合宿や遠征の報告を読むとき、まず日数を数えるようにしています。何をやったかより先に、何日一緒にいたのか。三日なのか、二週間なのか。中学生の一週間と、高校生の三日では、選手の中に残るものがまるで違う。指導内容の善し悪しより、日数のほうが先に効いてくる場面を何度も見てきた。
コロンビアのU-20女子代表が9月1日、ポーランドのウッチへ陸路で移動しました。当日は午前に1時間半ほどの練習をこなし、夕方5時に出発して2時間ほどで到着。18人の選手とスタッフが動いています。前線のバレリン・ロボアは、大会前にこれだけの日数を一緒に過ごせたことがチームをまとめる助けになった、と協会のメディアに話していました。移動もトレーニングも含めた「一緒にいた日数」そのものを、選手が成果として口にしている。
日数は制度の側であらかじめ決まっている
日本の育成年代で「何日一緒に過ごせるか」は、選手の努力ではなく、どの選考に名前が載ったかで決まる。
U-15年代で8月末に一斉に出る選出の告知は、三系統に分かれる。JFAのナショナルトレセンやGKキャンプ、日本クラブユースサッカー連盟のメニコンカップ東西対抗戦、そしてJリーグのU-15 Jリーグ選抜 海外遠征(ブラジル)。同じ「選ばれました」でも、国内キャンプに数日入るのか、東西対抗戦の一試合なのか、ブラジルまで飛ぶのかで、過ごす日数は桁が違う。カターレ富山の辻口緒斗選手やサガン鳥栖の村上瑛斗選手が入っているのは三つ目の系統。
クラブ単位でも日数は積める。ブラウブリッツ秋田U-15Bの中学2年生は7月21日から28日までドイツに行き、羽田からハノイ経由で約30時間かけてフランクフルトに着き、着後すぐ練習に入った。テストマッチ4試合の結果は5-4、3-5、0-1、1-7。2戦目のハーフタイムには選手が自分たちで話し合って修正し、後半に3点を取っている。この「自分たちで話し合う」が出てくるまでに、移動30時間と数日が要る。日帰りの選抜練習会では起きにくい。
この遠征はJリーグアカデミー活動助成金を使い、コーディネート会社と協賛が付いて成立している。だから、J1の大クラブでなくても一週間の日数を子どもに配れる。FC岐阜のU-18・U-15がKRC Genkへ行き、ロアッソ熊本が韓国へ、徳島ヴォルティスジュニアユースがベトナムへ行くのも同じ調達の道筋の上にある。
女子は、同じ形の名前が付いていても日数が小さい
ここが本題。JFAの選手育成には、ナショナルトレセン女子U-14やJFAガールズ・エイトU-12トレセンプログラムが男子と別に置かれ、特別指定もJリーグ向け・WEリーグ向けと別建てで並んでいる。名前の形は同じ。ただ、配られる日数は同じではありません。
JFAアディダス DREAM ROADは2023年度から動いていて、男子はレアル・ソシエダード、バイエルン・ミュンヘン、リバープレート、アヤックス、コモ1907と、年に複数回・多くは4名という単位で回ってきた。女子を対象にした海外留学が初めて実施されたのは2025年度で、バイエルン・ミュンヘン女子へ8月15日から30日までの4名。2026年度もU-17日本女子代表の4名がバイエルンへ行きます。歴史も回数も、まだそこまで。
国際経験の作り方も違う。女子U-14はJFAエリートプログラムとして、JOCの日韓競技力向上スポーツ交流事業に相乗りする形で9月7日から12日までJヴィレッジに入り、9日と11日にU-14韓国女子代表と対戦する。競技団体の外側の財源を使って日数を確保している。参加GKの所属がRB大宮アルディージャWOMEN U15と口石フットボールクラブに分かれているのも、供給源がまだ一本になっていないということ。
県の段でも同じことが起きている。福岡県サッカー協会の女子トレセンはU13・U14・U15・U17の年間計画と参加承諾書兼同意書で運用され、九州トレセンマッチ女子U13・U14への派遣が選考結果として出る。群馬県サッカー協会はその手前、U-12女子スキルアップ練習会を普及として開いている。埼玉の女子U-13リーグは県女子連盟が運営し、県協会サイトはリンクを置く窓口。運営が別組織に分かれている分、日数をまとめて確保する交渉相手も増える。
何日配れたかで、育成を見ていきたい
合宿の中身を語る言葉はいくらでもある。ただ、その手前に何日という数がある。三系統のどれで選ばれたか、助成金と協賛が付いたか、県協会と女子連盟のどちらが動いたか。日数はそこで決まってしまう。
だから、選出の告知を読むときは選ばれた人数ではなく、その子が何日誰といられるのかを見て、男子と女子で同じ名前の選考に何日ずつ配られているのかを並べて、追っていきたい。
出典: fcf.com.co(2026-09-01)
