「リーダーになって引っ張ることが自分の仕事だと思っている」。主将を欠いた試合で、声とプレーでチームをまとめた中学3年生がそう話していました。
10月11日、本庄東第2G。U-15関東2部BでクマガヤSCがフォルトゥナSCと0-0で引き分け、1試合を残してU-15関東1部への昇格を決めた日のこと。言葉を残したのはDFの阿左見優拓選手、3年生。
この引き分けに付いていたもう一つの数字が、2013年。クマガヤSCが前に1部にいたのが、そこまでさかのぼる。間は13年。
中学年代のチームは3年で中身がそっくり入れ替わる。2013年に3年生だった子たちが抜けてから、新しい3年生が4回まわっても、まだ1部には戻れていなかった計算になります。つまり今年昇格を決めた代は、自分のクラブが1部で戦っているところを一度も見ていない。入団した日からずっと、2部にいるクラブだった。
ガーナのU-17女子代表を率いるジョー・ナナ・アダークワ監督が、FIFA U-17女子ワールドカップの初戦・ノルウェー戦を前に、モロッコのラバトで2週間の合宿を終えたと話している。大会前の親善試合は初戦に敗れ、2戦目で持ち直した。目標はグループステージの突破で、過去の代表と同じ道をたどってガーナの人たちを喜ばせたい、と結んでいる。
ラバトで2週間を使った監督が最後に口にしたのが、自分たちの前にいた代表の話だった。過去の誰かがやったことを、いま16歳の選手が引き継ぐという言い方。同じものを日本の中学生年代で探すと、言葉ではなく年数の形で出てきます。2013年以来、と一行で書かれる。
1年に動けるのは1段だけ
U-15の地域リーグは1部と2部に分かれていて、2部はさらにブロックに割られている。クマガヤSCが昇格を決めたのは2部B。日本クラブユースサッカー選手権のようなトーナメントなら、勝ち上がりも敗退も数日で決着する。リーグの昇降格はそうはいかない。1シーズン戦って、動けるのは上か下に1段だけ。
リーグの名前からは全国の何段目かが読めないという話を前に書いたことがあるけれど、名前が教えてくれないだけで、段そのものは確かに積まれている。高円宮杯JFA U-15サッカーリーグが全国の名義として上にあり、地域のリーグがあり、県のリーグがある。U-13でも同じで、第13回を数える関東ユース(U-13)サッカーリーグの参加表には、浦和レッドダイヤモンズジュニアユースやRB大宮アルディージャU-15と並んで、FC LAVIDAやGRANDE FCのような街クラブの名前が入っている。
ここで効いてくるのが、学年の回転の速さとリーグの動きの遅さのずれ。子どもは3年で出ていく。リーグは1年で1段しか動かない。だから中学生年代では、一人の選手が在籍しているあいだに、自分のクラブを2段上げるということがほとんど起こらない。昇格は、ほぼ必ず誰かの代からの引き継ぎになる。
13年を持っているのは誰か
2013年からの13年を、選手は持っていません。3年ずつに切られて、4回ぶん入れ替わっている。持っているのはクラブのほう。グラウンドを押さえ続けた人、毎年の登録を出し続けた人、2部のブロックで勝ち点を積んでは足りずに終わった年を、何度も見てきた大人たち。
そう考えると、「13年ぶり」という表記は、昇格した3年生の成績ではない。その子たちが受け取ったのは、13年ぶんの未達の記録と、それを1試合残して終わらせる役回りのほう。主将がいない日に声を出した、という小さな話が、そこに重なって出てくる。
一方で、この年数は外から見てはじめて意味を持つ数でもある。県リーグや2部のブロックの結果だけを順に見ていても、そのチームが昔どこにいたかは出てこない。順位表には今季の勝ち点しか載らないので、13年は読み取れない。地域リーグの結果が流れてきたとき、勝った負けたの一行だけ見て通り過ぎてしまうのは、たぶんそこに理由がある。
日本クラブユースサッカー選手権のように、優勝したチームが毎年1つ決まる大会は、名前が残りやすい。リーグの昇降格はそうではなく、上がった年も下がった年も、同じ大きさの一行として過ぎていく。でも中学生にとっては、来年どのレベルの相手と年間を通して戦うかを決めるのは、トーナメントの結果より昇降格のほうです。
次に地域リーグの結果を見るときは、順位表の上からではなく、2部に並んだチーム名が前に1部にいたのはいつなのかを先に引いて、そのあいだに何代の3年生がそこを通り過ぎたのかを数えてみる。
出典: www.ghanafa.org(2026-10-17)