「身体作りはマストだと思います」。清水エスパルスのU-21の監督が会見で言っていた言葉です。戦い方の話より先に下半身の変化の話が出てくる。この言い方を誰がしているのかというと、U-21リーグのチームを率いるために置かれた「U-21監督」という職名の人。選手の名前ではなく、その肩書きのほうに目が止まりました。
ガーナサッカー協会のページに、WAFUゾーンB U-17選手権の初戦の記事が出ていました。トーゴに1-0。中盤のアブドゥル・ラティフ・ウンザルグがマン・オブ・ザ・マッチに選ばれ、7分の決勝点までの流れが書かれている。フリーキックが一度ブロックされ、キャプテンのアブドゥル・ラフィウ・イッサが続き、こぼれたところをダビド・クワルテングが決めた。協会の名義で、17歳の名前が三つ並んでいる。
17歳の一試合について、誰が決めて誰が絡んだかを協会が自分の名前で書く。日本の育成年代でこれに近いことをやっているのは誰かと考えると、まず思い浮かぶのはクラブのアカデミーのページです。ただ、そこに名前を出す人の職名は、国内ではもう少し細かく割られている。
肩書きが先に積まれている
徳島ヴォルティスが公表した人事を見ると、大谷武文という人が2026年6月19日からアカデミーダイレクターに戻っています。経歴の行を順に追うと、セレッソ大阪のサッカースクールのコーチ、C大阪のU-12コーチ、U-18コーチ、エリートクラスのコーチ、U-12監督、高知ユナイテッドSCのヘッドコーチと監督、C大阪U-23コーチ、徳島のアカデミーダイレクター、徳島の監督、そしてまたアカデミーダイレクター。保有ライセンスはJFA ProライセンスとGKライセンス レベル1。
数えると、ひとりの人のキャリアの中に職名が十近く並んでいる。しかもその中で、アカデミーダイレクターという同じ職名が二度出てくる。トップチームの監督を挟んで戻っている。
これが何を意味するかというと、育成の責任者の椅子が、トップの監督を一度やった人が座る場所として実在しているということ。育成は上へ行くための通過点で、上がったら戻らない、という順番にはなっていない。Proライセンスを持った人が、トップの監督からアカデミーダイレクターへ移って不思議に思われない。その順番が実際に一例として記録に残っている。
名前を呼ぶ人が、どこに座っているか
ガーナの記事で17歳を名指ししているのは協会の広報です。日本の育成年代で、ある選手の名前が公のページに出るとき、その言葉を出しているのはたいていクラブのアカデミー側。そしてそのアカデミー側には、ダイレクターがいて、年代ごとの監督がいて、GKコーチがいて、分析の担当がいる。
U-21の監督が「フィジカルコーチが若手を鍛えている」と言うとき、そのフィジカルコーチも別の職名で同じベンチの周りにいる。U-21という新しいカテゴリーができたことで、18歳から21歳を見る監督という椅子がクラブに一つ増えた。ユースにはユースの監督がいて、プリンスリーグの日程を持っている。誰をどちらに出すかの相談が、この二つの職名のあいだで起きる。
職名が増えるというのは、見る人が増えるということでもあります。十年前なら「ユースの監督」の一言で済んでいた範囲が、いまは年代別の監督とダイレクターと分析担当に割られている。割られたぶん、ひとりの選手について語れる人の数が増える。
一方で、割られたからこそ、その選手の一年を通して見ている人が誰なのかが分かりにくくなる。U-18の監督が見ているのは一年ぶんで、U-21の監督が見るのはその次。両方をまたいで覚えている職名があるとすれば、それがアカデミーダイレクターということになる。練習場で始まったU-21の公式戦の客席に誰がいるかという話とは別に、ベンチの側に誰が何年いるのかという問いがある。
十の行を、誰が引き継ぐか
徳島の例で面白いのは、戻ってきたという事実のほうです。アカデミーダイレクターを五年近くやって、トップの監督を一か月ほどやって、またアカデミーに戻る。この往復があるかないかで、クラブの中に育成の記憶が残るかどうかが変わる。
日本の育成年代の指導者の話は、ライセンスの階段で語られることが多い。C級、B級、A級、S級と上がっていって、上に行くほどいい職に就ける、という形で。でも実際に並んでいる職歴の行は、階段というより往復に見える。スクールのコーチからU-12、U-18、エリートクラス、そして地域クラブのヘッドコーチ。年代も、クラブの規模も、上下に動いている。
ガーナの17歳を褒めた言葉は、協会の広報という一つの名義から出ていた。日本で同じことを言う人の名義は、クラブごとに、年代ごとに分かれている。その分かれ方が細かいことは悪いことではなく、むしろ子どもを見る目の数が増えている。ただ、増えた目をつないでいる人がどの職名で、何年そこにいるのかは、人事のお知らせの中にしか書かれていない。
次にアカデミーのスタッフ変更のお知らせが出たら、新しく入った人の名前より先に、その人の経歴の行が何本あって、同じクラブ名が二度出てくるかどうかを数えたい。
出典: www.ghanafa.org(2026-10-10)