小学1年生から大学4回生までサッカーを続けると、16年間サッカーと向き合うことになります。その間ずっと必要になるのが、用具代・月謝・遠征費といったお金です。以下では、公的な調査データで「今、実際にいくらかかっているのか」を確認したうえで、費目の内訳、カテゴリによる違い、そして筆者自身が16年間で実際に払った金額まで、順に整理します(2026年8月19日時点)。
結論:最多回答は「支出していない」、次いで「月5,000円〜1万円未満」
まず実勢から確認します。笹川スポーツ財団の全国調査『4〜11歳のスポーツライフに関する調査2023』(有効回答1,350件・保護者回答)では、「スポーツの習いごとや学校の運動部などに、1か月平均でどれくらいの費用(月謝・用具代・交通費など含む)を支出しているか」という設問に対し、次の分布が報告されています(調査票・単純集計結果)。
| 1か月あたりの支出 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 支出していない | 372 | 27.6% |
| 5,000円〜1万円未満 | 367 | 27.2% |
| 1万円〜2万円未満 | 226 | 16.7% |
| 3,000円〜5,000円未満 | 97 | 7.2% |
| 1,000円〜3,000円未満 | 83 | 6.1% |
| 1,000円未満 | 63 | 4.7% |
| 2万円〜3万円未満 | 50 | 3.7% |
| 3万円以上 | 25 | 1.9% |
| わからない | 52 | 3.9% |
読み取れることは3つです。
1つめ。実際に支出している家庭の中では「月5,000円〜1万円未満」が最も多い層です。次いで「1万円〜2万円未満」。この2つで全体のおよそ44%を占めます。
2つめ。「月3万円以上」は1.9%と少数です。強豪クラブや遠征の多いチームの話が目立ちやすいだけで、大多数はそこまでかかっていません。
3つめ。「支出していない」が27.6%あります。学校の部活動や公園での運動あそびを含む調査であるため、お金をかけずに運動している層が一定数いるということです。
なお同じ調査で、4〜11歳のうち37.8%(510人)がこの1年間にサッカー・フットサルをしたと回答しています。サッカーは子どもの運動として最も一般的な選択肢のひとつです。
何にお金がかかるのか:費目の全体像
「サッカーは金がかかる」と言われますが、内訳を分解すると性格の違う3種類に分かれます。ここを分けて考えると予算が立てやすくなります。
| 種類 | 費目 | 発生の仕方 |
|---|---|---|
| 毎月の固定費 | 月謝・会費 | カテゴリで最も差が出る。入会前に必ず募集要項で確認できる |
| 買い替えが発生する費用 | スパイク、トレーニングシューズ、レガース(脛当て)、ユニフォーム、練習着、ボール、バッグ | 成長期は足のサイズが変わるため買い替え頻度が上がる。中学以降は単価が上がる |
| 変動費(読みにくい) | 試合の交通費、遠征費、合宿費、保護者の同行費、食費 | ★家計を圧迫するのは主にここ。チームの活動範囲で大きく変わる |
見落とされがちですが、予算のブレを生むのは用具ではなく遠征・合宿・交通費です。同じ月謝のクラブでも、県外遠征が多いチームと近隣リーグ中心のチームでは年額が大きく変わります。入会前に確認すべきは月謝よりも「年間の遠征・合宿の回数と、その費用負担のしかた(クラブ負担か保護者負担か)」です。
カテゴリによって費用構造は変わる
サッカーを続ける場所は主に4種類あり、費用のかかり方はそれぞれ違います。金額はチームごとに大きく異なるため、ここでは構造を押さえます。
地域の少年団・スポーツ少年団
月謝は最も低く抑えられる傾向にあります。指導者がボランティアで、学校や地域の施設を使うためです。ただし保護者の当番(配車・審判・お茶当番)といった金銭以外の負担が発生する場合があります。
民間のクラブチーム・スクール
月謝は少年団より高くなります。専任コーチ、専用グラウンド、送迎バスなどのコストが料金に反映されるためです。その分、保護者の当番負担は軽い場合が多く、「お金で時間を買う」構造になっています。
Jリーグクラブのアカデミー
月謝そのものより、支給品の存在が家計に効きます。ユニフォームや練習着が貸与・支給になるクラブでは、用具代の負担が大きく下がります。一方で活動範囲が広域になるため、交通費と遠征費は上がる傾向があります。
中学・高校の部活動
部費は低額ですが、用具は基本的に自己負担です。近年は部活動の地域移行が進んでおり、地域クラブへの移行先では別途会費が発生する場合があります。所属先の最新の案内を確認してください。
いずれの場合も、正確な金額はクラブの募集要項に書いてあります。ネット上の相場情報より、入会を検討しているチームの公式資料が唯一の正解です。
忘れられがちな固定費:スポーツ保険
費用の話で抜けやすいのが保険です。多くのチームが加入を求めるスポーツ安全保険は、公益財団法人スポーツ安全協会が運営しており、掛金は公開されています。
令和8年度(2026年度)の加入区分・掛金では、次のとおりです。
・A1区分(中学生以下の子ども):年間800円:スポーツ活動・文化活動・ボランティア活動・地域活動が対象
・AW区分(同・個人活動も対象):年間1,450円
・C区分(64歳以下・スポーツ活動):年間2,000円
年間800円は、他の費目に比べれば小さな金額です。ただしこれが無いと、練習中の怪我や、蹴ったボールで物を壊した場合の賠償に自費で対応することになります。削ってはいけない費目の代表です。
【実例】16年間サッカーを続けた場合の実額
ここからは、筆者が実際に小学1年から大学4回生までの16年間で支払った金額を、記憶をたどって書き出したものです。
※この金額は、月謝が3,000円、スパイクを近所のダイエーで買っていた時代のものです。現在の物価とは異なります。参考にしていただきたいのは金額そのものではなく、16年でどこにどう積み上がるかという構造です。
筆者がどのようなサッカー人生を歩んだかはこちらの記事にまとめています。
小学生(6年間):約100万円
地元のクラブで育ちました。スパイクは4年生まで運動靴、5年生からは近くのダイエーで購入。試合や遠征、合宿は学校母体のクラブということで提携施設・保有施設での活動が中心。遠出のときは保護者が当番制で配車を行い、差入れや手作り弁当が主。ユニフォームはクラブで作ったものですが、基本は先輩や兄弟のお下がりで、2年に1度は購入していた可能性があります。
・スパイク×15足=45,000円
・ユニフォーム×3セット=18,000円
・月謝×6年間=216,000円
・試合×6年間=120,000円
・遠征×6年間=240,000円
・合宿×6年間=120,000円
ざっくり759,000円(単年126,500円)。これに地域トレセン、都道府県トレセン、8地域トレセンの練習・遠征・合宿を加えて、ざっくりプラス300,000円。
小学生を卒業するまでに必要だった費用は約1,000,000円。
中学生(3年間):約100万円
Jリーグクラブのアカデミーに所属しました。スパイクを買ったのは10足程度ですが、小学生の時よりも単価が高い。クラブの支給が何より家計を助けてくれていました。ユニフォームは貸し出し、練習着は数着購入で残りは貸し出し。試合は基本的に現地集合・現地解散で交通費のみ。遠征や合宿は大半がクラブ負担で端数を請求される形でした。月謝は10,000円。
・スパイク×10足=100,000円
・練習着×3セット=45,000円
・月謝×3年間=360,000円
・試合×3年間=135,000円
・遠征×3年間=90,000円
・合宿×3年間=60,000円
ざっくり790,000円(単年263,333円)。トレセンや選抜に参加してざっくりプラス200,000円。
中学生で必要だった費用も約1,000,000円。
高校生(3年間):約71.5万円
同じクラブのユースへ。ひとつ上のカテゴリーはプロという環境で、先輩からのスパイクのお下がりや、トップチームが毎年のように変更するユニフォーム・練習着のお下がりが支給され、スパイクもウェアもほとんど購入した記憶がありません。遠征や合宿はカンパや寄付金を募っていた記憶があり、年間ではそれほど大きくありませんでした。
・スパイク×3足=60,000円
・月謝×3年間=360,000円
・試合×3年間=135,000円
・遠征・合宿×3年間=60,000円
ざっくり615,000円(単年205,000円)。国体などの選抜でプラス100,000円。
高校生で必要だった費用は約715,000円。
大学(4年間):約100万円
大学4年間はあまりお金がかかっていません。スパイクは同年代のプロ選手やJリーグクラブからいただいており、サッカー部の月謝は3,000円。遠征や合宿を含め年間約200,000円程度でした。
・4年間=800,000円(単年200,000円)、選抜を入れてプラス200,000円
大学4年間では約1,000,000円。
16年間の合計:約370万円
小学生100万円+中学生100万円+高校生71.5万円+大学100万円で、16年間の合計はおよそ371.5万円でした。単純に割ると年間約23万円、月あたり約1.9万円になります。
前掲の笹川スポーツ財団の調査では「支出していない」を除く、実際に支出している家庭の中で「月5,000円〜1万円未満」が最も多い層でした。それと比べても、この371.5万円という金額は競技志向で続けた場合の水準だと理解してください。トレセン・選抜への参加費が積み上がっている点が、一般的なケースとの最大の差です。
※これらはあくまでも曖昧な記憶であり、費用はざっくりとしすぎているかもしれません。
費用を抑える現実的な方法
最後に、実際に効果のある方法を挙げます。
1. お下がりとリユースを使う
筆者のサッカー人生を振り返ると、その大半がお下がりや支給品でした。とくに小学生の間は足のサイズが毎年変わるため、新品にこだわると用具代が跳ね上がります。チーム内での譲り合い、兄弟間の引き継ぎ、リユース市場の活用は、いちばん確実に効く手段です。
2. 型落ち・モデルチェンジ時の在庫を狙う
スパイクやウェアは定価で買わず、メーカーの新製品切り替え時期の在庫品を狙います。性能差より、サイズが合っていることのほうが子どもには重要です。
3. 遠征・合宿の少ないチームを選ぶ
前述のとおり、費用の変動幅がいちばん大きいのは遠征・合宿です。競技志向をどこまで求めるかと、家計で負担できる額を先に決めてからチームを選ぶほうが、途中でやめる事態を避けられます。
4. 就学援助・自治体の助成を確認する
経済的に就学が困難な家庭を対象とする就学援助制度では、支給対象品目に「クラブ活動費」が含まれています(文部科学省 就学援助ポータルサイト)。
学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費
文部科学省「就学援助制度について」補助対象品目(令和8年度予算額 約5億円・2026年8月19日取得)
ただし準要保護者への就学援助は市町村が単独で実施しているため、支給品目も金額も自治体によって異なります。お住まいの市町村教育委員会に確認してください。このほか、独自にスポーツ活動費の助成を行っている自治体もあります。
まとめ
子どものスポーツにかかる費用は、全国調査では「支出していない」が27.6%で最も多い回答でした。実際に支出している家庭の中では「月5,000円〜1万円未満」が最多層で、「月3万円以上」は1.9%にとどまります。一方、競技志向で16年続けた筆者の実例では、トレセン・選抜費を含めて合計約370万円、年あたり約23万円がかかりました。
差を生むのは月謝ではなく、遠征・合宿・交通費と、用具を新品で買うか譲り受けるかです。予算を立てるときは、チームの募集要項で「年間の遠征・合宿の回数と負担のしかた」を確認するところから始めてください。そして年間800円のスポーツ保険は、削らないこと。
プロを目指す進路そのものについてはJリーガーになるにはの記事で、練習時間の使い方については朝練と練習量の記事で解説しています。
