点が入ったかどうかではなく、入らなかったほうを数えている人がいる。ガーナの17歳以下の代表で、火曜のベナン戦の前に出てきた話がそれでした。
ブラックスターレッツのアシスタントコーチ、モハメド・ハムザが、初戦のトーゴ戦について「我々はトーゴ相手に非常に多くのチャンスを作ったが、決めたのは1点だけだった」と話している。そこを練習でやってきたとも言っている。勝ったのは1-0で、準決勝進出のかかった試合を前にした会見での言葉です。
勝った試合の話で、入った1点ではなく入らなかったぶんを先に口にしている。日本の育成年代の報道で、この「作ったが決まらなかった数」が外に出てくる場面を思い浮かべてみると、ほとんど出てこない。得点者は出る。アシストも出る。決定機をいくつ作っていくつ外したかは、ベンチのノートの中で止まる。
内定の文面に、何が根拠として書かれているか
セレッソ大阪が明治大のDF川合陽選手の加入内定を出したとき、クラブの公式サイトに紹介として置かれていたのは「デンソーカップ(地域対抗戦)のMVPで対人の強さと鋭い読み」という一文でした。前年度の第40回デンソーカップチャレンジサッカー刈谷大会で、関東選抜Bを無失点優勝に導いて最優秀選手賞(宇野勝賞)に選ばれている。大阪府出身で、過去にC大阪のアカデミーでプレーしていた選手が、大学を経て戻ってくる形になります。
ここで評価の根拠として引かれているのが、所属している大学のリーグ戦の数字ではない。四日か五日で終わる地域対抗の大会と、そこで渡された賞の名前。無失点優勝という、チームの結果。
守備の選手なので、そもそも得点の欄に名前が出ない。出ないかわりに「対人の強さ」「鋭い読み」という言葉が置かれる。では、その対人を何回やって何回勝ったのかというと、どこにも書かれていない。賞の名前が、数字の代わりに立っている。
賞の名前は、どこで渡されたかまで含んでいる
藤枝MYFCが早稲田大のGK海本慶太朗選手の加入内定を出したときの経歴には、2024年度にデンソーカップチャレンジ関東B選抜、2025年度に同関東A選抜、と二行が並んでいた。BからAへ上がっている。
この二行は、本人が大学でどれだけ止めたかを一切語っていない。語っているのは、関東という地域の選抜の中で、下の組から上の組へ移ったという位置の変化だけ。それでも、年度をまたいだ移動が書いてあるぶん、一回きりの受賞よりは時間の幅がある。
つまり大学年代でクラブが見ているのは、週末ごとに積み上がるリーグ戦の数字というより、年に一度か二度しか開かれない選抜の場での、そのときの位置。特別指定で出た時間が将来の契約条件に足されていく話とは、記録の残り方がまるで違います。片方は分として積まれ、片方は大会名と賞の名前として一行に畳まれる。
畳まれると、何が落ちるか
畳まれて落ちるのが、決定機の数のような「やったけど残らなかったぶん」です。
四日間の大会で、関東選抜Bを無失点で優勝させた。この一行の裏には、相手のシュートを何本打たせたのか、何本をゴール前で切ったのか、どこで競って勝ってどこで負けたのかがある。それを見ていたのは、その試合会場にいた人と、録画を送ってもらったクラブのスカウトだけ。本人の手元には、賞状と、クラブが書いた紹介文の一文が残る。
ガーナのコーチが言っていた「多くのチャンスを作って1点」のような言い方は、だから日本の育成年代の進路の文面にはまず現れない。現れる余地がない。内定の発表は、その選手を獲る理由を外へ説明する文書であって、何が足りなかったかを書く場所ではないからです。
ただ、落ちたほうを拾っている人はいる。大学の監督と、地域選抜に呼ばれたときのスタッフと、その四日間をずっと見ていたコーチ。関東の選抜なら、スタッフとして入るのは加盟している大学の監督やコーチで、学生がトレーナーとして付く。つまり拾っている人は、賞を渡した側とほとんど重なっている。
二行のあいだに、四年がある
大学経由でJへ行く選手の経歴は、だいたい四行から五行で書かれる。ジュニアの名前、ジュニアユースの名前、ユースか高校の名前、大学の名前、そして選抜と賞の名前。十八歳から二十二歳までの四年ぶんが、このうち二行に収まっている。
一度アカデミーを離れた選手が、四年後に同じクラブの名前のところへ戻ってくる。クラブ側から見れば、手放した選手をもう一度取る窓口として大学が機能している。そのとき参照されるのが大学リーグの通年の記録ではなく、地域対抗戦の数日というのは、取る側の都合としては合理的なのだと思う。全国から集まった同学年と、同じ条件で並べて見られるので。
ただ、選ばれる側から見ると、四年のうちの数日に賭けている形になる。そこに呼ばれなかった年のことは、どこにも書かれない。
進路の話をするとき、どの大学のリーグで何位だったかより先に、デンソーカップに何年度に出て、どちらの組だったかを聞いたほうが早い。その一行が、いまのところ十八歳から二十二歳の四年を外へ向けて翻訳できるほとんど唯一の言葉になっている。だから次に大学生の内定発表を見たら、所属大学の名前を飛ばして、選抜の年度のところから読む。
出典: www.ghanafa.org(2026-10-12)