豪雨の中で輝いた武蔵越生、4-0の快勝を支える要因とは?

この記事はもともと、2024年6月の武蔵越生高校の1試合を扱った対談形式の記事でした。全面的に書き直します。理由は2つ——記事が「次はこうなるだろう」と予告して終わっていて、その結果がすでに出ていること。そして、実在を確認できない選手の氏名とプレー評が書かれていたことです。ここでは、埼玉県高等学校体育連盟サッカー専門部が公開している公式の大会資料だけを使って、その年の武蔵越生高校サッカー部の戦績をまとめ直します(2026年8月16日更新)。

日付 対戦 スコア 会場・時刻
2024年6月1日(土) 武蔵越生 vs 伊奈学園 1-0 武蔵越生・10:00
2024年6月2日(日) 国際学院 vs 武蔵越生 0-4 聖望学園・14:00
2024年6月8日(土) 武蔵越生 vs 西武台 1-1(延長0-0)/PK 3-4で敗退 西武台・10:00

大会は「令和6年度 学校総合体育大会 兼 全国高校総体サッカー大会 埼玉県予選」。優勝は昌平で、決勝は5-1(前半3-0・後半2-1)、全国総体出場は2大会ぶり5度目でした。出典は埼玉県高体連サッカー専門部が公開している大会結果(PDF)です。

2024年の総体埼玉県予選で何が起きたか

元の記事は、2024年6月7日の時点でこう書いて終わっていました。

次は西武台との対戦だから厳しい試合になるけど、今の勢いなら十分勝負できると思うよ。

その次の試合の結果が、公式資料に残っています。2024年6月8日(土)、西武台高校を会場とする10:00開始の試合で、武蔵越生は1-1(延長0-0)からのPK戦を3-4で落として敗退しました。

その前の2試合はこうです。6月1日(土)に自校を会場として伊奈学園と対戦し1-0。翌6月2日(日)、聖望学園を会場に国際学院と対戦して4-0元の記事が「4-0で快勝」と書いていたのは、この6月2日の国際学院戦です。

ひとつ断っておきます。この大会結果のPDFは、日付と会場と時刻とスコアは載せていますが、「1回戦」「2回戦」といったラウンド名を書いていません。資料によって呼び方が食い違うので、この記事ではラウンド名を書かず、日付で並べています。日付は資料に明記されているので、こちらのほうが確実です。

PK戦で終わるということ——規則がどう定めているか

3試合目の敗退はPK戦でした。ここは規則を知っていると受け止め方が変わります。

サッカー競技規則2025/26の第10条(試合結果の決定)は、「より多く得点したチームを勝ちとする。両チームが無得点または同点の場合、試合は、引き分けである」と定めています。そのうえで、競技会規定として勝者を決定する必要がある場合に認められる方法として、アウェーゴールルール、延長戦(それぞれ15分以内で同じ時間の前半と後半)、PK戦の3つを挙げています。

つまり、規則の上ではこの試合は「引き分け」です。PK戦は、大会として勝者を決める必要があるから行う手続きであって、試合そのものの勝敗を書き換えるものではありません。実際、公式の記録も「1-1(延長0-0) PK3-4」と、両方を残す書き方になっています。

もうひとつ。第10条は「試合中に競技者やチーム役員に示された注意や警告は、PK戦に繰り越されない」と定めています。また、試合終了時にフィールドにいた競技者だけがキックを行う資格を持ち、人数に差があるチームは相手と同数になるまで競技者を減らして主審に通知しなければなりません。PK戦は「余興」ではなく、条文で細かく手続きが定められた正式な決着方法です。

負けた側にとって、この整理には意味があります。90分と延長を戦って同点だった、という事実は残ります。PK戦の結果は次に進むチームを決めただけです。試合の後にどう立て直すかはミスからの立ち直りの記事にまとめています。

この記事が書かなかったこと——選手の氏名とプレー評を外した理由

ここは、リメイクでいちばん大事な部分なので、理由まで書きます。

元の記事には、2人の高校生の氏名と、その2人のプレーに対する評価が書かれていました。「シュートは強烈だった」「アシストも効いていた」「スピードとフィニッシュ力に優れているFW」「視野が広くアシスト能力が高い」といった内容です。

この記事では、その氏名とプレー評をすべて外しました。理由は2つです。

  • 実在を確認できませんでした。高校サッカーを扱う媒体、学校の公式サイト、サッカー部の公式SNSのいずれでも、その氏名を確認することができませんでした。「見つからない」は「存在しない」ではありませんが、確認できないものを事実として書くことはできません。
  • 相手が未成年だからです。仮に実在したとしても、試合を直接見ていない書き手が、高校生個人のプレーを名指しで評価する必要はありません。公式の記録に残るのはチームの結果であって、個人の評価ではありません。

同じ理由で外したものが、ほかにも3つあります。

  • 監督の発言。「怪我から復帰した選手たちの経験値も大きかった」という趣旨の発言が引用されていましたが、その発言の出所を確認できませんでした。
  • 「インフルエンザで主力を欠いた」という記述。高校の部活動の欠席理由は、公表されている情報ではありません。
  • 「豪雨の中で」という前提。当日の天候を公式の資料で確認できませんでした。元のタイトルにも入っている前提ですが、裏が取れないので本文では扱いません。

戦術の解説も外しました。「ラインを高く保って素早く敵陣に進入する戦法が功を奏した」「グラウンダーのパスが止まる分、高く攻めるのが有利だった」という説明がありましたが、試合を見ていない立場で書ける内容ではありません。試合の見方そのものについては相手チームを分析する記事で、何を見て、見えたら何を変えるかという形でまとめています。

そして最後に、元の記事は「次回の対談では、〇〇の取り組みについてさらに深く掘り下げていきます。ぜひご期待ください!」という予告で終わっていましたが、その続きは書かれていません。果たされていない予告なので、黙って消さずにここに書いておきます。

高校サッカーの県予選はどうなっているのか

単発の試合記事のままだと、翌年には読む理由がなくなります。毎年参照できる形に一般化しておきます。

高校生の全国大会は、大きく3つあります。

  • 全国高校総体(インターハイ)——夏。この記事が扱っている大会の全国大会にあたります。県予選は6月ごろに行われます。
  • 全国高校サッカー選手権——冬。県予選は秋。いちばん知られている大会です。
  • 高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグ——年間を通じて行われるリーグ戦。トーナメントとは別に、年間の実力が見える仕組みです。

県予選の資料の読み方も書いておきます。今回使った埼玉県のPDFは、チーム名の横に「S 1」「南 4」「関 8」といった記号がついています。これは所属リーグや地区と、そこでの順位を示すものです。組み合わせは、この記号をもとに決められています。

そして、いちばん実用的なこと。トーナメント表には日付・会場・時刻がすべて載っています。「◯◯高校は強いのか」を知りたいときは、まとめサイトの評判ではなく、この表を何年分か並べて見るのがいちばん早い。どのラウンドまで勝ち上がったかが、そのまま実力の記録です。

県大会の結果を自分で調べる手順

まとめサイトを経由せずに一次資料へ行く手順を書いておきます。3ステップです。

  • 1. 都道府県の高体連サッカー専門部のサイトを開く。「◯◯県 高体連 サッカー」で見つかります。各県が独自に大会結果を公開しています。
  • 2. 大会名で探す。夏なら「学校総合体育大会」または「総体」「インターハイ予選」、冬なら「選手権予選」。年度ごとにページが分かれていることが多いです。
  • 3. 組み合わせ表のPDFを開く。ここに日付・会場・時刻・スコアがすべて入っています。PDFは画像ではなくテキストで作られていることが多いので、ブラウザの検索機能で学校名を探せます。

注意が2つ。ひとつ、トーナメント表は左右から中央に向かって進む形式なので、右半分のチームは右から左に読みます。慣れないと勝ち上がりを逆に読みます。ふたつ、スコアの「1延0P3」のような表記は「1得点/延長0/PK3」の意味です。これを知らないと「13対…?」と誤読します。

この記事が対談形式をやめた理由

元の記事は、3人の登場人物が会話する形式でした。この形式そのものをやめています。

理由は、上に書いた問題が形式から生まれているからです。会話形式は、「〜だと思うよ」「〜みたいだね」という語尾で、出所のない情報を自然に置けてしまいます。実際、この記事に書かれていた選手名も、監督の発言も、天候も、欠場理由も、すべて会話の中に「らしい」「みたいだ」という形で入っていました。断定していないから許される、という書き方は、読む側にとっては同じことです。

そしてもうひとつ。話が本題から離れます。この記事も、高校サッカーの試合の話から、いつのまにかITのプロジェクトチームや俳優のチームワークの話へ飛んでいました。読んだ人が持ち帰れるものが残りません。

だから、いまのこのサイトは資料型で書いています。出所を1つずつ示し、確認できなかったものは確認できなかったと書く。そのぶん読み物としては固くなりますが、5年後に読んでも使える形にはなります。

「武蔵越生は強いのか」への答え

この記事に「武蔵越生 サッカー 強い」という検索で来る人がいます。評価はしません。公式の記録で答えます。

2024年の総体埼玉県予選では、武蔵越生は2試合勝って、3試合目にPK戦で敗れました。2試合で5得点0失点、3試合目も1-1で90分と延長を戦い切っています。敗れた相手の西武台は、この表の記号では「P 関」——前年度の実績で上位に置かれているチームです。

強いか弱いかという言葉より、この数字のほうが正確です。そして、ここに載っているのは2024年の1大会分だけだということも書いておきます。1つの大会の結果でチームの実力は決まりません。上に書いたとおり、県予選の資料を何年分か並べて見てください。

まとめ

  • 武蔵越生は2024年の総体埼玉県予選で、6月1日に伊奈学園に1-0、6月2日に国際学院に4-0で勝ち、6月8日に西武台と1-1(延長0-0)からのPK戦を3-4で落として敗退した
  • 大会結果のPDFにはラウンド名が書かれていないので、この記事では日付で並べている
  • 規則上、PK戦で決まった試合そのものは「引き分け」(競技規則第10条)。PK戦は勝者を決めるための手続き
  • 元の記事にあった高校生2人の氏名とプレー評は、実在を確認できず、かつ相手が未成年であるため全て外した
  • 監督の発言、「インフルエンザで主力を欠いた」、「豪雨」という前提も、出所を確認できなかったので外した
  • 優勝は昌平。決勝5-1、全国総体出場は2大会ぶり5度目

子どものサッカーにおける相手や審判への態度は礼儀とマナーの記事に、味方との関係は協調性と責任感の記事にまとめています。自分のプレーの型を考えるならプレースタイルの記事をどうぞ。

評価 :5/5。