先に決まるのは11時と鈴鹿。日本の育成年代は日付を押さえてから人を選んでいる

もし、対戦の組み合わせだけが先に出て、試合をやる日は相手のクラブと話し合って決めてください、と言われたら。日本の中学生年代のチームで、監督が最初に電話をかける先はどこだろう。相手の監督ではなくて、たぶんグラウンドの面を押さえている人か、保護者の連絡を回している人のほうへいく。

イングランドサッカー協会のページに10月16日、2026-27シーズンのFAユースカップ1回戦本戦の抽選結果が出ていました。試合は40。全部を10月31日の土曜までに終える。そのうえで日付については、対戦するクラブ同士で話がついたものから順に載せていく、と書いてあります。

40試合ぶんの日付が、抽選の時点ではひとつも決まっていない。決まっているのは誰と誰がやるかと、10月31日という後ろの線だけ。そこまでの二週間ちょっとをどう使うかは、二つのクラブに預けられている。読みながら考えていたのは、日本の中学生年代で同じことをやったら何が起きるか、でした。

9月13日11時、鈴鹿

日本クラブユースサッカー連盟が中学生年代の東西対抗戦として置いているメニコンカップは、9月13日の11時から、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿。日と時刻と会場が、先に決まっている。

決まっていないほうが、出る選手。EASTとWESTに入るのは、日本クラブユースサッカー選手権(U-15)と、JCYインターシティトリムカップ(U-15)の優秀選手。どちらも夏に行われる大会なので、その二つが終わって優秀選手が出そろうまで、名簿の欄は空いたまま。

順番が逆になっている。向こうは相手が先に決まって日付が後。こちらは日付と場所が先にあって、人が後から入る。

日を先に押さえているのは誰のためか

中学生年代の試合で、日時が決まらないと動けないのはプレーする本人ではなく、周りにいる大人のほう。会場の面を何時から何時まで借りるか、審判を何人そこに立たせるか、親が職場に休みを言うのが何週間前になるか。鈴鹿に11時集合なら、前の晩に泊まるのか、暗いうちに車を出すのかという判断も要る。13歳や14歳が自分で組める移動ではありません。

日付が一日動けば、その全部が組み直しになる。だから日本の育成年代は、先に日と時刻と会場を紙に載せて、そこへ人を当てはめる形をとってきたのではないかと。選手が未定のまま開催日だけが公表されるのは、順序が雑なのではなく、そうしないと家庭のほうが予定を空けられないから。

そのかわりに消えているものもある。誰が出るか決まる前に日が決まっているので、その日に来られない子は、選ばれる前の段階で外れる。学校の行事、別の大会、家の事情。日が動かない以上、合わせるのは個人の側になる。イングランドのやり方なら、両クラブが相談する幅の中に、たとえば試験の週を外すといった判断を入れる余地が残る。40試合ぶんの日程調整は面倒には違いないけれど、その面倒は選手のカレンダーのすぐ隣で起きている。

どちらが正しいという話ではなくて、何を先に固定しているかが違う。日本が先に固定しているのは、会場と時刻、つまり大人と家庭の段取り。固定されていないのは、その日にピッチへ立つ中学生の名前。夏の全国大会の結果が出るまで、誰が鈴鹿に行くのかは本人にも分からない。

日程の長さの側でも同じことが起きていて、以前一回の招集が三日で組まれている話を数えたときも、先にあったのは三日という枠のほうで、人はあとから入っていた。日本の育成年代は、器の寸法を決めてから中身を呼ぶ順番で動いている。

次に連盟のページで日程を見るときは、大会名や対戦カードより先に時刻の欄を開いて、その11時のために誰が何週間前から予定を空けているのかを、来ている保護者に聞いてみたい。

出典: www.thefa.com(2026-10-16)

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