全世界どこの国のどこのクラブを見ても、90%以上のクラブで1トップ〜3トップのいずれかを採用している割合です。
4トップとなると、2トップ+両ワイドの攻め残り、またはパワープレー時の戦術の一時的なフォーメーションとなり、90分の中で常に4人がFWに位置することは非常に考えにくいでしょう。
あなたが所属するクラブは1トップでしょうか。あなたの指導しているクラブは3トップでしょうか。
FWの数が違えば戦術や攻撃のバリエーション、ゴールまでのプロセス(アイデア)に、それぞれ異なった特徴があることが言えます。
本日は、選手の能力からみたフォーメーションの作り方について考えてみたいと思います。
各FWのタイプとその特徴
世界でもJリーグでも色んなタイプのFWが存在します。FWはチームからゴールを奪うことを要求され、ゴールを奪うことこそFWに与えられた大きな役割と言えるでしょう。
メッシタイプ
小柄ながらも個人で局面を打開できるタイプであり、常に仕掛ける意識を持ちつつ周りを使いながら自分を活かすタイプです。
日本人ではメッシのようなタイプは中盤や1.5列目で使われることが多いように思います。
なぜなら、日本人選手はまだ圧倒的な個人の突破能力が低く、ゴールを奪うまでのバリエーションもメッシほどあるとは言えません。そして何より決定力にはまだまだ格段の差があることが否めません。
メッシタイプとして考えられる日本人選手は、家長昭博、斎藤学などが挙げられます。
ネイマールタイプ
テクニック、センス、勝負強さなどを兼ね備え、一瞬のスピードがありゴールまでのパターンを多く持つタイプです。
日本人でこのようなタイプは非常に珍しく、自分でゲームを組み立てながらリズムを作り、ゴールも取れる選手となると、育成年代で既に注目を多く浴びている天才型となると思います。
なぜなら、足下の技術が高いだけで注目されがちな育成年代ですが、その技術を駆使するスキルが既に備わっているとなると、サッカーセンス抜群、すなわち天才型と見られるからです。
ネイマールタイプとして考えられる日本人は、宇佐美貴史、柿谷曜一朗などが挙げられます。
ファン・ペルシータイプ
高さも足下の技術もあり、なにより狭い局面の中でもディフェンスよりも一歩前に出て仕事(ゴールすること)ができるタイプです。
日本人では高さはあるが、足下の技術に少し不安が残るフェルナンド・トーレスタイプが多いように思います。
なぜなら、このタイプの選手は高さや身体の強さで勝負する傾向(特に育成年代)にあり、足下の技術ではなく身体能力で勝負してしまうからです。つまりは宝の持ち腐れか基礎を疎かにしているかです。
ファン・ペルシータイプとして考えられる日本人は、指宿洋史、平山相太などが挙げられます。
ここで考えられることとして、メッシ、ネイマールときて、なぜ最後がスアレスでなく、ファン・ペルシーなのかということですが、それは、スアレスタイプを日本人で例えられる選手が思いつかなかったからです。強いて言うならば、元Jリーガーで1万ゴールを決めた前田雅文でしょうか。
どのフォーメーションを採用したらいいのか
あなたの所属するクラブにはどのようなタイプのFWがいますか?
どのようなFWが属しているかでフォーメーションを決めてもいいと言っても過言ではありません。
なぜなら、サッカーは得点(ゴール)を奪うスポーツであり、その仕事を正確かつ確実に実行してくれるFW選手が、一番仕事をし易いようなフォーメーションを組むことが必要であるからです。
サンフレッチェ広島の佐藤寿人はスペースを見つけて動くタイプであり、前線に多くのスペースがある1トップは非常にマッチしていると言えます。
また、スペースを見つけて動く同タイプで京都サンガの大黒将志がいますが、スペースに飛び込むだけでなくコンビネーション(味方を使って自分が生きる)プレーで点を取ることができるので、2トップの方がより高い確率で得点が取れるような気がします。
FWにどのような選手がいるか、そしてどのようなフォーメーション(FWの人数)が合うか、その後そのFWにどのようなパスを供給できるか、それはどのようなフォーメーション(MFの人数と形)が合うか、と言う組み立て方をしていくうちに、自ずとフォーメーションは4-3-2-1なのか、4-4-2なのか、それとも3-5-2であるのかが決まってくるのではないでしょうか。
ただし、このようなフォーメーションの決め方は、先手必勝パターンであり、ようするに相手のフォーメーションを全く気にせず組む方法と言えるかもしれません。
FWがどんな要求をしているかを聞けるMFも必要である
ガンバ大阪にエムボマと言う選手がいました。
エムボマが属する前は、年間順位も大したことがなく、常に中堅(中の中)の成績を残していたガンバ大阪は、エムボマ効果で一気に年間2位となりました。
度肝を抜くプレーで観客を魅了したエムボマへ供給するボールは、今思えばどんなボールでも良かったのかもしれません。
要するに、どんなボールを出しても上手く処理してくれるようなFWであれば、MFはどんな選手を起用しようが、パスの供給数が多くなるMFに厚み(人数)を置いたほうがいいと言えます。
一方、MFで元日本代表の中田英寿は、FWが追いつけないボール(本当の意味でのキラーパス)を、どんな位置からでも多彩に供給していました。
「追いつけないFWが悪い」と言うようなニュアンスが混じっているようでしたが、中田英寿が世界へ飛び出した瞬間に、そのパスが世界のスタンダードであったことに気付かされました。
中田英寿の中では要求が少ないFWに合わせるのではなく、その先の要求をするFWを想像して常にパスを供給していたのです。要するに、ゴールに貪欲で要求の多いFWがいたならば、そのFWへ供給するパスを出せるMFは絶対的に必要であることが言えます。
あなたのクラブにはどのようなFWがいますか?