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なぜ、育成年代の選手は海外でプレーしないのか


個人の取り組みですべてが変わるわけではありません。周りの環境が絶対的に大事です。その上で、個人の取り組みがあってしかるべきだと考えています。


環境を作るのは小学生や中学生ではありません。その選手の周りにいる人が選手に対して最適な環境を作ってあげることが大事です。つまりは、親や指導者がその対象となるでしょう。選手自身では環境を作りたくても作れないのです。


ブラジル人の育成年代の選手を想像してください。彼らは家を一歩出ればストリートサッカーが身近にある環境で育っています。また、テレビをつければどこのリーグでも活躍しているブラジル人の選手を目にしています。


彼らにはサッカーが上手くなる要素や環境が、生まれた時から備わっているのです。文化までは変えることはできませんが、その文化を選択することは可能です。


個人の力ではどうにもならない

お金持ちで高学歴ほど子供の成績は良いが、この差は勉強時間でカバーできる


よく、親の収入によって子の学歴や収入が決まると言われていますが、事実、文部科学省の調査では、親の年収が多く学歴が高い家庭の子供の方が、成績が良いという結果が得られたようです。


しかし、それも勉強時間を多くとればカバーできるとのこと。


確かに、サッカーで考えても練習時間が長ければ長いほど、サッカーが上手くなるような気がします。そこに親の収入や学歴は関係ありません。


もちろん、サッカーセンスや持って生まれた身体的なものをカバーするのは、練習時間だけで解決できるものではないこともありますな、練習時間が長いことで一般的な選手より上手くなることは間違いないでしょう。


ただ、よりハイレベルな練習をすること、素晴らしい指導者と出会うこと、人工芝や天然芝のピッチでサッカーをプレーすることは、選手個人の力ではむやみに選択することができず、どうにもなりません。


ダラダラと目的のない練習を2時間やるのと、きめ細かい指導のもと周りの選手のレベルが高い環境下で1時間練習をするのでは、1週間でも大きな差が生まれそうです。


それが1年、3年、5年となると、如何に練習環境が大事か分かるでしょう。すなわち、選手を取り巻くサッカー環境が高ければ高いほど、選手の伸びや成長の度合いは比例するのではないでしょうか。


選手個人では、その環境を作りたくても作れないのは事実です。


環境には慣れるが、どの環境に慣れるかが大事

Jリーグアカデミーや名門校など、高いレベルの環境下で育っても、必ず消えていく選手がいます。


昔はすごかったのになぁ。


そんな声も聞こえてくるかもしれませんし、今までたくさんそんな選手と出会ってきました。その選手は、最高の指導や環境でプレーしていたのは言うまでもありません。


しかし、そんな環境でプレーしていたとしても、周りにいるよりハイレベルな選手についていくことができなかったり、サッカー以外にもっと興味があることに出会ったり、理由は様々です。


個人のサッカーへの意欲や向上心が途絶えた時点で、どんな環境でも淘汰されていくのは間違いないでしょう。


大きな挫折と捉えるのか、失敗と捉えるのか、その後のサッカー人生は、その選手の現実の捉え方によるのです。


また、捉え方を間違えた選手には、決まってそのような状況になるある共通点があります。


それは慣れです。


環境に慣れてしまって、自分が本来進みたい方向へ進めなくなるようになるのです。選手の思春期やプライドがそうさせることもあるでしょう。


ただし、絶対的にそんな環境に慣れてしまっている選手がそこにはいるのです。また、日本では慣れ社会がまかり通る「ぬるま湯」が用意されているのも、そうさせる原因の一つでもあります。


どんな環境に慣れるか。それは今の環境で本当に選手にとって一番最適なのでしょうか。


サッカーだけを考えた場合、最適な環境とは

神経の一本一本まで伝わるような刺激を受ける環境があることは、選手にとって大事なことだと思います。


いつしか「慣れ」が緊張感を奪うのです。日本人として日本の教育を受け日本だからこそ受け入れられる「慣れ」。


慣れが必要な場面もありますが、決して全てが良い方向へ行くとは限りません。サッカーだけを考えた場合、日本で育ち生活することで消される何かがあると感じています。


例えば、歴代の日本代表監督を見てもそうです。日本で長く生活をすることで、何がが失われ、本来の持ち味を発揮できないどころか、取り戻すことさえもできないことがあります。


Jリーグで活躍する外国人選手を見ても同じようなことが言えます。日本は最高だ、日本は素晴らしい、日本はこれから発展するはずだ、そんな想いでプレーする選手もいるでしょう。


しかし、実際に直接は聞いていませんが、日本に物足りなさを感じている選手がいることや、そんな日本に嫌気がさして他のリーグへ移籍する選手もいることでしょう。


彼らは何かを失ってしまう前に気づいたのです。


選手は、どんな環境でどんな指導を受け、どんな選手とともに切磋琢磨しプレーするのかで、その後のサッカー人生は大きく変わることは間違いないはずです。


個人の力ではどうにもならないこと、慣れが選手を潰すこと、環境を選択できる可能性を持つこと、全ては選手を周りで支えるあなた次第です。


その環境が日本であれば、おそらくこれまでの日本サッカーの歴史から大きくそれるような結果を生むことは無いでしょう。


その環境が海外であり、そのような環境で育った選手が多くなればなるほど、日本サッカーは世界のサッカーにようやく追いつくことができるのでは無いでしょうか。


あなたはそんな環境を選手に与えることはできますか?

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