メニコンカップの東西対抗戦の案内を見ていて、選手の名前より先に、監督とコーチの欄で手が止まりました。EASTの監督が梅津博徳さん(横浜F・マリノスジュニアユース監督)、コーチが伊藤宏樹さん(横河武蔵野FC U-15監督)。WESTの監督が岡本知剛さん(サンフレッチェ広島F.Cジュニアユース監督)、コーチが森洋平さん(京都サンガF.C.U-15監督)。四人とも、ふだん自分のクラブでチームを持っている人。
選手のほうは第41回クラブユース選手権とJCYインターシティトリムカップの優秀選手から選ばれる。つまり日本クラブユースサッカー連盟の系統では、選手も指導者も現場のクラブから出て、大会の結果がそのまま入口になっている。協会の専任スタッフが率いるのではない。ここは自己完結していて、外から人が入ってこない。
中米カリブ海の統括団体が、7月27日から8月7日まで、ドミニカ共和国のサンティアゴで審判とインストラクターの合同コースを開いています。中米カリブ海競技大会に合わせた日程で、19の加盟協会から23人が参加。内訳は審判アカデミーの第8期が審判13人、インストラクターアカデミーの第3期が技術インストラクター8人とフィジカルインストラクター2人。1月にパナマでやった導入コースからの続きで、担当者は、この場が審判だけでなく次の世代の審判を育てるインストラクターの供給源になっている、と説明しています。(出典: https://www.concacaf.com/competitions/concacaf/news/concacaf-referee-instructor-academy-continues-to-build-the-next-generation-of-match-officials )
目を引いたのは、10人のインストラクターを、審判13人と同じ場に、同じ期として並べていること。教わる人と、教える人を教える人が、同じ名簿に載っている。
教える人を教える場は、県協会とクラブの連携で開かれている
日本にも同じ発想の場はあります。愛知県サッカー協会が名古屋グランパスアカデミーと連携して、コーチングセミナーU-15とコーチングセミナーU-12の開催を告知した。JFAのライセンス講習とは別に、県協会とJクラブのアカデミーが組んで、地域の指導者に向けて開く形。
これをU-15とU-12に分けて開いていることが効いている。8人制から11人制に上がる前と後で、教える中身が別物として扱われているということ。年代をまたいで「サッカーの教え方」を一括で配るのではなく、年代ごとに切って配っている。
ただ、この形は県ごとの連携で成り立っているので、どの県のどの年代でどれだけ開かれているかは、県協会のページを一つずつ開かないと並ばない。中米カリブ海の第3期のように、全体で何人が何期目なのかという数え方には、いまのところなっていない。
肩書きは付いている。継承は個人の声掛けで起きる
指導者の側の職は、はっきり立っています。徳島ヴォルティスのアカデミーダイレクターに復帰した大谷武文さんの保有ライセンスはJFA Proライセンスとゴールキーパーライセンス レベル1。指導歴はセレッソ大阪のスクールコーチから始まって、U-12、U-18、エリートクラス、高知ユナイテッドSCのヘッドコーチと監督、C大阪U-23のコーチ、徳島のアカデミーダイレクター、そしてトップチームの監督を経て、またアカデミーダイレクターへ。育成からトップへ上がって戻ってくる往復が、実際に起きている。育成は下働きの期間ではなく、Proライセンスを持った人が就く職になっている。
一方で、その職に人が入るきっかけは個人の関係で動いている。清水エスパルスの齊藤聖七さんは昨シーズン限りで引退し、25歳で育成部スカウト担当に就いた。自身も清水のユース出身で、前任の植草裕樹さんから誘いを受けている。誰が次にこの席に座るかは、前に座っていた人が声を掛けるかどうかで決まっている。
ロアッソ熊本が8月に公表した件は、アカデミーの現場が業務委託契約のスタッフを含む体制で回っていることを外に見せました。クラブは個人の問題として閉じず、外部専門機関の協力を受けた役職員・スタッフ対象のコンプライアンス教育、服務規律と行動規範の再確認、相談・報告体制の見直しに着手したと書いている。子どもを預かる側への教育が、事案が起きてからまとめて立ち上がる形になっている。
フィジカルを教える人は、どこで教わっているのか
中米カリブ海のインストラクター10人のうち2人がフィジカル担当。ここは日本の育成年代の議論といちばんずれる。
清水エスパルスU-21の北本久仁衛監督は、就任時の会見で身体づくりはマストだと言い、フィジカルコーチが若手を鍛えていて下半身が少しずつ変わってきたと話している。18歳から21歳の現場が、トップとの差として最初に挙げるのが身体。技術と判断の話より先に来ている。
専門を教える設計そのものは、クラブが自前で持っています。水戸ホーリーホックのゴールキーパースクール中学生コースは全8回、1回2,000円で、第1回が基礎技術とリカバリーアクション、第2回がポジショニング、第3回がダイビングと爆発的パワー、第4回と第5回がクロス、第6回と第7回が1対1、第8回は達成度に応じて決める。回ごとにテーマを固定した積み上げ式で、フィールドプレーヤーがチーム練習の中で覚える形とは設計が違う。
これだけ細かく組める人が、どこでこの組み方を教わったのか。指導歴とライセンスは公表されるけれど、そこには何を何期目として学んだかは入らない。選手のほうは、ナショナルトレセン、メニコンカップ東西対抗戦、U-15 Jリーグ選抜の海外遠征と、三つの系統に分かれて名前が出る。教える側には、その三系統に当たるものがまだ並んでいない。
次に県協会とクラブのコーチングセミナーの告知が出たら、参加する指導者の数ではなく、講師が誰で、どのクラブのどの年代から出てきた人なのかを控えておきたい。
出典: www.concacaf.com(2026-09-04)
