選抜のベンチに並ぶ四行を読むと、全員が平日は自分のクラブの中学生を見ている人だった

日本の育成年代で、選抜チームのベンチに立っている人は、その翌週の平日、どこで誰を見ているのか。

選抜の話はたいてい選ばれた選手の名前で終わる。何人が選ばれて、どのクラブから何人で、誰が賞をもらったか。ベンチの行は名簿のいちばん下に小さく載っていて、読み飛ばしていました。

スペインのサッカー連盟のページに出ていたお知らせを開くと、U-19の女子代表が活動を始めたという話が載っています。招集された24人がラス・ロサスのサッカー都市に入り、ダビド・アスナル監督とそのコーチ陣の指示のもとで初日を動いた。10日と13日にスウェーデンと親善試合を二つやって、そのままハンガリーで行われる2027年のU-19欧州選手権、その予選ラウンド1へ向かう。相手はウェールズ、イタリア、イスラエル。ポーランドのU-20ワールドカップに出たばかりの選手が多いため、今回は初めて呼ばれた顔が多く並んでいる。

目が留まったのは、24人という人数よりも先に、アスナル監督とコーチ陣が主語に置かれていたところ。選手はその人たちの指示のもとに入った、という書かれ方をしている。率いる側がどこの誰なのかが、選手の名前より前に来る。

同じ順番で、日本の同じ年代の選抜を開いてみる。日本クラブユースサッカー連盟が出していたメニコンカップ2026、日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)の案内です。9月13日の11時から、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿。出場選手は第41回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会と、JCYインターシティトリムカップ(U-15)2026の優秀選手から選ばれる、と書いてある。

ベンチの四行はこうなっていた。EASTの監督が梅津博徳、横浜F・マリノスジュニアユースの監督。コーチが伊藤宏樹、横河武蔵野FC U-15の監督。WESTの監督が岡本知剛、サンフレッチェ広島F.Cジュニアユースの監督。コーチが森洋平、京都サンガF.C.U-15の監督。

四人とも、平日は自分のクラブの中学生の前に立っている人。

一日だけ、よその子を預かる

この四人は、9月13日の前の週も後の週も、それぞれのグラウンドで自分のチームの練習を立てている。鈴鹿で預かる子の多くは、夏の全国大会で当たった相手であり、これから当たる相手でもある。それを一日だけ自分の側のベンチに座らせて、交代を決め、声をかける。

選ばれる側の経路も同じところで回っている。入口はクラブユース選手権の優秀選手と、その大会に出られなかったチームで争われるインターシティトリムカップの優秀選手。誰が選抜に乗るかはクラブの大会の結果で決まり、誰が率いるかもクラブの監督から出る。協会が別に選考会を開いて人を集めて、専任のスタッフが一年を通して見る、という組み方ではない。

見せ合う日でもある

一日の準備でできることは限られている。初めて会う選手を十数人預かって、戦術を仕込む時間はない。だからこの日に起きているのは選手の品定めだけではなくて、普段は自分のクラブの子しか見ていない指導者が、よそのクラブが育てた子を一度に自分の手元で動かす日でもあるのではないかと。しかも相手のベンチには、別のクラブで同じ年代を預かっている人が座っている。

スペインのほうは、アスナル監督とコーチ陣がこの一週間を預かり、そのまま予選の三試合まで同じ顔ぶれで続いていく。鈴鹿の九十分は、終わればそれぞれのクラブに帰る。続きがないかわりに、四人は月曜からまた自分のところの中学生の前に戻る。あの日に持ち帰るものがあるとしたら、それは選手だけの話ではない。

誰が、年代を通して見ているのか

クラブの監督が持ち回りで選抜を率いる形には、現場の目がそのまま入る強さがある。日々同じ年代を見ている人が選び、見て、使う。協会の肩書だけを持った人が年に数回だけ見に来る形よりも、判断は速いはずです。

そのかわり、選考はその年の大会でどこが勝ち上がったかに強く引っ張られる。優秀選手に名前が載るには大会に出ていなければならず、大会に出るには県の予選を抜けていなければならない。そして率いる四人も、その同じ大会で結果を出したクラブの周辺から出てくる。選ぶ人と選ばれる人が、同じ日程表の上に乗っている。

それが悪いと言いたいのではない。日本のU-15年代で、指導者が自分のクラブの外に出て他のクラブの子を預かる日が、年にどれだけ用意されているかを数えると、こういう場はむしろ貴重なほうに入る。ただ、その日が「大会で勝ったクラブの監督が、大会で選ばれた子を見る日」である以上、そこに映らない指導者と選手が必ず残る。

次に東西対抗戦の案内が出たときに見るのは、選手の名簿ではなく、ベンチに並ぶ四行の肩書に、全国大会の決勝まで残らなかったクラブの名前が一つでも混ざるかどうか。

出典: rfef.es(2026-10-07)

評価 :5/5。