日本のエースストライカーとして成長した岡崎慎司。その特徴的なプレーから連想される言葉は、「ガッツ」「泥臭さ」「野生児」「石崎くん」そして「ヘディング」である。
今、サッカーをプレーしている少年少女の君たちは岡崎慎司を知らない選手はいないだろう。プレーだけでなく、その愛くるしいキャラクターから、海を越えたレスターサポーターにも愛されている。
そんな岡崎慎司もヘディングの代名詞となりつつあるが、彼のヘディングを見て少年少女が何を感じるかを想像したい。
岡崎慎司、ヘディングのルーツ
岡崎家の二男として1986年4月16日に兵庫県宝塚市で誕生した。関西人独特のノリは今も健在である。
宝塚ジュニアFCでは、自身が「原点」と語るように、恩師である山村コーチからサッカーとサムライスピリットを学んだ。ボレーシュートは禁止で、常にヘディングの練習をしていたとか。
一生ダイビングヘッド
この言葉が恩師から送られた大切なメッセージであり、岡崎慎司のヘディングのルーツとなっている。
決して身体能力が高いとは言えないが、アフリカ人並みに抜群のジャンプ力と滞空時間を時折見せる。それもすべてヘディングをするために身につけた技術であろう。
最近でこそ代表戦で見せたスーパーターンからの股抜きシュートとテクニックを披露しているように見えるが、2008年11月1日に今はなき国立競技場で行われた、こちらも今はなきナビスコ杯の決勝では、相手を背負いながらボールをおさめる技術の高さに驚いた記憶がある。
真っ直ぐでひたむき、負けず嫌いな性格はプロサッカー選手の中でも群を抜いて目立つ。
彼のヘディングで日本サッカー界は何度助けられたか分からないが、これからも日本サッカー=ヘディングとなるぐらいの活躍をしてくれるに違いない。
落下地点の予測と首筋肉
岡崎慎司のヘディングでゴールが生まれるたびにサポーターの笑顔も生まれる。
なぜか彼がヘディングをするとサポーターが喜ぶのである。まるで、今はなき笑っていいともで司会のタモリさんが、待っていましたといわんばかりの「髪きった?」とゲストに質問した時のように。
しかし!なぜ彼はそこまでヘディングでゴールを決めることができるだろうか。
それは間違いなく、「準備」「予測」「筋力」が揃っているからである。
準備
ヘディングをするのを躊躇する選手もいるかもしれない。ただ、それに関しておそれることはない。
なぜなら、Jリーガーでも、競り合いを避ける選手もいるからだ。中には競り合って怪我をする恐れがあるからわざと競りに行かないと言うJリーガーもいるが、単に準備不足で競りに行くことができなかった場合もある。
俺、いつでもヘディングできる準備していますけど。
そんな選手と準備をしていない選手では、明らかに準備をしていた選手に軍配があがる。
まずは、ヘディングボール来い!と念じながらプレーすると、自然と意識が頭に集中し身体が準備を整えるはずだ。
予測
落下地点の予測はヘディングを征するためには必要不可欠な技術である。
タイミングも同じように大事な要素ではあるが、どちらかというと落下地点を正確に読み取れる空間認識能力が備わっていれば、自ずとタイミングよく飛べるようになるので、落下地点の予測を正確に読み取れるようにトレーニングした方が良い。
174cmの岡崎慎司が、ゴールキーパーの手前で頭でボールの方向を少し変え、ゴールを決める。それらは全部、空間認識能力が高いがゆえに生み出されたゴールである。
筋力
君たちは首の筋力を鍛えたことがあるのだろうか。首の筋力なんてどうやって鍛えるの?そんの声も聞こえてくるだろう。
元々首が太い選手もいるが、首の筋力をアップさせることでボールに伝わる力や競り合い時の安定感、さらには肩こりも解消される。
肩こりは余計だったが、本人に直接聞いていないが岡崎慎司が首の筋力を鍛えているのはほぼ間違いないだろう。
Jリーガーでは、大宮アルディージャの家長昭博の首筋も非常に見応えがある。彼はヘディングをしないイメージであるが、もしさせたらピカイチだろう。
首筋を鍛えるのは少し難しい。そして、間違ったトレーニングで鍛えると重大な事故にもつながる。鍛える際には専門家のアドバイスを受けることやパートナーと一緒に鍛えることが必要だ。
ヘディングに勝つことの悦びを味わえ
少年少女にヘディングを禁止させるような動きもあるが、クロスボールからの得点が生まれる割合が非常に多い近代サッカーにおいて、得点を取ることを放棄しろと言っているようなもんだ。
ヘディングは、正しいトレーニングをすることで危険を回避できるのではないか。それに根拠はないが、空間認識能力と正しいヘディングの方法を指導すること、トレーニングすることをやめてはいけないような気がする。
ヘディングに競り勝つことは、非常に悦びを味わえる。それがゴールを決める決定的なヘディングであればなおさらだ。
ゴールキックのハイボールの競り合い、クロスボールの競り合い、いろんな場面でヘディングをする機会があるが、ヘディングに勝つことの悦びを味わえることができれば、いつしか一生ダイビングヘッドの岡崎慎司を越える逸材となるかもしれない。