子どもがスタジアムに入る値段を下げているのは、クラブではない。名前を出している会社のほう。
北海道コンサドーレ札幌が出していたチケットの案内に、松山光プロジェクトパートナー招待シートというものがあります。パートナー各社の協賛で、大人と小中学生以下あわせて2名ぶんの料金が割引になる。案内に載っていた例はこう。カテゴリー3の大人が3,400円、カテゴリー3の小中が500円、合わせて3,900円のところ、このシートだと3,400円。差し引かれているのは、ちょうど子ども1人ぶんの500円。クラブは、小中学生が実質無料で観戦できると説明しています。
500円が消えたのではなく、500円を別の誰かが引き受けている。引き受けているのはクラブの値下げではなくパートナー各社なので、この席は協賛が付いた試合にだけ現れる。来月の試合にそれがあるかどうかは、行きたいと言った子どもの側では決められない。
ナイジェリアサッカー連盟が、U15の23人を今月バクーで行われる大会に向けて招集した知らせを出しています。集合場所はアブジャの宿舎で、集合日は10月13日。州の協会、クラブ、アカデミー、学校、そして保護者に対して、招集された子を自分たちの手でアブジャのキャンプまで連れてくるように、と書いてある。
23人ぶんの名前と所属が縦に並んだ名簿の、その手前に保護者という語が置かれている。連れてこいと名指しされているのは大人のほうで、アブジャまでの移動をどちらが出すのかは、そこに書かれていない。日本も同じところが空いている。違うのは、日本は金額の側が先に公になっていること。500円と3,400円は誰でも見られる。見えないのは、その日の3,400円を誰が出したのかという側。
2名ぶんで組まれている、ということ
このシートが大人1人と小中学生以下1人の組で売られているのが、たぶん一番効いている。子どもだけでは使えない。子どもが客席に座れる日は、その日に半日空けられる大人が家にいる日と重なっている日だけ、ということになる。500円が0円になっても、大人の3,400円と、会場までの往復と、その大人の一日は動かない。費用の話をしていくと、最後にいつもここが残ります。
以前、小学2年生の選考会で参加費が三千円と千円に割れていた話を数えたときも、残ったのは同じ場所だった。金額の欄は公開されていて、その横にある送迎と平日の夕方は、どの案内にも金額として書かれない。観戦のほうも同じで、500円という数字が見出しに立つと、その日に大人が一人ついてくることのほうは数えられなくなる。
もうひとつ引っかかるのは、500円でさえ協賛で消しにいっている、という点。大人3,400円に対して子どもは500円で、もともと7分の1ほどに抑えてある。それでもなお0円にする枠が用意されているということは、500円が子どもの足を止める額として扱われている、ということではないかと。
上の年代の試合を、育成年代の子が見る日
育成年代の子が見に行く試合は、トップチームの試合だけではない。U-21 Jリーグがあり、夏にはクラブユース選手権U-15の決勝があり、冬には全国高校サッカー選手権がある。自分より二つ三つ上の年代が、同じ国のピッチでやっている試合。C大阪U-18の選手が2種登録でトップチームのデビューを飾るような経路が実際に動いているいま、上のカテゴリーの試合を客席から見ることと、その子自身の進路との距離は、思っているより近い。
ただ、その距離を縮める日が年に何日あるかは、家庭の意思だけでは決まらない。協賛の付いた試合にしか実質無料の席が出ないのであれば、子どもが客席にいる日数はクラブの営業の調子に連動する。良い年は増え、付かない年は減る。親の送迎の都合より前に、この線が引かれている。
次に開くのは、ホームゲームの日程表のほう。協賛の名前が付いた席がその年に何試合ぶん出ていたのかを数えて、子どもが500円を払わずに座れた日が一年で何日あったのかを、金額ではなく日数で押さえる。
出典: thenff.com(2026-10-12)