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日本代表の低迷、新監督の選定で原因が明らかに


目を疑いました。ついでに耳も疑いました。おまけと言ってはなんですが、二度見するぐらいの衝撃を受けました。

霜田正浩技術委員長、そして名古屋GMの久米一正技術委員が報道陣の取材に対し、次期日本代表監督の選定について語ってくれたようです。

その様子がこちら
次期代表監督候補は5人程度、日本人は含まれず

えらい早い段階で日本人監督候補がいなくなった件

当然ながら候補を挙げれば20人も30人もいる中で、そんなに多くの名前を挙げても現実性がないことを明らかにしました。

そして、その候補の中には日本人の監督がリストアップされていないことを明言したようです。少なくとも日本人監督を、1人や2人は候補に挙げても良かったのではないかと思います。

アギーレ前監督を解任した後、協会はすぐに「Jリーグクラブで指揮をとっている監督には声をかけない」と発言しました。

むしろ意味不明な発言を撤回して、もう一度じっくり考え直し、日本人を今回の監督候補に入れることで、協会の組織の弱体質を強化するアピールぐらいはしてほしいと思います。

協会が求める代表監督の条件として、

世界と戦ううえで、日本はまだまだ学ばないといけない国。クラブの指導歴や代表の監督歴など、いろんな経験や知識を持った監督からいろんなことを伝えてもらいたいので、そういう監督に来てほしいと思っている

出典:http://web.gekisaka.jp/

言いたいことは概ね分かります。経験や知識が豊富な監督から学ぶのは、代表選手や協会の人材、Jリーグクラブ関係者やサッカーに関わる人、全ての人が対象かもしれません。

しかし、今の日本代表はもはや海外組が中心で構成されています。監督が変わっても大筋そのような流れは絶つことはできません。海外組の選手たちは常に世界に身を置き、選手自身が様々な経験や知識を得ています。そんな彼らをどう導いてくれるのか、どう動かしてくれるのか、その手腕や感性を選定しなくてはいけないはずです。

就職や転職の求人広告でいうと、知識経験豊富な即戦力になりうる人材を募集しています、そんな状態です。しかし、現時点で既に協会の頭の中には「日本人」はその応募要件を満たしていないとしているのです。

ザッケローニとアギーレから何を学んだか

協会の言う経験豊富な指揮官であったザッケローニ前々監督、アギーレ前監督から、協会は何を学んだのでしょうか。

そもそもW杯ブラジル大会の総括が「コンディションの調整不足」とまとめていましたので、知る余地もありません。

・メンバー固定では戦い抜けなかった
・Jリーグ選手を理解できていなかった

この2つは外すことはできません。要するに、日本に全く馴染みのない監督を日本代表の監督に相応しくなるように一から育てているようなもんです。

そのような監督の目にとまる選手は「海外組」「得点王」「視察の時に調子が良かった選手」となります。

ザッケローニ時代はW杯直前の東アジアカップで大幅に入れ替えた日本代表選手から、活躍した柿谷曜一朗や山口蛍、大迫勇也などをW杯メンバーに招集しました。

しかし、彼らはいずれも18歳の時点で既に、若き代表のトップクラスの選手であったことを、外国人監督は全く知ることはありません。

アギーレ時代(協会やJリーグクラブからの斡旋の可能性あり)は、初代表メンバーを招集した時、思い切って坂井達弥、松原健、森岡亮太や皆川佑介など、新しいメンバー呼びました。

代表デビューでは、公開処刑と言わんばかりのミスから失点。脈があったのは武藤嘉紀たった1人で、その後は海外組を中心としたメンバー選考になりました。

同じミスを繰り返せるのはサラリーマンでも代表監督の選定でも、2回までです。その次はありません。

癒着が生んだ最大の欠点

日本人が監督候補になるとすれば、いろんな課題を解決できると考えられます。特に、Jリーグで活躍する選手の中で、本当に代表に呼ぶべき選手を見逃すことはないでしょう。

では仮に日本人を代表監督候補に入れるとした場合、実際に1人も候補に挙がらないのかを考えてみることにします。

指導者のライセンス制度を協会主体で整備してきて、現在登録されている指導者は2013年時点で73,555人です。そのうち日本代表で指揮をとれるのは公認S級ライセンス保持者であり、2014年時点で429人。少なくともこの中の指導者は候補の対象となります。
※外国人は除く

429人も対象がいて、Jリーグ全51チームを除いたとしても、かなりの数の候補が残ることになります。協会が認定してS級ライセンスを指導者に発行しているのに、それでも1人も候補に上がらない。これは完全に日本サッカー協会の組織自体があまりにも弱すぎて、日本代表の低迷は協会にあることを自供しているようなものです。

要するにライセンスだけはガチガチのカリキュラムを通過してはじめて交付しているのに、指導者をリスト化した後の活躍や経歴はほとんど知りませんと言うことです。

必死で根気よく探せば年代別代表も含め、世界で渡り合える経験知識が豊富な指導者は日本人でも1人や2人は確実にいるのです。結局のところ、探していないだけ、もしくは探すためのステップが成り立っていないのです。

大仁邦彌会長は言いました。

新しい次期監督の候補をリストアップして理事会に推挙してほしい

出典:http://web.gekisaka.jp/

霜田正浩技術委員長は応えました。

名前を挙げながらみんなで議論した

だれから交渉していこうかという話をした

出典:http://web.gekisaka.jp/

驚きを隠せません。
もう一度いいますが、日本代表の低迷は協会にありました。

「監督を解任した、他に誰か行けそうな人を探してくれませんか?」
「誰が手空いてるかな、誰が引き受けてくれそうかな」

もはや週末の合同飲み会でドタキャンが入った代わりの人材を探している会話のように聞こえます。そうではありません。

おそらく日本サッカーの方向性が定まっていない、キチンとこれまでのことを総括できていない、ボールウォッチャーになっている(目の前のことしか見えていない)、候補のリストの精度が悪すぎる(誰がどんなスキルで、どんなサッカーをするか分かっていない)、などの理由で日本人を選定していない、できていないことが考えられます。

具体的なビジョンや目標に対して、それを確実に達成するためのスキルや経験知識を持った指導者はどんな人がいるか、その中で日本代表に最適な監督は誰なのかを決めなければなりません。

日本サッカー協会の真価が問われます。

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