体格で上回る相手にボールを持たれると、足を出す前に弾き飛ばされます。競り合いで当たり負けし、後半になると足が止まって置いていかれる。サッカーでは、フィジカルの差がそのまま結果の差になる場面が多くあります。逆に言えば、フィジカルを鍛えれば、技術や戦術より前の段階で優位に立てます。ここでは、サッカーで実際に効くフィジカルの鍛え方を、サッカー特有の動き・基礎トレーニング・栄養管理の順に見ていきます。
サッカー特有のフィジカルテクニック
サッカーで求められるフィジカルは、筋力や持久力があるだけでは足りません。日本サッカー協会(JFA)はフィジカルフィットネスプロジェクトの一環として、代表チームやナショナルトレセンの選手を対象に、スプリントやジャンプ、方向転換走などの測定を継続的に行っており、それぞれの種目が示す能力を次のように説明しています。
スプリントはランニングスピード、ジャンプ種目(立幅跳び・カウンタームーブメントジャンプ)は瞬発的な筋パワー発揮、方向転換走は、スピードを伴いながら方向転換する能力を評価しています。
JFA公式「フィジカル測定結果」(2021年度 各カテゴリーの日本代表チーム)
つまり、スプリント・ジャンプ・方向転換はそれぞれ別の能力としてフィジカルを構成しています。これらを個別に意識して鍛えることが、実戦的なフィジカル強化につながります。
ボディバランス
サッカーでは、バランスを保つことが非常に重要です。特に競り合いや、チェストキープなどのシーンでは、重心の取れた動きが求められます。JFAのフィジカル測定の種目にも、5m×3方向変換走(5m×1往復半走のタイムを測る種目)が含まれており、方向転換の速さとボディコントロールが公式にフィジカル評価の対象とされています。
– アジリティトレーニング: ラダードリルやサイドシャッフルで素早い方向転換を向上させる
– ボディコンタクト練習: パートナーと共にボディコンタクトの練習を行うことで、実戦での対応力を高める
フィジカルの強さは攻撃面にも直結します。「フィジカル強化でパワフルな攻撃力を手に入れる」でも触れられているとおり、ボディバランスを含めたフィジカルの強さは、ボール保持やシュート機会の創出にも役立ちます。
スピード強化
スピードはサッカー選手にとって大きな武器です。短距離のダッシュやリカバリーランによって、瞬間的なスピードを強化します。JFA公式サイトでも、ナショナルトレセンおよび育成年代代表チームを対象にスプリントタイムの測定データを継続的に公開しており、次のように説明しています。
測定を通して現在値を知り、適切なトレーニングを行うことでスプリントタイムは改善できる可能性があります。
JFA公式「フィジカル測定結果」(ナショナルトレセンおよび育成年代代表チーム フィジカルデータ 2023-2026)
– 短距離ダッシュ: 短い距離でのダッシュを繰り返す
– 反復横跳び: 横方向の素早い動きを鍛える
土台をつくる基礎トレーニング
ここまで見てきたサッカー特有の動きは、日々の基礎トレーニングという土台があって初めて生きます。フィジカルトレーニングは段階を踏んで進めることが重要です。以下の要素を組み合わせたトレーニングプログラムを実行することで、効果的にフィジカルを強化することができます。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは、サッカーにおいて非常に重要です。強い筋肉を持つことで、ボディコンタクトの際に有利になります。特に、以下の筋群のトレーニングを重点的に行いましょう。
– 下半身: スクワット、デッドリフト、ランジなど
– コア: プランク、ロシアンツイスト、サイドプランクなど
– 上半身: ベンチプレス、プッシュアップ、ローイングエクササイズなど
持久力トレーニング
持久力は試合全体を通して高いパフォーマンスを維持するために必要です。インターバルトレーニングなどを取り入れることで、持久力を効率よく向上させることができます。
– 長距離ラン: 基礎的な持久力を養う
– インターバルトレーニング: 高強度の運動と休憩を反復し、心肺機能を向上させる
フィジカル強化のための栄養管理
トレーニングだけでなく、栄養管理も重要です。適切な栄養を摂取することで、トレーニング効果を最大限に引き出します。JFAも選手向けに、栄養の重要性を次のように説明しています。
サッカー選手として活躍するためには練習がとても重要ですが、それと同じくらい重要な要素が普段の食事から摂る栄養です。練習や試合で精一杯プレーするためのエネルギー、筋肉や骨を丈夫にするからだづくり、そして疲労を回復しコンディションを整える源は栄養にあります。
JFA公式「食事と栄養」(サッカー選手にとっての食事の重要性)
タンパク質の摂取
筋肉の回復と成長にはタンパク質が欠かせません。鶏肉、魚、大豆製品などを積極的に取り入れましょう。
エネルギー補給
持久力トレーニングにはエネルギーが必要です。バランスの良い炭水化物を摂取し、試合やトレーニング前にはエネルギーをしっかり補給します。
まとめ
フィジカルを鍛えれば、競り合いのその一瞬でも、90分を走りきる終盤でも、確実に優位に立てます。今回見てきたトレーニング方法や栄養管理のポイントを、日々のトレーニングに取り入れてみてください。
フィジカルは一部のトップ選手にとっても継続的なテーマです。日本代表として長く活躍した選手のフィジカル面を扱った「遠藤保仁がフィジカルを極めればW杯ベスト8は夢じゃなかった」もあわせてご覧ください。
