メニュー 閉じる

早慶戦ポスターから考えるJリーグ集客ネタ


ご存じの通りですが、現在のJリーグ各クラブの観客は、その殆どがコアサポーターとなっています。

どういうことかと言うと、例えば2014年の観客動員実績で言うと、清水エスパルスやアルビレックス新潟では、Jリーグに観戦に行く観客の70%以上が10年以上も試合を観戦しているコアサポーターです。

J.LEAGUE™ FAN SURVEY 2014 SUMMARY REPORT
出典:http://www.jleague.jp/

2014年のサマリーレポートが、何故か「Jリーグスタジアム観戦者調査 20○○ サマリーレポート」から「J.LEAGUE™ FAN SURVEY 2014 SUMMARY REPORT」へと、英語表記になっていました。

ついにJリーグも国際的な集客やスポンサー集めに着手したのでしょうか、そういう視点で資料を拝見しましたが、特に海外を意識した内容ではありませんでした。

J.LEAGUE™ FAN SURVEY 2014 SUMMARY REPORT

本日は、「スポーツイベントの集客」というキーワードで、何かと話題性がある「早慶戦」から、Jリーグの集客ヒントが何かを考えてみます。


早慶戦のポスターの威力をJリーグにも



ネット上だけでなく、口コミでもかなりの話題となった今回の「早慶戦」。もはやテレビでもそのポスターが取り上げられ、集客をするための宣伝としてはこれ以上ない働きをしていたように思います。

早慶戦ポスター集客
出典:

ポスターだけで集客力に圧倒的なパワーが加わる。Jリーグは毎月毎週のように試合があるので、なかなか話題性を自ら作り出す余裕がフロントやクラブにはないかもしれませんが、Jリーグで言うと年間ホームゲーム17試合だけを、如何に集客するかについては、ある意味スポンサー獲得よりも重要なファクターとなるのではないでしょうか。

痛烈に感じているのはJリーグクラブのフロント陣を見ていると、集客よりも運営に目が行きがちで、マーケティング要素よりもサポート体制を強化している感が否めません。

まだまだ対戦相手によって集客の浮き沈みがある中で、如何にして平均観客動員数を上げる施策が必要か、そしてその内訳で如何にして新規顧客の獲得率をアップさせるかを考えなくてはなりません。

まずは、潜在顧客のセグメントとターゲティングを明確にして、それぞれのカテゴリに合った施策を17パターン(ホームゲーム分)を考えてみてはいかがでしょうか。


コアサポーターは離れない



Jリーグクラブは既に感じていると思いますが、本当のコアサポーターは結果がどうであれクラブを離れることはありません。時に選手についたコアサポーターがいれば、その選手が移籍をした場合にクラブを離れることがあるかもしれません。

しかし、J1からJ2に落ちたクラブでも、そのコアなサポーターは応援していたクラブを離れて他のクラブのサポーターになるなんてことを、耳にすることは殆どないかと思います。

J1の半数以上のクラブが、観客動員数50%以上のコアサポーターを獲得している状況で、スタジアムの空席を如何にして新規やライト層の観客で埋めることができるか。

新規顧客をコアサポーターにする施策は、新規顧客を呼び込む施策と全く異なりますが、Jリーグクラブの殆どは、まずスタジアムの1つ1つの席を埋めるための集客に力を入れなくてはなりません。

理想は勝ち続けて優勝争いを毎年繰返し、そして負けないクラブを作り上げることですが、そんな理想は長期に渡り実現し続けることは非常に困難であり、更に言うと、例え常勝クラブ(ビッグクラブ)であっても、今の日本のサッカー環境ではスタジアムの席全てが埋まらないことは否めません。

Jに上がりたてのクラブはコアサポーターの数が圧倒的に少ないが故に、主に新規顧客の獲得策を練っているかと考えられますが、現状J1で長く在籍しているクラブは、既にコアサポーターが多くついているので、そちらのケアを重視してしまっているようです。

先ほども述べましたが、コアサポーターの殆どは離れることはないでしょう。蔑ろにすることは得策ではありませんが、これまで以上に新規顧客獲得に比重を置くことは、コアサポーターにとってもクラブにとっても有益なことです。

そもそも、試合が始まる1分前までは新規顧客の獲得に120%の力と人員と僅かな費用を費やし、試合のキックオフと同時にコアサポーターを始めとする顧客に対し、150%の力と人員を費やして莫大な収益を得るように考える必要があるのではないでしょうか。
※実際、開催日は新規顧客獲得に手が回らないと思いますが。

だからこそ、新規顧客獲得は単発でできそうなイメージが湧くかもしれませんが、それははっきり言ってナンセンスです。

それこそトライアンドエラーの繰り返しで、新しい取り組みに対して見つかった課題を少しずつでも理想に近づけるため改善していくこと、そしてコツコツ知見を高めてスタジアム1つ1つの席を確実に埋めるために継続することが大事ではないでしょうか。


新規顧客とは



もちろん、Jリーグクラブが新規顧客獲得のために何もしていないかといえば、そうではありません。ただその度合いが小さく真の顧客にまで届いていないだけです。

最近は色々な新規顧客のための施策が繰り広げられています。

ヴィッセル神戸はハリルホジッチの体脂肪公表に便乗して、体脂肪率12%以下であればなんとチケット代金が半額というキャンペーンを打ち出しています。

また、今はスタジアム周辺のグルメ環境を整え、いわゆるスタジアム全体をエンターテインメント化して、幅広い層(特に家族層)の獲得に励んでいるように見えます。

しかしどうでしょう、NEWJIではこの問題を幾度と取り上げていますが、真の新規顧客とはなにか、セグメントした場合に見える層はどこか、それは私を含むサッカー経験者だと感じています。

以前、以下のようなコンテンツを配信しました。

大学時代の友人にサッカー界に対する不満を聞き出してみた

サッカー経験者はサッカーに興味があることは間違いありません。むしろ、試合当日でも自分がサッカーやフットサルを楽しんでいるぐらいです。

しかし、そう言った確度の非常に高い層は、試合当日に自身がプレーしていても、私の統計上は今のところ2割がその足でJリーグ観戦に行くか行かないかです。

彼らには何かしらJリーグに行きたいけど行けない理由、つまり何かしらのそれぞれがブレーキを踏んでいるのです。

彼らがブレーキから足をはなし、アクセルを踏むための動機の本質としては、スタジアム周辺のグルメにミシュラン店が並ぼうが、チケット代金が半額になろうが、そういう事ではまだ行動に移さない可能性の方が高いでしょう。

まずは、彼らこそがスタジアムを埋めるためのバズ層だという事を知り、彼らのブレーキが何であるかを明確にし、そのブレーキを踏ませないための施策を考え、最終的に120%の力と人員と僅かな費用をかけて、彼らがアクセルを踏むためのポスターを17枚だけ作ってみてはいかがでしょうか。

こちらもおすすめ