルスに加入が決まったものの、関西人なのに人見知りの自分が受け入れてもらえるか正直不安でした。もちろん新しい環境では大変なこともありましたが、皆さんにとても優しく受け入れてもらって安心したと同時に頑張らないといけないと強く思いました。練習では三保の海岸での砂浜ダッシュなど自分には新鮮なものばかりでした。砂浜練習の前日には雨乞いをしたほどきつかったですが、大抵は雨も降らず頑張って走っていました。ただつらいときも、若手からベテランまでいい意味で仲が良くまとまっていたので、しっかりしたトレーニングから試合への戦いに繋がっていたように今では感じています。
その中で自分がとても影響を受けたのは、キャプテンをされていたヤマさん(山西尊裕)です。自分たちの前では常に明るく盛り上げながら、すべてに真面目に取り組む姿勢はサッカー選手としてはもちろん人としても尊敬していました。そして同じポジションにそんな選手がいることは、大きな刺激となり良い経験となりました。
印象に残っている試合は、色々あって選ぶのが難しいです。あえて一つ挙げるならば、2008年トリニータとのナビスコ杯決勝ですかね。
自分にとって最初で最後の自分が出場して優勝するチャンスでしたし、何が何でもという気持ちで挑んでいましたので、負けたこと、自分のプレーができずに途中交代で試合が終わってしまったことがとても残念で今でも悔しいです。それと、自分だけでなく皆さんの記憶にも強く残っていると思うのが、2009年4月29日レッズ戦のスーパーゴールですね!(笑
かっこ悪い喜び方、選手皆からの祝福の様子、マルコス・パウロのユニフォームを引っ張る力の強さ、すべてがいい思い出になっています!
唯一悔いが残っているのが、あれが同点ゴールだったことですね。逆転ゴールなら、もっとかっこよかったのにと思いますが・・・。初ゴールだっただけに喜びすぎました。素晴らしい日本平スタジアム(IAIスタジアム日本平)でプレーできたことも、大きな喜びでした。何度もベストピッチ賞に選ばれるのも納得するほど常に芝生の状態が良く、ここだけの話、トラップのうまくない自分にとってボールの転がりが安定していることは次のプレーに移る上でとても重要なことでした。なので、芝生を管理して下さっている方への感謝の気持ちは他の選手以上に大きいです。
そしてサポーターの応援がすぐそばで聞こえてくるスタジアムの雰囲気も大好きでした。在籍した他のチームのスタジアムは全て陸上競技場だったので、同じ応援でも迫力が全く違って聞こえて、自分の力になることを実感しました。そして何よりもサンバの独特なリズムは、相手にすると嫌な空気を感じ、味方だといつでも一緒に戦っている気分になりました。もちろん、サッカーを見る目が厳しい分、ミスしたときにはそれなりの叱咤の声が聞こえてきましたし、勝てないときには、バスを囲まれてしまったこともありましたが、いつでも熱くて優しいサポーターの皆さんのおかげで頑張ることができました。
たくさんの出会いをさせてもらいましたが、その中でこんな言葉が頭に残っています。
テルさん(伊東輝悦)と戸田光洋さんに、ご飯を食べによく連れて行ってもらいました。この3人だと結構真面目な話が多かったのですが、ある時、戸田さんが「テルさん、サッカーって何ですかね?」と質問されました。その答えは、「サッカーはサッカーだよ。」と。あれだけ試合に出ていても100%でプレーし続け、情熱を持ち、サッカーを楽しめているからこその言葉に感銘を受けました。そしてもう一つはフローデ・ヨンセンの言葉です。顔はかっこいいし、紳士的で、何事にも前向きで、こんな男になりたいと思う選手でした。なれないですけどね・・・。そのフローデがいつも言っていたのが、「IT IS LIFE」です。常にチームのためにプレーして、点もたくさん取ってきた選手でしたが、「頑張ったんだから勝っても負けてもそれが人生だよ。だから楽しむのが大事だよ。」といつも言っていました。ノルウェーに帰国してからも、得点王になったり、代表に入ったり素晴らしい活躍ですが、変わらず何事も楽しんでいるんだろうなと思います。
そういった貴重な出会いの中で日々勉強、成長させてもらいました。
エスパルスに在籍した最後の年は色々ありました。なかなかメンバー入りはおろかトップチームでの練習にも入ることができませんでした。また、今まで入ったことも無かった監督室に何度も呼ばれましたし、意見の食い違いもあったりしました。しかもそのタイミングで大きな怪我をしてしまい、どうしようもなくつらく苦しかったシーズンでした。そんな中でもたくさんの人たちに支えられたり相談に乗ってもらったりして、怪我のリハビリもなんとか乗り越えられました。
今、改めて在籍したあの時期を振り返り、チームメイト、スタッフ、ホペイロ、洗濯のおばちゃん、よく行ったご飯屋さん、スーパーの方までも家族のように自分を受け入れてもらえていた素晴らしい環境にあるチームで、楽しく、刺激的で、学ぶことの多い日々を過ごすことができたことに、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
現在のエスパルスには、自分が在籍した頃のメンバーがほとんど残っていませんが、清水というサッカー文化の根付いた「まち」はサッカーをするのには、特別な環境であり、今も何も変わっていないと思います。選手にはそんな環境を作ってもらっていることに感謝し、甘んじることなく、歴史をつないで来られた先輩たちのように思い切りサッカーを楽しんでもらいたいです。そうすれば自ずとサポーターと一緒に闘い、感動を与えることができると思っています。
今、チームは苦しい状況にあると思いますが、選手やスタッフ、そしてサポーターも全員で乗り越えて、近い将来自分が叶えられなかった優勝を勝ち取ってもらえることを祈っています。
そして祝賀会に「児だ豆」を持って参加させて頂きたいですね!最後になりましたが、諸先輩方には到底及ばない実績の自分にこのような機会を与えて頂いたチームの方、在籍時に応援して頂いたサポーターや全ての方々、改めまして本当にありがとうございました。
ブログとは違ってうまく書けませんでしたが最後まで読んで頂いてありがとうございました!どこかでまた会えることを楽しみにしています。