夏の全国大会の結果を伝えるページで、いちばん下まで読んでも出てこないのが、三位以下のチームの選手の名前です。スコアと組み合わせは全部載っている。ところが個人表彰の欄になると、急に載る範囲が狭くなる。無いのが当たり前になっているので、無いことに気づかない。
クラブユース選手権(U-15)では、例年、優勝チームからMVPが出て、準優勝チームから最も印象的な活躍を見せた選手にMIP賞が贈られる。今年度のMIP賞は、川崎フロンターレU-15生田の新堀隼選手。チーム最多となる8得点を挙げた選手です。
この並びを見て引っかかったのは、賞の名前のほう。MIP賞と書いてあれば、その選手のチームは準優勝だったと逆算できる。つまり個人の評価を決める前に、団体の順位が先に決まっている。「最も印象的な活躍」を探しにいく範囲が、決勝に残った二チームの中にあらかじめ絞られているということ。
8得点という数字も、順位と切り離せない。決勝まで勝ち上がったから、点を取る試合がそれだけ用意された。初戦で負けたチームの選手が同じ数を取ることは、日程の上でできない。勝ち進むほど試合数が増える大会で個人の得点を数えれば、数字は順位の写しになる。そこを疑わずに「8得点の選手」とだけ読むと、大会が何を測っていたのかを取り違えるのではないかと。
南米のU-15女子のリーグ・エボルシオンが9月19日にパラグアイのイパネで最終日を迎え、ベネズエラがパラグアイをPK戦で下して初優勝しました。同じ日に出た個人表彰の配り方が変わっていて、エボルシオン賞はボリビアの4選手へ。最優秀選手はコロンビアのアレハンドラ・ディアス、最優秀GKはチリのリア・ペーニャ。得点王はブラジル、チリ、パラグアイの3人で分け合っている。優勝したベネズエラの選手の名前は、個人表彰の一覧に一つも出てこない。
エボルシオン賞を受け取ったボリビアは、順位決定戦でペルーに1-3で敗れて最後尾。日本の全国大会に、最下位で終えたチームから四人まとめて名前を残す配り方はありません。そこが良い悪いという話ではなく、その賞が何を記録として残すために置かれているかが違う。クラブユース選手権のMVPとMIP賞は、その夏の頂点に立った二チームを記録するために置かれている。順位表と表彰の欄が、同じことを二度言っている。
南米の大会をここで持ち出すのは、南米のU-15が試合後に20分を置いた話を書いたときと同じ理由で、あちらが先を行っているからではなく、日本の要項に何の行が無いかが見えるから。
もう一つ、この表彰には続きがあります。MIP賞に選ばれた新堀選手は、9月13日に三重交通G スポーツの杜 鈴鹿サッカー・ラグビー場でのメニコンカップに出場している。EASTが3-1で勝った、あの東西対抗。夏の全国大会で名前が残った選手が、そのまま秋の選抜の名簿に載る。U-15年代で個人の名前が世に出る場所は、八月の全国大会と、九月の東西対抗と、そう多くない。しかもその二つはつながっている。
逆を言えば、夏に上の二チームへ入らなかった選手は、次に名前が出る機会をどこで得るのか。高円宮杯JFA U-15サッカーリーグの日程表には、チーム名と日付と会場が並ぶ。四国CLOVER LEAGUEのように地域ごとの名前が付いて、県協会のサイトが窓口になっている。そこに載るのは勝ち負けであって、誰がチーム最多の得点を挙げたかではない。U-13の県リーグや関東リーグまで降りれば、なおさらです。
中学生年代の三年間で、公式に名前が残る通路が上位二チームと東西対抗に寄っているなら、そこから外れた子の三年間は、本人と家族とチームの記憶の中にしか残らないことになる。全日本U-12が第50回まで積み上がり、クラブユース選手権が第41回まで来て、大会そのものの歴史は十分に長い。長いぶんだけ、「誰の名前を残すか」の配り方も、ずっと同じ形で繰り返されてきたということでもある。
次に全国大会の結果ページを開いたら、まず個人表彰の欄に何人の名前が並んでいて、その所属がいくつのチームに割れているかを数える。優勝したチームの名前より先に、そこを見る。
出典: www.conmebol.com(2026-09-19)