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中国サッカーの広州恒大淘宝に行ってきたけど何か質問ある?


まるでネット住民みたいなキャッチフレーズのタイトルをつけてみたのですが、いかがでしょうか。日本人のサッカー人で広州恒大について知りたい人なんて、もしかしたら皆無かもしれません。


しかし、そんな日本サッカー界にとってニーズがあるかどうか不明な広州恒大淘宝をあえてとりあげ、タイトル通り現地に足を運んだ内容を皆様に配信したいと思います。
※タイトルの通りご質問がある方はコメントまたはお問い合わせください


近い将来、長年の歴史に刻まれていた中国と日本の深い溝を乗り越え、広州恒大淘宝はJリーグクラブとも密接な関係になる可能性が非常に高いのではないかと、いつもながら勝手に予想しています。

広州恒大淘宝


根拠のない予想に対してどう思うかは読者の皆様次第ですが、既に中国スーパーリーグの雄として2011年から4シーズンを連覇し、今季2015シーズンも単独首位をキープしています。2013年シーズンのACL制覇以降もアリババによる買収や運営元の株式店頭公開などを経て、資金と実力を着実に蓄えており、2014年にはIFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)の世界クラブランキングで41位、アジアでは1位のに称されました。

世界のサッカーを驚かす存在に生まれ変わりつつあるクラブとして注目が集まり、Jリーグサイドも実は気が気でない状態であるような気もします。むしろ、中国サッカーに危機感を感じていないサッカー人がいるのであれば、のちのち痛い目に合うのは日本サッカー界全体となるかもしれません。


本日は、そんな「广州恒大淘宝足球俱乐部」こと、「Guangzhou Evergrande Football Club」について、訪問記を交えて考えたいと思います。


もはやアジアの中ではダントツのビッグクラブである


2013シーズンに広州恒大淘宝がAFCチャンピオンズリーグ(通称ACL)を制したことは記憶に新しいかもしれません。アジアチャンピオンとしてFIFAクラブワールドカップ2014に出場するも、準決勝ではバイエルン・ミュンヘンに0-3とスコア以上に圧倒的な実力の差を見せつけられました。


広州恒大淘宝は最初から強豪クラブかと言えばそうではありませんでした。一つ一つ説明をすると、夜が明けてしまいそうなので、詳しくは下記Wikipediaをごらんください。年表を追うだけでも、どこかのIT企業が上場するような勢いでクラブの発展を感じることができます。


広州恒大淘宝の歴史をみる


2010年に恒大房産をスポンサーにつけ、2011年にはクラブカラーを青から赤に変更した頃から、アジアビッグクラブとしての第一歩を踏み出し始めたようです。


昨日広州で行われたACL準々決勝2ndレグでも、柏レイソルが広州恒大淘宝にアウェイでなんとか引き分けに持ちこたえましたが、1stレグの1-3のスコアをひっくり返すことができず、そのまま敗退が決まりました。


柏レイソルの借りは準決勝のフィールドで、昨年度3冠王者である日本の最強のクラブ「ガンバ大阪」が必ず返してくれると信じています。


そうでなければ日本サッカー界の未来はお先真っ暗だけでなく、広州恒大淘宝の勢いはアジアを頭一つ飛びぬけて、世界に一番近いクラブと称されることになるかもしれません。


アカデミーを含む育成指導が半端ない


広州恒大淘宝と言えば、パウリーニョとロビーニョの獲得がとても印象的ではありますが、それ以前にもリッピを監督にしたり、カンナバーロを監督にしたり、毎シーズン目玉となる補強を確実に遂行しています。


ただ、今後もっとも恐れることになる要因の一つとして、広州恒大淘宝の育成システムが挙げられます。記憶に新しいレアルマドリードとの提携で、広州恒大淘宝はリッピを学長に広州市街から北西に位置する場所に、「人大附中恒大皇马足球学校」と題するサッカー育成プロジェクトを立ち上げたのです。


それがどの程度の成果をあげているかは、まだ開校したばかりでナショナルチームには還元されていないので、目に見えるほどではありません。しかし、忘れた頃に広州恒大淘宝からとんでもない選手が現れるようになり、その選手がいつか中国ナショナルチームを背負って立つようになることは間違いありません。


その全体図を見てみましょう。

人大附中恒大皇马足球学校
出典:http://www.evergrandefs.com


なんとも画面に収まることが不可能なぐらいバカでかい施設を作ってしまったのです。サッカーコートの数は公式ページの発表では76面。それは日本でいうと、大阪のJ-GREEN堺(堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター)を約10倍ぐらいに拡大し、その中にドカンと小中高大学を創ってしまうという離れ業です。そして、中国全土から6万5856人の応募に対し、900人の精鋭たちが選出され晴れて入校したということになります。


こうなると、もはやサッカー大好きの習近平国家主席が言い放った「サッカー改革法案」からも見て取れるように、本格的にサッカーに取り組む環境が整いつつあるということになります。
※恒大皇马足球学校は実際には政府主導ではない


さらに、そんな政府の後押しや広州恒大淘宝が展開した最高の育成メソッドだけでなく、サッカー大国掲げる習近平主席 弾圧下のウイグル族が救世主になるかも!身体能力は欧州レベルに書かれているように、世界と戦うために必要な身体能力をも掛け合わせた、サッカー専用人間を意図的に創りだそうとしているのです。


今後、宇佐美貴史レベルの選手がゴロゴロ出てくるのは勿論のこと、メッシ級の選手が出てきてもおかしくないような環境が中国サッカーには整い始めました。資金はある、プレー環境を整えつつある、ハングリー精神は日本人より間違いなくある、闘争心はある、世界最高峰の指導がある、こんな環境下で育った選手が表舞台に出てくることは、そう遠くない将来かもしれません。


あとは、中国人特有の自分勝手さの改善(個人プレーはいいがチームプレーは苦手)、ノンフェアプレーの改善、さらに大気汚染の改善(武夷山などの空気がきれいな場所で施設を作るとなると…)、これらの問題や課題を解決することになれば、おそらく世界へ進出するストーリーは出来上がったといっても過言ではありません。


そこまで言うならば広州恒大淘宝を実際に視察してみる


広州恒大淘宝vs柏レイソルのACLが広州で行われていたその時間、試合観戦はすることなくスタジアムからほんの200mほど離れた場所で香港料理を頬張っていました。


ホテルから食事の会場へ行くまでには、そのスタジアムを通過することになり、広州恒大淘宝のユニフォームを着たサポーター(中国語では球迷、または球鬼)が周辺を占拠していて、警察の交通規制もはられていました。

天河体育場
※試合翌日に撮影


広州恒大淘宝のホームスタジアムは広州東駅より徒歩10分程度(体育西路駅が最寄り)。大都心の街中に58,500人を収容する「天河体育場」があります。

天河体育場
※試合翌日に撮影


試合は残念ながら観ることはできませんでしたが、先日始めたTwitter内でもつぶやいた通り、広州恒大淘宝のクラブハウスに訪問してパウリーニョとロビーニョのサインをもらうことにしました。


ただ、広州恒大淘宝の公式ウェブサイトを閲覧しても、明確にはクラブハウスと練習場の場所が記載されておらず、中国の検索サイト百度で調べてみてようやく大体の行き方に調べがつきました。ちなみにクラブハウス(練習場)は中国語で「訓練基地」と記載されていました。この時点でかなり強そうです。


ちなみに今回利用した広州のホテルは「建国大酒店」です。広州東駅のF出口(階段)をピンポイントで見つけることができればホテルまで徒歩2分。周辺には色んなホテルがありますが、日本人が泊まるのに最適なホテルはここしかないかもしれません。外資系は高すぎる、中華系の星が少ないところは汚すぎます。何より朝食は満足できるレベルです。一応中華系の5スターです。

そして、ホテルをとるなら10泊すれば1泊無料になる「hotels.com」をおすすめします。このサイトで「ジャングオ ホテル広州 (广州建国酒店) (Jianguo Hotel Guangzhou)」を探してください。


市内の「広州東駅」からスタートし、まずは紫色で表示された地下鉄6号線の終点である「浔峰岗(xun feng gang)」を目指しました。乗り換えが必要になるので、もし興味があって練習場を視察する方は広州地下鉄路線図をゲットした方がよさそうです。


「浔峰岗」に着くと、どうやら今度はバスに乗って練習場の近くまで行くようで、改札を降りて左側の出口を出たところで231番のバスを待っていました。なんだかFC東京の練習場へ初めてバスで行った時のような感じを受けましたが、FC東京の場合は2回目の訪問時に駅から歩けることに気が付いたので、歩いて練習場まで行きました。しかし、今回の広州恒大淘宝へは、歩くには1時間以上かかるような気がしたので、やっぱり球迷の記載通りに231番の高速バスに乗って行くことにしました。


最終地点が不確実であったため、見つからなかったら折り返そうという気持ちでバスに乗り込み「丰岗(feng gang)」と言うバス停留所を目指しました。勿論、座席はキングカズの定位置です。

キングカズ定位置


「丰岗」で降りると周囲には練習場らしきものは全く見当たらなかったので、辺りを見渡していると、中国全土で普及しているバイクタクシーのオジサンたちが次々に声をかけてきました。


オジサン「にーちゃん、どこいくねん?」
ワタクシ「広州恒大淘宝の練習場ってどこにあんの?」
オジサン「なんやそれ?そんなん聞いたことないぞ」
ワタクシ「けど、ネットでここや言うてたから来たんやないか」
オジサン「そんなこと言われても知らん!」
ワタクシ「…」


終わったと思いました。以外と地域密着が根付いていないことに気が付き、初めてクラブハウスに訪れる人が地元の人に道を尋ねた時に、きちんとした回答を教えてくれるかもしれないということでは、Jリーグの地域密着戦略は正解だったのかと気づかされました。


歩いていると、また違うバイクオジサンがクラクションを鳴らして「どこいくねん?乗れ乗れ」と言っていたので、次から次へと乗らへんけど広州恒大淘宝の練習場を教えてくれと問いただしました。


すると、ようやく4人目のオジサンが「5元でそこまでいったるわ」としか言わなかったので、すかさず「方角だけ教えてくれ」と返すと、適当に指さしながら「あっちや」と、かなりアバウトな方向を教えてくれました。このオジサンを信じていいのかどうかは正直分かりませんでしたが、なんとなく直観でもその方向は正しいと感じていたので、そこからさらに1kmほど歩くことになりました。


距離にして凡そ、浦和美園から埼玉スタジアムに行く程度の距離でしたが、その距離がやけに長く感じ、そして途中になぜか一般の会社の敷地内を通らなければならず、練習場にたどり着くためにもお構いなしに通り抜けさせてもらうことにしました。


その会社を通り抜けた先に探していたナイター設備が見えたので、ついに発見したことに気が付きました。場所がわからないまま歩き続けるのはかなり不安でしたので、心の安堵と同時にロビーニョたちのサインへまっしぐら、足取りが非常に軽くなった気がしました。

guangzhousoccer


周囲は木で囲まれており中の様子が全く見えないようになっており、その先へ進むとドデカイ門があったので中に入ってみることにしました。


すると、グランドキーパーのオジサンがグランド横の道をすり抜けようとして奥にあるクラブハウスを目指している私に声をかけてきたのです。


「入るな!それ以上、先へ行くな!」と怒号をたて、まるでそれ以上進むと何か飛んできそうな気がしたので、オジサンに気付いていたのにも関わらず、今気付いたオーラを出しながら「えっ、奥は入られへんの?」と尋ねると、「今日は練習休みや!」と一言だけ鋭く浴びせられました。


と言うことで、記念に撮った1枚の写真に、次回機会があればロビーニョのサインをもらうことにします。


と言うことで、広州恒大淘宝に行ってきたけど何か質問ある?

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